アクティブ投信・rennyさん×コロナ・ショック

rennyさんプロフィール

 妻、息子2人と暮らす、サラリーマン兼個人投資家。投資信託にコツコツ投資を始めて17年目に突入。魅力あるファンドマネジャーや共感できる運用方針を掲げるアクティブファンドをメインに運用している投資家として有名。

 これまでに投資で得た評価益はベンツ数台分! 資産運用の王道といえる、長期定額積み立てを投資ポリシーに掲げたブログ「rennyの備忘録」を運営。自ら毎月コツコツ(「#k2k2」と表現)買いつける投資信託の運用成績や、月次レポートなどを題材にした詳細な投信分析・最新情報を日々、配信。

 2020年からは「note」で投資に関するオピニオン発信も始めた。

★3月下旬のインタビュー実施時から、世の中の状況も日々変わっています。
 rennyさんの本記事公開時点(2020年4月23日)の所感がnoteにて補足されています。

コロナ・ショックで資産は増えたor減った?何売ったor何買った?

Q:コロナ・ショックで株や投信が急落しましたが、まず行ったことはなんですか?

A:積立投資額を増額するべく、定期預金を解約

 定期預金を解約し、投資信託購入に充てることについて、妻の了解を取得しました。

 コロナ・ショックによる株価、そして投資信託の基準価額の下落がどこで落ち着くか予測はできません。しかし、大きく下がったことで、定期預金を解約してでも、投資ポリシーに共鳴した数々のアクティブファンドを買い増そうと思ったからです。

 追加資金を使って、積立投資額を増額する手続きを取りました。今後数カ月間、増額してみようと考えています。

Q:投資信託のポートフォリオに変化はありましたか?

A:保有しているファンドは一切売らず、新たな資金で買い増しし、比率が若干変化

 コロナ・ショック前とショック後で、ポートフォリオは下の円グラフのように変化しました。すでに保有しているファンドは一切売らず、新たな資金で買い増ししたことで、比率が若干変わりました。

「SMT グローバル株式インデックス」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)は、MSCIコクサイ・インデックスに円ベースで連動する、日本を除く全世界株式のインデックスファンドで、私のポートフォリオでは最大の比率を占めています。評価益が積み上がっていて、課税を考えると解約したくても解約できないので保有高は変わりません。

「セゾン資産形成の達人ファンド」(セゾン投信)は長期的な視点で個別銘柄の調査を行う世界のファンドを通じて世界中の有望株に長期投資するファンド・オブ・ファンズ。投資先の「本源的価値」を追求して投資判断するファンドマネジャーにお金を託せます。コロナ・ショックの後、スポットで追加投資、毎月の積立額も増額の手続きを行いました。

「セゾン・バンガード・グローバルバランスF」(セゾン投信)は世界の株式と債券に半分ずつ投資することで分散投資を目指すファンドです。古いおつきあいです。

「ひふみ投信」(レオス・キャピタルワークス)は日本の有望成長企業に厳選投資する有名な独立系ファンド。「資本市場を通じて社会に貢献します」という理念に賛同しています。

「結い2101」(鎌倉投信)は日本に社会的利益を長期にわたってもたらすような「いい会社」に投資して、ゆっくりと安定した資産形成を目指すファンド。「いい会社を増やしましょう」という合言葉が好きです。こちらもコロナ・ショックの後、スポットで追加投資しました。

 

Q:コロナ・ショックで1月年始時点と3月末時点では、投資資産の金額はどう変わりましたか?

A:累積投資額の2倍まで増えていた資産が、+65%まで目減り

 年始時点では、総資産は累積投資額の2倍超えを達成していましたが、現在は累積投資額の1.65倍、つまり+65%の含み益になっています。買える台数は減りましたが、いまだに「含み益はベンツ数台分」です。

Q:評価額が大きく減った銘柄ワースト3を教えてください。

A:「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」「SMT グローバル株式インデックス」「中小型株ファンド」。利益確定・損失確定した投信は一切なし

 私は上記のポートフォリオ以外にも米国のインデックスETFやアクティブファンドも保有しています。

 全保有銘柄の中で最も評価額が下落したのは、ニューヨーク市場に上場しているドル建ての「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)。米国に上場する、ほぼすべての株式に投資していて、S&P500などには含まれない中小型株も投資対象にしていることもあり、年初からの下落率が▲24%と最大になりました。

 次は私のポートフォリオで最も保有比率の高い「SMT グローバル株式インデックス」で▲22%。3番目が、割安な日本の中小型株に投資する「中小型株ファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)で▲19%です。

 どんな暴落に見舞われても、長期積み立て投資をゆっくり、のんびり、じっくり続けるのが私の投資ポリシーなので、この暴落で利益確定したり、損失確定した投信は一切、ありません。

Q:コロナ・ショック後に定期預金を解約して、新たに買った投資信託はどれですか?

A :3月中旬にアクティブ株式ファンド3本を買い増し

 金額が大きい順に「セゾン資産形成の達人ファンド」、「結い2101」、米国株に長期厳選投資する「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね」になります。いずれも3月中旬、コロナ・ショックで株価が一番底をつけた3月中旬に購入しました。

 どのファンドも、魅力的な運用方針を掲げていて、今後もファンドへの資金流入が見込めそうな点が買い増しの理由です。

 さらに待機資金として定期預金にプールしてあった資金を使って、保有する主なファンドに対する月々の積立額も増やしました。

コロナ後の市場、どう読む?どう動く?

Q:ショック相場はまだ続いていますが、底値買いのタイミングはいつでしょうか?

A :目先の企業業績が見通せないので、バリュエーションだけでは判断できない

 わかりません。ただ、上場企業全体のPER(株価収益率)を見ていると、「かなり下がったなあ」と感じる、つまり、割安かもしれないと思えることはあります。

 しかし割安かもしれないと思えるのは、コロナ・ショック後も企業業績がある程度、大丈夫だ、というケースですよね。

 今回のショックは業績へのインパクトも甚大になるのがほぼ間違いありません。目先の企業業績が見通せないので、バリュエーションだけではとても「ここが買い」とは判断できない、と感じています。その感覚は日々強まっています。

Q:コロナ・ショックがここまで長引くと予想していましたか?

A:当初は短期の収束に期待していたが…

 当初はもっと短期で収束することを予測、というか期待していました。

 でも、欧米での爆発的な感染拡大を見る限り、コロナ・ショックが収束するには、1年程度、場合によっては、もっと長い時間を要するかもしれない、とも思います。なるべく早く人類がコロナに完全勝利することを願っています。

個人投資家は波乱相場とどう向き合うべきか?

Q:今回の急落で学んだことはありますか?

A:「ここが買い場だ!」と嬉々として発信するのは控えたい、と感じた

「ここが買い場だ!」というようなことを嬉々として発言したり、発信したりするのは控えたい、ということを感じましたね。

 私と同じように長くコツコツ投資してきた人の中には、経済環境の急変で止むを得ず、後ろ髪を引かれながら、投資してきた資産を現金化しなければならない人もいると想像します。そうした人のお気持ちを想像すると…。

Q:今後、コロナ・ショックが収束する過程で注目していることはありますか?

A:復興を支え、幸せの分母を増やす企業に投資したい

 平常時に戻っていく過程で、その「復興」を支えるのは企業だと思います。幸せの分母を増やしてくれるような会社を選び出して投資してくれるファンドマネジャーや投信会社に期待しています。

 投資先との関係に注目するいい機会になるという意味で、アクティブファンドにとっては大きなチャンスかもしれないな、と感じています。

Q:今回の波乱相場で動揺している初心者に、伝えたいメッセージをぜひ!

A:投資先がきちんと価値を創り出している会社ならば、いずれ、市場から正当な評価を与えられるはず

 株価は市場の評価に過ぎません。今、自分が投資している、お金を託している投資先がどんな事業活動を行っているのか。その会社は、その活動は、価値を創り出しているのか。幸せの分母を増やしてくれているか。そこに注目してください。

 きちんと価値を創り出している会社は、いずれ、市場から正当な評価を与えられるはずです。そうした会社と関係を持つ、オーナーとなることこそが、投資家の役割であり、機能であり、責任である、と私は考えています。

コロナ・ショック緊急インタビュー!個人投資家はどう動いた?

日本株・DUKE。さん編
日本株デイトレーダー・むらやんさん編
米国株・たぱぞうさん編
アクティブ投信・rennyさん編
インデックス投信・虫とり小僧さん編
勝ち組投資家が贈る、コロナ相場・サバイバル術