インデックス投信・虫とり小僧さん×コロナ・ショック
虫とり小僧さんプロフィール
家族4人で暮らす、サラリーマン兼個人投資家。子供の頃、昆虫採集が大好きな虫取り少年だったことがハンドルネームの由来。2005年に投資を始め、主にインデックスファンドの積み立てで国際分散投資を続けている。
投資にかける時間は年間たったの1~2時間程度なのに、累計の確定利益と含み益の合計は、会社勤めの年収の数倍。管理するブログ「いつか子供に伝えたいお金の話」にはインデックス投資による資産運用の他、「お金」に関する記事が豊富。
コロナ・ショックで資産は増えたor減った?何売ったor何買った?
Q:コロナ・ショックで株や投信が急落しましたが、まず行ったことはなんですか?
A:じたばたせず、マイルールに従うのみ
2月中旬から3月中旬にかけて新型コロナウイルス感染に伴うパニックが欧米にもまん延していく中、保有資産が高値から3割程度、下落しましたが、それまでは特に何もしませんでした。
基本的には「毎月、ひたすら定額資金で自動積み立てを続ける」というのがマイルール。単純ですが、このルールを貫くことでこれまで資産を大きく増やせたので、そのルールに従っただけです。
新型コロナウイルスそのものの危険性や対策については報道されている以上のことは知りません。ただ、「予想外」と呼べるような非常事態にマーケットが反応して、自分の投資しているリスク資産の時価が急落することには、なんの驚きも恐怖も感じません。
なぜなら、投資を続けていれば、こうした波乱相場もあるだろう、という大前提で資産形成を試みているからです。
Q:コロナ・ショックによる株価暴落は3月に入ってさらに激しくなりましたが、そのあとは何かされましたか。
A:保有資産3割下落で、ポートフォリオをリバランスした
保有するインデックスファンドの基準価額が高値から3割以上、下がった3月中旬に臨時のリバランスを行いました。
私のポートフォリオは非常に単純で、三菱UFJ国際投信の低コスト・インデックスファンド「eMAXIS Slim」の「バランス(8資産均等型)」に80%、先進国株式インデックスに10%、新興国株式インデックスに10%という3銘柄で構成されています。
コロナ・ショックによる急落で、新興国株式や先進国株式の比率が下がったので、比率が8:1:1になるように、先進国、新興国株インデックスの買い増しを行いました。
Q:長期資産運用の基本であるリバランス、今回はどのように行ったのですか?
A: 事前に決めた保有比率からのかい離で買い増すファンドを判断。売却はしていない
最初に決めたアセットアロケーション(資産配分)比率より上がっているアセットは売却(利食い)し、下がっているものは買い増し(逆張り)して元の比率に戻すのがリバランスです。
平時でも一定の期間ごとに見直しを行っていましたが、今回は、事前に決めた保有比率からのかい離で買い増すファンドを決めました。
リバランスの主な目的はリスクコントロールですが、株価や債券価格や為替などの上下循環(いったん下がってもまた上がる、上がってもまた下がる)を前提とすれば、長期的には高パフォーマンスに寄与します。
Q:急落後、保有する資産は具体的にどれぐらい目減りしましたか?
A:年始時点と比べてリスク資産の時価は2割以上減
年始時点と比べて、3月末時点ではリスク資産の時価は2割以上減っています。
具体的には、ポートフォリオの80%を占めていた「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」が▲16%。
その運用方針は、国内外の株式、債券、リートに8分割均等投資を行い、株が上がっている時は債券など割安な資産も買い、株が下がっている時は株式を中心に買い増しを行うというものです。どんなときもちょっと気が利いていて、下げにも多少の耐性があるのが(比率固定タイプの)バランスファンドの特徴です。
保有銘柄の中で一番下落率が小さかったものの、投資額が一番多いため、資産が目減りした額は最も大きくなりました。
下落率が最も大きかったのは「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」で▲25%、次いで「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」の▲23%。いずれもマーケット全体の急落が響きました。
コロナ後の市場、どう読む?どう動く?
Q: 多くの株や投信が割安になっていますが、3つの投信以外に買いたいものは?
A: コロナ・ショックでも運用ルール自体は不変!
投資対象を3つの投資信託に限定し、投資には時間をかけないことで、コスパを上げ、投資以外のことを楽しみたいというのが私の投資ポリシーです。なので、急落してもリバランス以外には特別なことはしません。もちろん、損切りもしません。
また、暴落相場では「底値買いするかしないか」がよくテーマになりますが、私自身は、どこが底値かを当てるのは無理と割り切っています。そもそも基本的に予想はしない、というのが私の投資スタンス。ですので、保有する3つの投信が直近高値から3割以上急落したら追加投資を含めたリバランスを行う、というマイルールを粛々と実行しただけ。
3月末にはいつもと同じように月々の定額積み立て投資も淡々と行いました。こちらは毎月の定額自動積立コースで月々の金額を設定しているだけなので、実質、ほったらかしのままです。
Q: 依然、先行き不透明な相場展開ですが、新たに買うタイミングはいつでしょう?
A: タイミングは計らない。ただ、追加投資のルールはきっちり決めている
私の場合、タイミングを計ろうとすると相場が気になって快適な生活を侵食するので、月に一度の自動積み立てと定期的なリバランスのとき以外、投資のことは考えないようにしています。
ただ、そうは言っても大きく下がったと感じたときに追加投資(臨時リバランス)したくなることもあるので、その場合は、弾切れにならぬよう、日常生活に支障が出ぬようなルールを設定しています。
Q:追加投資のルールを詳しく教えて下さい。
A:一回あたり・ひと月あたりの追加投資額上限や、追加投資をストップする基準を設ける。生活防衛資金には手をつけない
具体的には、
・追加投資は、1回あたり5万円まで
・追加投資は、1カ月あたり最大20万円まで
・想定下落期間(追加投資期間)は最長3年間程度
・無リスク資産の残額が、「流動性資金(生活運転資金)」と「生活防衛資金」と「近い将来使途が明確なお金」の合計額を下回りそうになったら、どんな状況であってもそれ以上は絶対に追加投資はしない
・無リスク資産内の生活防衛資金に手をつけない
といったルールです(※あくまで数値は参考例)。
2008年のリーマン・ショックのときの反省で、10年以上前に決めたルールです。
当然、このルールを遂行するためには、想定最大下落幅や想定最長下落期間を「予測」する必要があります。予測がハズれてしまうこともあるので、万が一、資産の下落期間や下落幅が想定する「最大・最長」を上回った場合にどんな非常時ルールで対応するかも決めておく必要があります。
また、このルールに従うと、一気には買えないので、仮に下落したリスク資産がすぐに値を戻してしまうと「買い場」を逃す可能性もあります。
でも、急落後にすぐに相場が回復するのは、それほど投資対象が格安でおいしいレベルまで値下がりしていない証拠。本格的な下落相場はすぐに値が戻るような甘いものではない、と私は考えています。
Q:不安定な相場はいつ頃まで続くと思いますか?
A:数年以上続く可能性を想定
基本的には予想はしない(予想を投資判断には反映させない)スタンスですが、このような状況が数年以上続く可能性は一応想定しています。
個人投資家は波乱相場とどう向き合うべきか?
Q:今回の急落で学んだことはありますか?
A:今回の急落は全くの想定内。波乱相場もある、という前提で資産形成をしている
特にありません。全くの想定内です。
前回の暴落といえばリーマン・ショック前後。2007年に米国住宅市場でサブプライムローン問題が勃発し、だらだらと1年半くらいかけて3割下げ、そこからさらに2008年のリーマン・ショックで3割下げました。
あのときのようなメンタルを削られるような下げ相場に比べると、一気に下がっただけなので、まだちょっとパンチが足りないような気もします。
Q:リーマン・ショックの教訓を教えてください。
A:「いま買わないと損する!」という前のめりのテンションはよくない。常に暴落も想定し、追加投資は少しずつ、が大前提
私は投資を始めてから3年ほどで2008年のリーマン・ショックを体験し、リスク資産が大幅な元本割れとなりましたが、そのときは「これは、自分よりも先に投資を始めていてリスク資産の取得単価が低そうな先輩投資家に追いつく絶好のチャンスだ!」などと考えながら、アドレナリンをまき散らして、暴落初期に調子に乗って追加投資をし過ぎてしまいました。
そのせいで、だらだらと下げたあと、本当にリスク資産が極端に安くなったとき、投資用の資金が枯渇するという憂き目に遭いました。「いま買わないと損する!」というような前のめりのテンションはあまり、よくないと思います。たとえ、暴落後の大底で買えなかったとしても、別に損するわけではありません。
なので、常に標準偏差の2倍を超えるような暴落もあり得るものと想定し、追加投資するとしても、少しずつ、が大前提です。それがリスクヘッジといえばヘッジでしょうか。そのおかけで、投資を始めて15年ほど経ちますが、今回の暴落を加味しても、年率平均で4%ちょいの成績を残せています。個人的には充分に満足ですね。
Q:まだまだショック相場が続きそうですが、どんな心構えで臨みますか?
A:「こうなる」と決めつけず、「なんでもこい! いくらでもこい!」という姿勢で
停滞相場が続くかもしれませんし、バブルになるかもしれません。「必ずこうなる」などと決めつけず、「なんでもこい! いくらでもこい!」の姿勢でいようと思います。
相場に関して、さまざまな未来を想定して「こういうことがあるかもしれない」と備えておくことは大切だと思いますが、「こうなるに違いない」という構えはそのうち「こうなってくれ!」という願望となり、やがて眠れぬ夜を過ごす日々に導かれてしまいそうです。
たとえ論理的根拠があったとしても、相場は個人の思い通りには動きません。多くの場合、私たち素人個人投資家が「自分は相場が読める」という前提に立つことは危険だと、私は考えています。
Q:今回の波乱相場で動揺している投資初心者に一言ください。
A:ほったらかしのドルコスト平均法が無難
相場の先を予測しようとして、ややこしいことを考えたり実践したりしても、世界中の株式や債券に淡々と毎月同額を積み立てる「ドルコスト平均法」よりも高パフォーマンスを残せるのかどうかは微妙なところです。
何らかのルールにのっとって追加投資をするとしても、その計算やら判断やらにあんまり頭や時間を使いすぎると、快適な生活を侵食しかねません。私が実践している国際分散積み立てインデックス投資の最大の魅力のひとつは、手間がかからずコスパがいいことなので、「たまに」「ほどほど」でいいと思います。
もしかしたら、ブログを書いたり、それをこまめに読んだりするようなマニア以外の普通の人は「余計なことはしないのが一番」かもしれません。
特に長期積立投資を行っている方は、波乱相場でも淡々と積み立てを続けて、そのことを忘れてほったらかしにしておく、ぐらいのスタンスが最も健全といえるのではないでしょうか。
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