優待生活をおくる桐谷さんのご自宅には、大量の優待品が送られます。

 ご自宅に足を踏み入れると、玄関には、未開封のダンボールが積まれており、廊下にはお米やカップ麺がところ狭しと陳列(?)されています。

優待品の使い方

――優待品に囲まれていますが…お食事券や商品割引券、クオカードのような金券はどうしているのですか?

桐谷 財布に、期限が近いもの・使うだろう優待券を入れて持ち歩いています。金券を使うために毎日いろいろな店に出向いたり、講演先で見つけた店に飛び込んで使ったり。欲しいという人にあげたりしています。そうしないと有効期限内に使い切れない。

財布には大量の優待券や商品券が。ありすぎて探せない…。

――桐谷さんは映画が好きですよね。

桐谷 はい。映画は優待で見ています。東京テアトル(9633)の「株主ご優待綴(つづり)」は、半年で4回映画が見られます。

 新宿武蔵野館を運営する武蔵野興業(9635)の「映画無料優待券」は、100株保有で半年ごとに「新宿武蔵野館映画無料優待券」6枚と「映画割引優待券」6枚がもらえます。
 「綴」から切り離すと無効なので、友達にあげることができなくなりました(涙)。

――最近は映画を見ていますか? 

桐谷 見ていますよ。

――毎日忙しいのに……(どんな映画を見たんですかと聞きかけて) 

桐谷 常に見ていないと失効してしまうので。

――さすがです笑。

映画好きな桐谷さん。1日に2回見ることもしばしば。

桐谷 タイトルも覚えていますよ。英国の貧困を描いた「家族を想うとき」。これはエンドロールの途中で退出して、同じ映画館の別のスクリーンで上映していた「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」を見ました。

 気球で前人未到の高度記録に挑んだ二人を描いた映画でした。

桐谷さんの失敗銘柄

――投資経験が豊富な優待名人の桐谷さんでも銘柄選びで失敗しますか?

桐谷 ありますよ。ペッパーフードサービス(3053)は、2017年後半から2018年前半かけて8,000円台の高値をつけていました。2018年夏頃から下がり始めて1,300円台になった。私は下がっている株を買うのが好きなのです。「落ちてくるナイフはつかむな」というでしょう。

――それは、ナイフを落ちている最中につかもうとすると刃でケガをするという格言ですよね。途中で、つかんじゃダメ。格言に従って、床に刺さってから(底値になってから)拾えばいい。

桐谷 でも、どこが最安値なのか分かりませんよね。だから私は「落ちてくるナイフ」をつかみます。会社が潰れない限り、どこかで底を打って値上がりに転じますから。それを気長に待てるのも優待投資のいいところです。

――ペッパーフードサービスはいくらで買ったのですか。

桐谷 1,376円で買いました。その後下がったので、700円台で200株のナンピンを入れました。

――「落ちてくるナイフ」で手を切ったじゃないですか。

桐谷 実は、ペッパーフードサービスを買うのは2回目。1回目は含み損が消えて「やれやれ」と思って売った直後に「いきなりステーキ」が人気になって株価が10倍、20倍になった。購入後も株価下落が止まらない。この銘柄はうまく買えませんね。

――優待名人にも相性の悪い銘柄があるのですね。他には?

桐谷 昔持っていた「家庭用美容健康機器のヤーマン(6630)」。当時は10万円の投資で美顔器など1万円相当の品物がもらえた。優待内容がいいのでビューっと値上がりしました。利益確定のために売ったら、そこから10倍くらいになった。そこで下がってきたところでもう一度、1,280円で買いました。2年未満で5,000円相当、2年以上で1万円相当だから、少しくらい値下がりしてもいいかなと思っていたら、半値になってしまった。

 任天堂向けの半導体を造っているメガチップス(6875)は、2019年の5月に1,250円で買い、9月に1,699円で売って4万円ほどの利益になった。ところが売った直後に2,500円を超えた。早く売りすぎて失敗したと後悔しました。

――メガチップスは損をしたわけではないけれど、大きなもうけにはならなかったというわけですね。 

桐谷 最後に、ニイタカ(4465)は、2019年5月に優待品の内容が変更になりました。変更前は5月現在の株主にジェフグルメカード500円相当、11月現在の株主に自社製品詰め合わせでした。自社製品詰め合わせということで、お米と具材とだしがセットになった「釜めし」がもらえた。

 おいしいから毎年楽しみにしていました。ところが、それが5月と同じジェフグルメカード500円相当に変わってしまった。

――桐谷さん的に改悪ですね。 

桐谷 1,200円くらい(100株で12万円)で買って、10年以上保有していました。1月22日に1,950円(100株で19万5,000円)の指値をしたら売れた。ところが6日後に2,979円(100株で29万7,900円)まで上がった。7万5,000円くらいの利益は得たけれど、もう少し我慢していればさらに10万円もうかったはずでした。

――なんと!もったいない。

桐谷 そうですね。欲をいったらきりがないので、満足するようにはしています。

――株主優待の楽しさがよく分かりました。

桐谷 優待投資が向くのは若い人だけではありません。優待投資には、ぼけ防止の効果もあると思っているから、年配の方にもお勧めです。

――それは、どういうことですか?

優待で「ぼけ防止」!と桐谷さん

桐谷 資産を現金のままため込んでおくと、使わないから外出しなくなる。けれど、優待銘柄を買って優待券をもらうと、有効期限があるから使うために外出するでしょ。すると店員さんと会話をすることになるし、友達を誘えばもっといろいろな会話が楽しめる。

――桐谷さんのように自転車に乗ってどこにでも、とはいかなくても、外出すれば体を動かすから運動になりますね。

編集後記
優待で人生を大きく変えた桐谷さん。株主優待は、長期投資に向いているので、年齢を問わず投資初心者にも向いているし、世の中のためにもなる。
ご自宅は、目に移るもののほとんどが優待品で圧倒されましたが、生き生きとお話される桐谷さんをみて、健康長寿の秘訣なのかもしれない。と思いました。

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