とことこトコタンの株主優待ブログ』を運営し、約250もの優待銘柄を保有する優待投資家・とことこトコタンさん。数ある優待ブロガーの中でもユニークなのは、「その優待品が欲しいかどうか」に絞った銘柄選び。もらえる優待品がトコタンさんの心を揺らすかどうかがいちばん大事で、株価や配当はあまり重視しません。そんな、とことこトコタンさんに、株主優待を始めたキッカケや、優待銘柄の選び方について聞きました。

▼とことこトコタンさんプロフィール

 愛知県在住、社会人デビューと同時に株デビューしたベテラン投資家だが、優待の魅力に目覚めて以来、メインは優待に絞り込み、楽しい優待ライフを満喫。優待品のQUOカードマニア。投資で稼ぐ! というより、生活をいかに楽しくするかを重視した、ほのぼのスタイルの兼業投資家。

年間300以上の優待が届く。6月にはポストから溢れ出ることも

──トコタンさんのブログを拝見しました。毎日、届いた優待品の写真をアップされていますが、9月1日の時点で「2020年到着135個目」とありました。すごい数ですね…。

 会社員で平日は働いているもので、ブログの更新が遅れがちなんです。6月に届いた優待品をアップできたのが9月1日でした。

──つまり、6月には、すでに130個を超えていたんですね!

 はい。今、僕は250銘柄保有していますが、そのほとんどが優待銘柄です。しかも、年2回、優待品をもらえる企業もあるので、年間に届く優待品は300個を超えます。

──1日に何個も届くこともあるでしょう?

 株主優待は6月に届くものが多いので、6月は何個どころではないですね。いつだったか、郵便ポストをのぞいたら、「入りきらないので持って帰りました。ご連絡お持ちしています」という宅配業者からのメモが残っていました(笑)。

──うわ、それはすごい(笑)。

 でも、もっとすごい人もいますよ。優待仲間とLINEなどで情報交換しているのですが、僕より多く優待品を受け取っている人はたくさんいます。僕なんか、まだまだです(笑)。

──トコタンさんは、株を始めたころから優待一本だったんですか。

 いえ、今から18年前、社会人1年目のとき、初めて株を買ったのですが、その頃は優待なんて意識していませんでした。そもそも当時、株主優待ってあったんですかね…?

──明治時代、鉄道会社が株主に乗車券などを配布していた、という記録が残っているので制度としてはあったようですよ。ただし、今のようにメジャーではなかったようですね。

 そうですよね。僕が始めた頃は、優待という言葉も聞いたことありませんでした。今みたいにスマホで売買するんじゃなくて、証券会社の窓口や電話で取引していた時代でしたし。

──でも、社会人1年目で株を始めるとは、早いデビューですね!

 父親が投資をやっていて、「投資をすると、新聞も読むし社会情勢も気にするようになる。オマエも社会人になったんだからやってみろ」と勧められたんです。といっても、資金援助はしてくれなくて、自分の給与の一部で始めました(笑)。たしか最初は、地元の愛知県で「優良企業だ」と評判が良かった機械製造会社の株を買いました。

──初投資、成績はいかがでしたか?

 誰でも知っているような有名企業の株を買い、長く持っているというやり方でしたから、短期間で大勝ちするとか、大きなマイナスを背負うとか、大きなドラマはなかったです。その後も、たまたま買った銘柄が思いの外上がり、いい思いをしたことは何度かありますが、大成功でも大失敗でもないですね。ただ、トータルでは負けていないんじゃないかなと思います。

お金よりモノをもらったほうがうれしい

──では、いつ頃、株主優待にハマったのですか。

 2011年か2012年くらいだと思います。それまでも給与の一部やボーナスが入ったタイミングなどで、気になった株を買ったり、成績が良かった株を買い足したりはしていたんですが、優待銘柄かどうかは特に意識していませんでした。

 ただ、ある時、回転寿司など飲食チェーンを展開する「アトム」(7412)という会社の株を買ったら、そこがたまたま優待銘柄で、チェーン店舗で使えるお食事券が届いたんです。で、せっかくだからと思って、その回転寿司店に行くと、当たり前ですが、タダで美味しいお寿司を食べることができました。それがなんだか妙にうれしかったんです。自分だけ優待券で寿司を食べる優越感と、美味しいものをお得に食べられたという体験が衝撃で(笑)。それ以降、どうせ株を買うなら、何かもらえる優待銘柄にしたほうがおトクじゃないかと考えるようになりました。

──配当金や株価上昇などのお金でもらえる利益よりも、モノのほうがうれしいですか?

 人それぞれでしょうけれど、僕はモノをもらうとテンションが上がります。そもそも株主優待は、優待品と配当金、両方もらえるところも多いですし。

──ちなみに当時は何銘柄くらい持っていたんですか。

 はっきりは覚えていませんが、数十銘柄あったと思います。アトムをきっかけに、10年間で、250銘柄に増えました。今持っているのはほとんどが優待銘柄です。

──トコタンさんは会社員ですよね。社会人1年目に投資を始めて20年目ということですが、給料のどれくらいを投資に回していたんですか?

 お金に余裕ができた時や、配当金をもらった時にそれで追加するレベルで、無理は全然していません。ほとんどの株主優待は最低単元の100株保有していれば権利を得られます。株価によりますが、数万円で買える銘柄も少なくありません。実際、僕も、優待品がもらえる最低単元のみ保有している銘柄が多いので、すべて合わせても驚くような金額にはなりませんよ。保有銘柄こそ250銘柄と多いけれど、資産家ではないんです(笑)。

──普通の会社員で、無理をしなくても、250銘柄保有することができるということですね?

 はい。年月をかければできます(笑)。

配当の中身に加え、会社の業績もチェックする

──今は優待銘柄しか買わないとのことですが、優待がない銘柄は見向きもしないんでしょうか?

 はい。まったく興味がないですね(笑)。

──絶対、株価が上がると分かっている銘柄でも、優待銘柄じゃなければ買いませんか?

 少しは心が動くかもしれませんが、この世界に「絶対」はないですし、まあ、相当な理由がなければ買わないでしょうね。

──トコタンさんにとっては「株式投資」イコール「優待」なんですね。

 はい、それは間違いないです(笑)。

──とはいえ、優待銘柄なら何でも買っちゃう、というわけではないですよね。今現在、優待を実施している銘柄は1,500くらいあるわけですし。トコタンさんは、数ある優待の中から、何を基準に選んでいるんですか?

 まずは優待の中身です。要するに「その優待品が欲しいかどうか」。例えばQUOカードは使用期限もありませんし、コンビニなどいろんなお店で使えるので大歓迎です。図書カードやカタログギフトも同様です。でも、自社製品などを優待品としている企業は、必ずしも欲しいものばかりではありません。なかにはもらってもうれしくないものもあるわけで、そういう銘柄は除外します。あと、飲食チェーンは食事券をもらえることが多いのですが、家の近くに店がなかったら無駄になっちゃうのでそれも除外します。

──徹底して「優待品ファースト」なんですね! では逆に「この優待品なら欲しい!」と思ったら、すぐに買うんですか?

 いえ、一応、そこがどんな会社なのかをチェックします。

──経営状態や財務状況を調べるんですか?

 いや、そんなたいそうなものではありません(笑)。売上げの推移とか、店舗数の増減とかを確認する程度です。僕は優待目的で株を買っているので、最低単元しか保有しないケースが多く、それならば10%や20%、株価が下がっても、大損はしません。とはいえ、紙くず同然になるのは困りますから、一応、調べられることは調べておこうということです。

 それよりも大事なのが、優待廃止にならないかどうか。会社の業績がよくないと、株主優待が廃止になる恐れがあるんです。廃止にならなくても、もらえる条件が厳しくなったり、優待品がしょぼくなったりすることもあります。だから、最低限、業績くらいは調べるようにしています。

──ちなみに会社の業績をチェックするとのことですが、どんな方法で調べるのですか?

 投資関連のサイトを見たり、会社四季報を見たり。あと、飲食チェーンなどの場合は、その店に行ってみることも多いですね。行列ができていたり、待合室がいっぱいだったりすると、この会社は勢いがあるんだな、と分かりますから。

──実際に食べてみることも大事かもしれませんね。食べて美味しくなかったら、食事券をもらってもうれしくないでしょうし(笑)。これまで会社が倒産するなどして、株が紙くず同然になったことはありますか?

 それはラッキーなことにありません。突然、優待が廃止になったことは何度もありますが。

──優待廃止になったら、その株は売ってしまうんですか。

 はい、たいがいは売ります。株主優待の廃止は縁の切れ目です(笑)。

──徹底していますね(笑)! では次回、トコタンさん自慢の「QUOカードコレクション」についても伺います!

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