しんた:高校2年生。中学からお年玉のお金で運用をしているインテリ高校生。クイズ研究部の部長

 

ひな:しんたの同級生。クイズ研究部の部員

 

 

不動産ってなに?

しんた:ファンド選びのポイントとして「国策」が重要って話したよね。でね、どれくらい国策が影響をしたのか、調べてきたんだ! 今日のテーマはアベノミクスで上昇した「不動産」だよ。

ひな:不動産ってピンとこないんだよね。今住んでる家とか? 前にアベノミクスの量的緩和で約60%も上昇したって話(13話)を聞いたけど…。
しんた:不動産は、土地や建物のことを指すんだよ。住宅、オフィス、商業施設、物流施設、ホテルとか。
ひな:今日のしんた君、いつになく頼もしいね。
しんた:国策について調べていたら楽しくなっちゃって。でね、なんで「金融緩和」で不動産に注目が集まると思う?

ひな:え~っと…。
しんた:ヒント! じゃなくてクイズ!
金融緩和をすると、世の中に出回るお金が増えることになります。ではそのとき、金利は「上がりやすい」、「下がりやすい」のどっちでしょうか?
ひな:「金利が下がりやすい!
しんた:おっ正解! じゃあ理由は?
ひな:し、しんたくん、説明を…。
しんた金融緩和は「日本銀行が銀行から国債・社債などを買って世の中に出回るお金を増やすこと」。これをアベノミクスで実施したんだ。だから、銀行には貸し出すお金が増えることになる。
 さて、ここで、ひなちゃんが企業の社長だとしようか。A銀行とB銀行が同時にやってきて、融資してくれる話になりました。ひなちゃん、どっちから融資を受ける?

ひな:返す金額が少ないほうがいいから、金利が低いほう! あ、そっか。そうやって、銀行が金利を下げる競争になっていくのね。
しんた:そのとおり。そうやって、企業の借り入れ金利が下がるから、もちろん企業の業績(利益)はその分上がりやすい。でもね、不動産の値段はもっと上がる可能性が高いんだよ。
ひな:まだ、よく分からないなあ。

しんた:不動産って、高いよね。
ひな:高い……よね。うちもローンを使ってるし。

しんた:ローンは、「住宅ローン」が一番身近だよね。支払額が大きいから、ローンを組んで払う。
 じゃあ、同じ不動産でも、オフィスビル(いろんな会社がいっぱい入っているビル)や商業用施設(ショッピングモール)は、どうなっていると思う?
ひな:考えたことなかったな。中に入っている会社やお店はどうやって払っているのかな。

しんた:賃貸物件が多いみたい。例えば、丸の内のビルだったら、三菱地所や三井不動産みたいに大きな不動産会社に家賃を払っているんだ。
ひな:賃貸なんだ。じゃあ、不動産会社は最初に物件を買えるくらいの大きなお金を持っているの?
しんた:物件を買うとき、不動産会社は、銀行などから借りていることが多いんだって。
ひな:ふ~ん。不動産会社は賃料が入ってくるけど、銀行に借りているお金も払う必要があるってことね。
しんた:そのとおり! 

量的緩和で不動産収入が増える理由

しんた:「J-REIT(ジェイリート:上場不動産投資信託)」って知ってる?「不動産の投資信託」なんだ。ここはね、不動産会社の代わりに、ファンドが運営をしているんだ。不動産会社とJ- REITの違いをまとめてみたよ。

<不動産会社の場合>

<J-REITの場合>

しんた:J-REITは、投資家から資金を集めて分配金を出すところ以外は、不動産会社とほぼ一緒。
ひな:本当だ。
しんた:そうすると、J-REITに投資している投資家の収益の分配金は、その大部分が「家賃収入」と「借り入れ利息」の差し引きになるよね。

ひな:あ、そっか。だから、量的緩和で金利が下がると、利息の支払いが減るから、J-REITの投資家の分配金が増えるんだ!
しんた:そのとおり! さらに、低金利を背景に、不動産の売買も活発になるから、物件の価格も上昇し、賃貸料も徐々に上がっていく可能性が高くなる。

ひな:しんた君が、J-REITの投資家の収益の分配は、その大半が家賃収入と借り入れ利息の差し引き、っていってたけど、量的緩和をすると、家賃収入が上がって、借り入れ利息が下がるんだから、分配金はがっぽりあがる、ってわけね。
しんた:がっぽり、かどうかは分からないけど、上がる確率は高くなるよね。あと、他の一般の会社だと、J-REITとは違って、家賃収入と借り入れ利息以外にも、いろんな要素があるから、量的緩和の恩恵を受けやすいのは、J-REITが高いかな、って思うよね。

ひな:なるほど。だから、第13話で言っていたみたいに、アベノミクスが開始したときに、日経平均株価よりJ-REITの上昇率が高かったんだ。

しんた:J-REITは借り入れ金利の動きに敏感だからね。だから、同じ理由で、借入比率の高い会社の株価だって、上がりやすくなるみたいだよ。

 アベノミクスが始まってからもう7年以上たつけど、物価の上昇率が目標に届かないから、その後も追加で量的緩和を何度かやったし、今でも量的緩和、やってるじゃん? しかも、ご丁寧に日銀がJ-REIT買っているから、下支え効果抜群だよ。本当「国策」って、重要だよね。
ひな:なんか、しんた君、頭いいね! かっこいい!

国策は重要

しんた:えへ。じゃあ、続きも教えちゃう。第14話「新安倍内閣を分析!政策ポイントは?ファンドに関係あるの?」で先生に聞いた、自動運転。やっぱり、政府が絡んでいるみたい。しかも、日本政府だけじゃなく、海外政府も。
ひな:え? 海外も?
しんた:うん。アノ話を聞いて、ネットで「自動運転 政府 施策」とかで検索してみたら、色々とヒットしたんだ。目標スケジュールまで決まっているみたい。先生も、今回発表された「国策」は、これからスケジュールを組むって言ってたもんね。

ひな:そっか。確かに、アメリカのテスラ、って名前を聞いたことあるし。世界的なんだね。
しんた:ついでに言うと、この自動運転、5Gと呼ばれる第5世代移動通信システムのインフラ整備がカギを握っているんだけど、これも政府の施策になっている。
ひな:なるほどー。じゃあ、自動運転とか、5Gとかの銘柄を集めたファンドがあれば、注目だね。

しんた:まぁ、もうすでに上がっているだろうから、あまり高値でなければいいんだけど。
ひな:でも、すごい勉強になったよ。なるべく情報のアンテナを高くして、政府の施策が発表された段階で、該当する銘柄を探すといいんだね。そして、早めに投資する。
しんた:ということで、今後の情報収集、頑張ろう!
ひな:うん! 頼りにしてます!