チャンネル登録者数10万人を突破したYouTubeチャンネル『株の買い時を考えるチャンネル』『株の買い時を考えるブログ』を運営する「株の買い時」さん、インタビュー後編をお届けします。

 今回は、買い時さんがYouTubeでもよく取り上げている、株主優待について伺いました。9月に権利が確定する優待銘柄の中から、買い時さんが選んだベスト5も教えていただきました。

優待銘柄を持っていると、投資が楽しくなる!

──後編は株主優待についてお聞きします。今は、売買差益を狙うスタイルとのことで、優待株は保有していないかもしれませんが、ブログやYouTubeではよく書いたり、話したりされていますよね。

 はい、ブログでもYouTubeでもよく扱います。というのも優待のことを書いたり話したりすると、反響が大きいんです。かなり質問も来ます。

 だから、今も優待銘柄の動向などはフォローしています。

──買い時さんご自身も、以前は保有されていたのですか。

 はい、優待目的で株を買うことも多かったです。イオン(8267)とかオリックス(8591)とか、優待族なら誰でも知っている、不動の人気銘柄も持っていました。

──今はひとつも持っていないのですか。

 ビックカメラ(3048)はずっと持っています。

 ここはお買い物優待券がもらえるのですが、保有株式数と保有期間に応じてもらえる枚数が異なるので、一度手放してしまうと、また買おうと思ったときに不利になるんです。お店にもよく行くので保有しています。

──投資初心者は優待銘柄から始めるのも手だと思いますが、どう思われますか。

 もちろん賛成です。僕も初心者の頃はよく買っていました。

──優待銘柄の魅力はどんなところですか。

 まずやっぱり、いつ届くんだろうという楽しみがあります。それにトクしたという実感が持てます。

 優待ではなく、配当金、つまりお金でもらってもいっしょなんですが、その会社の商品やお食事券、お買い物券など「物」でもらうと、うれしさは格別です。優待銘柄を持っていると、投資が楽しくなると思います。

──ほとんどの優待銘柄は100株保有で権利を得られますから、そこまで大金が必要というわけではないですよね。

 はい、株価1,000円以下の銘柄もたくさんあります。そういう銘柄なら10万円以下で優待の権利を得ることができます。

──もらってうれしかったものは何ですか。

 何でもうれしいです。例えば最近はクオカードも多いんですが、クオカードはいろんなお店で使えるのでありがたいです。

 それに、コンビニに行ってクオカードで支払うとき、ちょっとした優越感に浸れます(笑)。

──お父様はどうですか?

 父はカタログギフトが好きみたいです。いつもけっこう豪華なものを取り寄せています。

優待の中身だけでなく、業績や将来性もチェックすべき

──買い時さんが選ぶ、9月権利確定の優待銘柄を教えていただけますか。

 具体的な銘柄名に触れる前に、数ある優待銘柄の中からどういう基準で選ぶかを少しお話しします。たぶん、どんな物をもらえるか、どれだけおトクなのかで選ぶ人が多いと思います。それは当然ですし、否定する気はありません。

 ただ、僕は、その銘柄本来の価値、つまり将来株価が上がるかどうかも検討するのが重要だと思います。たとえ5,000円の高級メロンをもらっても、株価が下がって1万円の損失が出たら、収支はマイナスですから…。

──たしかにそうですね。

 銘柄の株価が上がるか下がるかを考えるのは、それなりに知識もいりますし面倒です。でも、できればその企業の業績や将来性も考慮したほうがいいと思います。

 まったく知識がないと財務諸表などを見ても、ちんぷんかんぷんでしょう。でも、例えば売り上げや利益が伸びているかとか、出店のペースが順調なのかとか、そういったことなら調べられるはずです。

 そういう基本的なことをチェックすれば、明らかに業績が悪化している企業の株に手を出してしまうことは避けられると思います。

──業績が悪化して株式優待を取り止めることもありますよね。

 はい、そうなったらその銘柄を買った意味がなくなってしまいます。

──買い時さんはどういうデータを重視されているのですか。

 いろいろありますが、自己資本比率と有利子負債は必ずチェックします。自己資本比率は40%以上だと、まず倒産しないと言われてます。

 あと、フリーキャッシュフローも重要視します。優待銘柄を選ぶときにフリーキャッシュフローをチェックするなんて僕ぐらいかもしれませんが(笑)、フリーキャッシュフローがプラスだと、増配したり優待拡充したりできるので、かなり重要な指標だと思います。

買い時さんが選ぶ、9月権利確定の優待銘柄

──では、実際に選んだ銘柄を教えてください。

 まずはセロハンテープを始め、テープや接着剤の製造・販売を行う、ニチバン(4218)です。ここは3,000円相当の自社製品の詰め合わせがもらえます。

 現在、株価は1,608円(9月4日現在)ですから、16万円あれば権利を得ることができます。16万円で3,000円相当の商品をもらえるのは魅力です。

──それに加えて、株価の上昇も期待できますか。

 はい。最近はテープだけでなく、医療分野にも進出していて、2019年には売り上げ、純利益とも過去最高を達成しました。今後も成長が期待できるでしょう。

──セロハンテープとか絆創膏はけっこう使うものですし、製品の詰め合わせはうれしいかもしれないですね。

 2つ目は、ビルメンテナンス大手の日本管財(9728)を挙げておきます。

 優待は年2回、それぞれ2,000円相当のギフトカタログがもらえます。3年以上継続して保有すると3,000円相当にグレードアップするので、長く持ちたい人にオススメです。

──会社の業績はどうですか。

 ビルメンテナンス業界は経営が安定しているところが多いんです。ある日突然、業績が上向き、株価が2倍になるなんてことは想像しにくいですが、一方で、短期間で暴落するようなことも考えにくいです。

 実際、コロナ以降も株価は安定しています。それも、この銘柄を勧める大きな理由です。

──3つ目の銘柄を教えてください。

 訪問介護サービスをメインに手掛ける、セントケア・ホールディング(2374)です。ここはクオカードがもらえるのですが、日本管財同様、長く株式を保有していると、グレードアップします。

 保有期間が3年以内だと500円分ですが、3年以上だと1,500円分と、3倍に増えるんです。この業界は今後も需要拡大が見込めますから、株価上昇も期待できると思います。

──今後も需要拡大が見込める業界、魅力的ですね。

 飲食関連も1つ、挙げておきます。「や台や」「や台ずし」「ニパチ」といった居酒屋チェーンを展開するヨシックス(3221)です。

 多くの飲食チェーン同様、お食事券とお食事割引券がもらえます。保有株数が300 株未満の場合は、お食事優待券が年間6,000円分と20%割引券が年間20枚。300株以上保有していると、お食事優待券が年間1万円分に増えます。

──株価の上昇も期待できそうですか。

 コロナウイルスの影響で株価が下落し、今も低迷しています。

 でも、営業利益率が10%を超えていますし、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)も日本企業全体の平均を大きく上回っています。フード業界では高収益体質の企業といえます。そういう意味で、個人的にはリバウンドに期待しています。

──自宅や会社の近くにお店がある人は検討してみるといいかもしれませんね。

 最後は、独立系システムインテグレーターのシステム情報(3677)です。

 ここもクオカードで、100株保有だと保有期間1年未満の場合は500円分、1年以上だと1,000円分、3年以上だと2,000円分もらえます。1,000株以上保有していると、それらがすべて2倍になります。

 それと、もう1つ、ほかではあまり見られない、ユニークな試みを行っています。抽選で10万円分の旅行券がもらえるんです。

──抽選でもらえるって面白いですね。

 しかも、毎年50名です。

──それはスゴイですね。当たりそうな気がしてきます(笑)。

 外れてもクオカードはもらえますから、なかなか魅力的だと思います。

──これで買い時さんが選ぶ5銘柄がそろいました。
 優待好きなら誰でも知っているような銘柄と比べると少し意外性のある顔ぶれですが、どれも魅力的な投資先ですね。

 どれも優待の中身がいいだけでなく、株価の上昇も期待できるので、ぜひ検討してみてください。

──今日はありがとうございました。

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