日本株デイトレーダー、むらやんさん×コロナ・ショック

▼むらやんさんプロフィール

 吉本興業の芸人を目指すも方向転換。2005年、不動産の営業マンをして貯めた500万円を元手に専業デイトレーダーの道に入る。破天荒なキャラやトレードをつづったブログ「むらやんが株やってます。」が大人気に。最近はツイッター「むらやん/村上直樹」での情報発信が多い。株のデイトレで資産を最高1億9,000万円まで増やすものの、大きく負け越したり、大逆転の挽回劇を演じたり、ドラマチックでスリリングなトレード技法は多くの個人投資家の注目を集めている。最近は各種投資セミナーの講師も務める。

コロナ・ショックで資産は増えたor減った? 何売ったor何買った?

Q:コロナ・ショックによる株価急落を見て、最初に行ったことはなんですか?

A:保有銘柄の8割を売却し、キャッシュポジションへ転換!

 米国のCDC(米疾病対策センター)が「アメリカでの感染爆発は避けられない」と警鐘を鳴らした2月末のNYダウ平均株価の急落で翌朝、日経平均株価も大きく下げて始まりました。そのときに「これは危ないかも」と思って、持っていた株の約8割を売却しました。

「これはいつもと違う!」と感じたのは、夜間に行われている海外の株価、特にNYダウ平均株価の1,000ドルほどの下落、それと同時に日経平均株価の夜間CFD(差金決済)取引価格が▲1,000円以上の下落、また円高への方向も強かった下がる幅、下げる過程でリバウンドがまったく見られなかったことです。投機資金の流出を感じたのが、過去の経験則と比べての大きな違和感でした。

 危機を感じた後、具体的に売却したのは保有する株式の40%を占めていた投資銀行業のフィンテックグローバル(8789)をはじめ、オンラインゲームのAiming(3911)、アイドルのSKE48を抱えるエンターテイメント業のKeyHolder(4712)、がん治療のオンコセラピー・サイエンス(4564)の4銘柄です。

 現状、まだ保有しているのはフィンテックグローバル(含み損300万円)、投資情報会社のフィスコ(同200万円)、投資会社のウェッジHD(同200万円)の3銘柄。いずれも株価100円以下の低位株で、あとはオール現金です。

Q:コロナ・ショック後、新たに株を買ったりしましたか?

A:気になる銘柄をいくつか購入、ただし現在は現金100%

 僕の場合、すべて短期リバウンド狙いですぐに売ってしまいますが、日経平均先物が1万6,500円のとき、夜間取引で買いを入れたりしました。初心者の方には真似してほしくないですが、株価が100円割れしている低位株のコンテンツ配信事業ブロードメディア(4347)や液晶大手のジャパンディスプレイ(6740)の短期売買も行っています。

 株主優待が欲しかったので急落したJALも、3月末の優待権利付き最終日の前に買いました。こちらは割引優待航空券をもらうために購入しました。

 ただし、これらの銘柄は含み損で保有しているものでなく、保有していて下げで損切りしたり、新規で買ったりし、その後損切りしたりと、約1,000万円近く負ける過程で損切りした内容になるので、現在保有している株はありません。またJALは長期保有目当てでなく、優待の権利を取った後はすぐに売却しましたので、現在はすでに保有していません。現状のポートフォリオは現金100%です。

Q:急落後、保有する資産は具体的にどれぐらい目減りしましたか?

A:年初から1,000万円程度の資金減

 フィンテックの含み損300万円など、年初から1,000万円ほど資金が減りました。ただ、2月末時点でほぼ現金化を済ませたので、過去の僕の波乱に満ちた投資成績からすれば、それほど大きな痛手ではないかもしれません。

Q:多くの株がかなり割安な株価まで下落しましたが、買いたい株はありますか?

A:リバウンド狙いのETF、コロナ影響薄の銘柄に注目中

 こういう暴落相場では必ずリバウンドがあるので短期的なリバウンドを狙って「NF日経レバレッジETF」(1570)は底値買いできるものならしたいです。それ以外に、底値買いに興味がある銘柄ラインナップを挙げてみました。

銘柄名 コード 買いたい理由
TOKYO BASE  3415 人気セレクトショップとしてまだまだ成長しそうだから
サイバーステップ 3810 ゲーム株で実需に影響が少なそうだから
フィンテックグローバル 8789 負け続けているのでリベンジしたい
ケネディクスREIT  3453 高配当だから
キムラタン  8107 名前がかわいいから
ミクシィ  2121 高配当でまた一発何かで当てそうだから

コロナ後の市場、どう読む?どう動く?

Q:コロナ・ショックがここまで長引くと思っていましたか?

A ここまで広がるとは思っていなかった…

 長年、株をやっていて感染病関連のニュースが出たときは、SARS(重症急性呼吸器症候群)にせよ、MERS(中東呼吸器症候群)、エボラ出血熱にせよ、過去の事例はたいしたことがなかったので、ここまで広がって市場に影響するとはまったく思っていませんでした。どうせ、全体相場が下がって、マスクや防護服や特効薬がらみの関連株が急騰して、すぐに終わりでしょ、と思っていたので、正直びっくりしています。ただ、暴落が続く過程で、通常ならかなり派手なリバウンドがあってもおかしくないのに、2月下旬までさしたるリバウンドもなく大きく下げ続けたので、これはいつもとは違うかも、と気づきました。いつもなら日経平均先物をヘッジ売りしたりしますが、今回は特段、何もしていませんでした。

Q:今回の急落で学んだことはありますか?

A:冷静なつもりだったが…。もっと冷静さを保つべきだった

 過去の感染症による急落相場の値動きと比べてしまい、安易に考えてしまったことは後悔していることの1つです。また激しく急落しているときに無理やり取引して損失を増やしてしまったことも反省点。冷静に売却できたつもりでしたが、やはりどこかで、コロナ・ショックに冷静になりきれていなかったと反省しています。

Q:依然、先行き不透明な状況ですが、新たに買うタイミングはいつ?

A:コロナ影響を、企業が数字で発表し始めた頃!

 一通りの企業がコロナ・ショックで今後の業績にどれぐらい悪影響が出るか、具体的な数字を発表できるレベルになったときじゃないでしょうか。配当や優待、業績の下方修正や減損処理の数字がある程度、把握できないと、なかなか長期保有目的で株を買うのは難しいと思いますね。

Q:まだまだコロナ・ショックが続きそうですが、どんな心構えで臨む?

A:今後の相場はボックス6割、下落4割?歴代ショックを参考に

 ここからしばらくは、大きく上下に振れるボックス相場の確率が6割、残りの4割はゆるやかな下落相場が続くと予想しています。まだまだ長い時間軸での株価上昇は期待できないのではないでしょうか。アベノミクスが始まった2012年の年末以降、「株は上がるもの」というのが基本的な考え方だったように思います。でも、今後は長い時間軸での上昇にはあまり期待せず、適度な時間軸、すなわち、あくまで短期目線、中期目線で内容のいい銘柄を見極めていきたいと思っています。

Q:相場が落ち着くシグナルはなんでしょうか?

A:個人投資家の復活がカギ

 僕が取引の対象にしている新興株は個人投資家の取引が7割強を占めています。なので個人投資家の財布が潤ってきて、新興市場にお金が再度、流入してくるようになるまでは、おっかなびっくりで気を引き締めて毎日を過ごしてゆくしかありません。

投資が怖くなった、初心者投資家へのアドバイス!

Q:今回の波乱相場で動揺している投資初心者に一言!

A:次にくる「〇〇ショック」への経験値と捉えよう

 株式投資を15年以上もやっていると、過去にも2006年1月のライブドアショック、2008年9月のリーマンショック、2009~2010年にかけてのギリシャショック、2011年の震災ショックなど、似たような相場は何度もありました。今回のコロナ・ショックも基本的には過去の歴代ショックのときの下げ方とある意味、似ています。

 アベノミクスが始まった2013年以降に株を始めた投資家さんにとっては、今回のコロナ・ショックが初めてといっていい大きな暴落相場だと思います。僕自身が数々のショックを傷だらけになりながら、なんとか切り抜けて、ここまでやってこられたのも、過去にさまざまな暴落相場を経験できたから。投資初心者の方も、コロナ・ショックの痛い経験を忘れないように、今後の展開や来たるべき次の「〇〇ショック」の教訓にするのがいいと思います。

 今現在、正直な話、「もう株なんて見たくない。触りたくもない…」というほど痛手を負った方もいると思われますし、私もそれなりに資金を減らしました。私も過去に起こった今回のコロナ・ショックのような下落相場で「株はやめたほうがいいんじゃないか?」と思うような時期が何度もありましたが、悪い時期に無理やり取引するのでなく、地合いのいい時期に投入できる資金を温存しておき、普段難しいときは無理せず、自分でも勝ちやすい、来たるときにガッツリ相場に張るようにしたら、結果的に資産を増やすことができました。

 私は愛媛の田舎の偏差値も低い工業高校が最終学歴で、記憶力も悪く、勉学は一切してきませんでした。皆さんはきっと私よりは賢いと思いますので、「あいつにできるなら自分にもできる!」くらいの気持ちで、投資の世界を嫌いにならずに、余剰資金で末永く明るい気持ちで前向きに市場とお付き合いしてもらえたらと思います。厳しい時期もありますが、いい時期もあるのでそのサイクルを待ちましょう!!

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