節約から投資までお金のことをわかりやすく解説する人気ブログ『ノマド的節約術』を運営する松本博樹さんインタビュー、後編をお届けします。

 松本さんは「支出を減らす」「収入を増やす」に加え、「お金を増やす」、つまり投資にも積極的に取り組んでいます。そこで、松本さんの主な投資対象であるインデックスファンドとロボアドバイザーについて聞きました。

積み立て9年で20%増えた

──ここからは投資についてお伺いしたく思います。ブログによると会社員時代も株やF
X(外国為替証拠金取引)をやっていたそうですね。

 はい、一時期、株とFXに投資していました。ただ、あまり成績はよくなかったですね。FXは30万円ほどマイナスになったところで、これ以上入れ込むのは危険、と思い撤退しました。

──今は投資信託がメインで、他にロボアドバイザーもやっているんですね。

 はい。あと、株主優待狙いで個別株を買うこともあります。

──まず投資信託について伺います。会社を辞めてすぐインデックスファンドを購入されたんですよね。

 前に話したように、会社員時代にある程度の貯金はあったので、まずはインデックスファンドの積み立てを始めました。

 会社員時代に株やFXを買っていたとはいえ、専門知識があったわけではありません。それで何冊か本を読んだりして勉強したところ、インデックスファンドに投資するのがいいかなと思いました。

──毎月どのくらい積み立てていたんですか。

 最初は微々たるものでした。たしか月2,000円か3,000円程度だったと思います。その後、収入が増えるにつれ、積み立て額を増やしていきました。

──少し前にインデックスファンドの運用実績をYouTubeで公開されましたよね。

楽天証券で投資信託を2年間260万円を積立してどうなった?驚きの結果に…!(節約ちゃんねる)2020年1月25日公開―YouTube

 はい、今はネット証券2社でインデックスファンドの積み立てを行っているので、それぞれ公開しました。

──そのうちの1社の動画を見ましたが、けっこうスゴイですね。2011年から積み立てた元本がトータル700万円以上、それが9年で1,000万円近くになっています。

 私も、こまめにチェックしているわけではないので、その数字を見て驚きました(笑)。9年で200万円少し、20%以上増えていましたから。ただ、今現在、どれくらいの金額になっているかはあまり気にしていません。

──なぜですか。

 インデックス投資を始めたのは、あくまでも将来への備えのためです。だから大事なのは20年後、30年後いくらに増えているかなんです。

──なるほど。でもやっぱり、増えればうれしいですよね。

 それはそうですね。でも今回、YouTubeで公開した運用実績は少し出来過ぎかなという思いもあるんです。

 今は市況がいいから1,000万円近くに増えていますが(※)、何カ月かしたら下落するかもしれません。銀行預金と違い、預ける期間に比例して増えるわけではありませんから。事実、1年単位で見ると、2018年など大きなマイナスになった年もあります。

※インタビューは2020年1月下旬に実施。

──つまり、いい年もあれば悪い年もあるから一喜一憂しても仕方ない、ということでしょうか。

 そういうことです。おそらく今後もよくなったり悪くなったりすると思います。ひょっとするとリーマン・ショックのような世界的な金融危機が再び訪れ、一時的にはガクッと下がるかもしれません。でも、20年、30年経ったときに増えていればOKだと思っています。

──長期的に見れば増えるだろうと考えていますか。

 もちろん、絶対ではありませんが、その可能性は高いと思います。

──ところで、インデックスファンドには日本株に投資するものや外国株に投資するもの、あるいは債券や不動産に投資するものなどいろいろな商品があります。松本さんはどんなファンドを保有しているのですか。

 日本株ではなく外国株に投資するファンドが多いですね。先進国ものから新興国ものまで幅広く保有しています。

──これからインデックスファンドを始める人には何をすすめますか。

 私は投資の専門家ではないので、あくまでも参考程度に受け止めてほしいですが、やはり外国株に投資するものが良いかもしれません。あと、日本株、外国株、国内債券、外国債券などに幅広く投資するバランス型もリスクを分散できるのでおすすめします。

株主優待を仕入れて売ることもしていた松本さん。JR、ANA、JAL、吉野家、ラウンドワン、第一興商などの優待は高く売れるのだそう。「あとは自分がよく行く店の優待ですね。私の場合は、ベビー用品を買っていたスギ薬局とか、子供の誕生日に写真が撮れるスタジオアリスの優待を使っています」

投資初心者はロボアドから始めてみよう

──続いてロボアド(※)についてお伺いします。これはいつから始めたのですか。

※コンピューターのアルゴリズムに基づいて資産運用の一部または全部を代行してくれる投資サービス

 2017年ですから2年と少し前です。日本で買えるロボアドはいくつかありますが、私は3つに投資しています。といっても、本格的に資金分散しようと思ったわけではなく、お金に関するブログの運営者としていろいろ試しておこうと思ったんです。

──運用成績はどうですか。

 それが予想以上に良くて、どれも2年で数%から10%程度の利益が出ています。

──楽天証券が運用する「楽ラップ」はいかがですか?

 もちろん、利用していますよ! 「楽ラップ」は投資対象がインデックスファンドなんです。そのせいなのか、手数料が低く設定されていて、うれしいですね。あと、これはたまたまかもしれませんが、下落したときの下落幅が他のロボアドサービスに比べて緩やかでした。

──ロボアドはリスク許容度(※)によって運用コースを選択できますよね。松本さんはどんなコースを選んでいますか?

※どれくらいのマイナスなら資金的・精神的に耐えられるかの度合い。リスク許容度が高いほど、取れるリスクと期待リターンは大きくなる。

 3つともリスク許容度が高いコースだったと思います。だから、10%近い運用成績が出ているのかもしれません。その分、市況が悪くなったらガクンと下落する可能性もありますが、それは覚悟の上です。

──ロボアドもインデックスファンド同様、長期的に増えればいいということですね。

 その通りです。

──ロボアドの魅力を語っていただけますか。

 いちばんはやはり手軽に始められることでしょう。口座を開設してお金を入れておけば、自動的に運用してくれるわけですから。

 もちろん、インデックスファンドも手軽に始めることができます。でも、何十、何百とあるファンドのなかからどれかを選ぶという作業が必要です。日本株にしようか、外国株にしようか、株にしようか、債券にしようかとか、選択肢が多くて判断に迷います。

 ロボアドはそれすら必要ありません。知識も時間もない人にはピッタリだと思います。

──しかも、先ほどの話だと運用成績も期待できるんですね。

 はい。少し前までは「AIに運用を任せてほんとに大丈夫なの?」という見方もあったかもしれません。でも、今はどのロボアドも実績を残しているので、そういう不安は解消されつつあります。個人的には十分、信用に足ると思います。

──ここまでインデックスファンドとロボアドについてお伺いしましたが、今後トライしてみたいことはありますか。

 しいていえば個別株ですかね。今も株主優待狙いで買っていますが、そろそろ本格的に取り組んでみようかなと。

──短期取引でキャピタルゲインを狙うのですか。

 いえ、それは考えていません。むしろ配当金狙いですね。大量に株を保有し、配当金で暮らす(笑)。いつか実現したいですね。

──今日はありがとうございました。

「節約は投資だ」。支出を減らすことは、お金を増やすことに密接につながっています。「今は浮いたお金は家族のために使い、それ以上の分は投資に回しています」

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