不安が強まる中、一筋の「希望の灯」も見えた
先週の日経平均は、1週間で1,678円(9.4%)上昇し、1万9,498円となりました。私が考えている当面のレンジ(1万6,500円~1万9,500円)の上限に迫っています。ここで戻りいっぱいとなり、ここから反落すると考えるべきでしょうか?あるいは、このまま続伸する可能性もあるでしょうか?
日経平均日足:2020年1月4日~4月10日
テクニカル分析で考えると、3月中旬に日経平均が1万6,500円まで下がったのは「売られ過ぎ」だったと判断されます。ただし、そこから1週間で一気に1万9,500円まで戻したのは、「反発が速過ぎ」でした。4月に入り、一時1万7,646円まで下落したあと、再び反発して1万9,500円をトライしています。
私は、新型コロナの感染拡大に歯止めがかかっていない中、このまま一本調子で上昇が続くのは難しいと考えています。テクニカル分析でいうと「日柄調整が十分でない」ので、ここら辺りで戻りいっぱいとなり、目先、反落すると考えています。
ただし、まだかなり先と考えられますが、治療薬・ワクチンが開発され、新型コロナが終息に向かい、経済が正常化する際には、日経平均は2万円を超えて、上昇していくと予想しています。したがって、長期投資では引き続き「買い場」と判断しています。短期的に日経平均反落を予想するものの、長期的には上昇を予想しています。
なお、3月中旬につけた日経平均1万6,500円は「売られ過ぎ」で、日経平均はもうその水準を下回らないと予想しています。ただし、新型コロナの感染拡大が長期化し、上場企業の破綻が増え、金融危機が起こる場合は、その限りでありません。現時点で、そうなる前に、治療薬やワクチンの開発が進むと予想しています。
外国人が買いに転じるなら、このまま上昇が続く可能性も
日経平均が、反落するか続伸するか、鍵を握るのは、外国人投資家です。割り切った言い方をすれば、「外国人が売れば下がり、外国人が買えば上がる」。それだけです。
過去30年、日本株を動かしてきたのは、外国人投資家でした。国内投資家ではありません。外国人は、売る時は下値を叩いて売り、買う時は上値を追って買ってきます。したがって、外国人次第で相場の方向が決まる傾向が、30年近く続いています。
先々週までの、主体別売買データが出ていますので、そこまでの動きを、振り返ります。
コロナショック下の投資主体別売買動向:2020年2月25日~4月3日
上の表で、事業法人の買いは、大部分が「自社株買い」です。信託銀行は、主に年金基金の買いと推定されますが、一部日本銀行の買いが入っている可能性はあります。
ご覧いただくとわかる通り、日経平均を暴落させたのは、外国人投資家です。外国人は、2月25日から4月3日まで、一貫して売り越しています。売りは合わせて2兆6,292億円に達しています。この中には、あくまでも推定ですが、中東産油国のSWF(国家資金ファンド)の売りが含まれている可能性もあります。原油急落によって原油収入が大きく減る中、必要な国家収入を補うため、保有している日本株などの金融資産を売った可能性はあります。
上の「投資主体別売買動向」は、株式現物の売買だけ表しています。外国人は、この他に、株価指数先物も売り越しています。表で示した期間(2月25日~4月3日)に、日経平均先物を、1兆3,013億円も売り越しています。現物・先物合わせると、外国人はなんと3兆9,305億円も売り越していました。
まだ、統計データが出ていませんが、日経平均が1,678円も上昇した先週(4月6~10日)、外国人は日本株を売ったのでしょうか、買ったのでしょうか? 日経平均の上昇が大きいことを考えると、先週、外国人は久々に日本株を買い越した可能性があります。
ここで、最初の問いに戻ります。日経平均は、1万9,500円で戻りいっぱいなのでしょうか? それとも、さらに続伸するのでしょうか? それは外国人次第と言えます。
外国人がここから日本株を買い続けるのならば、日経平均は2万円に向けて上昇し続けることになるでしょう。私は、まだ、外国人が継続して日本株を買う条件は整っていないと考えています。ただし、予断は許しません。外国人が重視していると考えられる、以下の強弱材料の変化を注意深く、見ていく必要があります。
【弱材料】
◆日本および欧米で、感染者の拡大が続いていること。
◆感染を抑えるための経済封鎖で、世界の景気・企業業績が急激に悪化していること。
【強材料】
◆世界各国が協調して、「何でもあり」の巨額経済対策を出してきていること。
◆新型コロナの「治療薬・ワクチン・簡単な検査方法」の開発が進み始めていること。
◆早くに外出禁止を打ち出した中国・イタリアなどで感染がピークアウトしつつあること。
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