経済再開への期待で、世界株高。日経平均はV字反発

 先週の日経平均株価は、1週間で558円下落し、2万2,305円となりました。経済再開への期待で世界株高が続き、日経平均も「V字反発」が続いてきましたが、経済再開後の感染拡大への不安からNYダウも日経平均も急反落しました。

日経平均日足:2020年2月3日~6月12日

 日経平均で、2万1,000~2万4,000円は、2018~2019年に長くもみ合った水準で、それだけに戻り売りも出やすくなっています。これまで日経平均の反発速度が速すぎたことから、目先、スピード調整が必要と考えられます。

日経平均推移:2017年末~2020年6月12日

NYダウの日足チャートに「アイランド・リバーサル」

 6月11日に、NYダウ平均株価は、前日比1,861ドル(6.9%)安と、過去4番目の大きな下げ幅となりました。12日は、476ドル高と反発しましたが、下げの勢いを消すには不十分な反発です。

日経平均日足:2020年2月3日~6月12日

 先週の急落で、NYダウの日足チャートには、テクニカル分析で短期的な弱気シグナルとされる「アイランド・リバーサル」【注】が現れました。

【注】アイランド・リバーサル
 株価が、窓あけして急騰、高値でもみあった後、窓あけして急落、急騰前の水準に戻ることでできあがる形。高値でもみあった部分が「離れ小島」のように見えることから、「アイランド(島)リバーサル(反転)」と呼ばれる。この形が出ると、上昇相場がいったん終了することが多いので、短期的な弱気シグナルとして意識されることがあります。

 6月11日の大陰線と、アイランド・リバーサルを見ると、目先、NYダウは下げが続く可能性があります。2万4,000ドルは下値支持線として意識されるところなので、その辺りでは下げ止まる期待がありますが、いったんその水準まで下げる可能性を意識した方が良いと思います。

 念のため申し上げますが、テクニカル分析とは、チャートから短期的な需給動向を読むもので、短期的な相場動向を読むのに役立ちます。ただし、統計的に起こりやすいことを示唆しているだけで、そうならない場合もあります。

 はやばやと史上最高値を更新し、強い動きを見せていた米ナスダック総合指数も、先週は、反落しました。

米ナスダック総合指数日足:2020年2月3日~6月12日

 ナスダック総合指数も短期的には下げが続く可能性があります。ただし、NYダウより堅調と予想します。世界のITインフラを支配し、コロナ後の成長期待が高まっているグーグル・アマゾン・フェイスブック・マイクロソフトなどのIT大手の構成比が高いからです。

長期的に買い場でも、短期的な下げに注意が必要な局面

 日本株は割安で、長期的に買い場との判断は変わりません。ただし、目先は、下げへの警戒を強めた方が良い局面かもしれません。

 経済再開後の感染拡大で、米国が再びロックダウン(都市封鎖)をすることはないと考えられます。ただし、ウィズ・コロナの経済再開に、警戒が強まることは間違いありません。コロナの感染再拡大リスクを意識しながらの経済再開となると、V字型の回復は見込みにくくなります。ワクチンが幅広く利用可能になるまで、回復力は、市場期待よりも鈍くなる可能性があります。

 経済再開後の回復が鈍くなるリスクを相場が十分に織り込むまで、警戒が必要だと思います。

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