外国人は一貫して売り越し
日経平均株価は、2月25日から3月19日までわずか4週間で6,834円下がる「暴落」となりました。ところが、その後5月20日まで、8週間以上かけて、4,043円上昇。下げ幅の約6割を取り戻しました。
日経平均日足:2020年1月4日~5月20日
いったい、この急落・急騰を演出しているのは、誰でしょうか? 過去30年、日本株を急落させるのも急騰させるのも、常に外国人投資家でした。ところが、今回は少し様相が異なります。
3月19日までの暴落は、外国人の売りによるものですが、それ以降の反発は、外国人によるものではありません。主に、日本銀行の買いによります。外国人は一貫して売り越しています。以下をご覧ください。
外国人投資家による日本株の現物・日経平均先物の売買動向:2020年2月25日~5月9日
外国人投資家は、コロナ・ショックの急落局面でも、その後の急反発局面でも、売り越しを続け、株式現物と日経平均先物を合わせると、なんと5兆1,872億円も売り越しています。
暴落局面では個人や日銀が買ったが、反発局面はほぼ日銀の一手買い
それでは、誰が売り、誰が買ったか、国内投資家も含めて、もう少し詳しく見てみましょう。以下では、株式現物の売買動向だけを見ます。
急落局面での投資主体別売買動向:2020年2月25日~3月19日
つまり、日経平均を暴落させたのは、外国人投資家です。外国人の売りは、ここに出ているだけではありません。前で見ていただいた通り、日経平均先物も1兆3,231億円、売り越しています。
一方、国内投資家は、この暴落局面で大量に買い越しています。最大の買い手は、個人投資家で、1兆2,850億円買い越しています。日本銀行も、1兆2,272億円買っています。
事業法人は、「自社株買い」で、近年安定的な買い越し主体となっていますが、この暴落局面で5,922億円買っています。
信託銀行(信託勘定)も買い越しています。信託勘定を通じて売買しているのは、年金基金や日本銀行です。この暴落局面では、公的年金などが買いを出したと推定しています。
このように、コロナ・ショックの暴落局面では、外国人が売る中、国内からさまざまな投資主体の買いが出ていました。
反発局面で、日本株を買っているのは誰か?
それでは続いて、3月23日以降の反発局面での日本株の主体別売買動向を見てみます。外国人は一貫して売り越し、国内投資家が買っているわけですが、個人投資家はほとんど買っていません。大きく買い越しているのは、日銀だけの可能性もあります。
急反発局面での投資主体別売買動向:2020年3月23日~5月9日
信託銀行も買い越しています。ただし、あくまでも推定ですが、これは主に日銀の買いである可能性もあります(日銀がどこを通じて買いを出しているか、買い方を開示していないので分かりません)。信託銀行経由で売買する年金基金は、上昇局面で買うことは少ないから、これだけのボリュームでの買いは、日銀の可能性があります。
もし、信託銀行の買いが、日銀の買いによるものだとすると、この反発局面は、日銀のほぼ一手買いだったことになります。
今後の日本株の売買に影響が大きいのは、外国人と日本銀行と考えられます。今後とも、外国人と日本銀行の売買動向をしっかり見ていく必要があります。
日本株の投資判断
私は、日本株は買収価値や配当利回りから見て割安で、長期的に良い買い場を迎えていると判断しています。コロナ・ショックによる恐怖が収束するまで、日本株は乱高下を繰り返すと思いますが、時間分散しながら、買っていくことが長期的な資産形成に寄与すると思います。
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