節約から投資までお金のことをわかりやすく解説する人気ブログ『ノマド的節約術』を運営する松本博樹さんのインタビュー、中編をお届けします。

 松本さんは会社を退職後、節約生活を送る一方、ものを仕入れてネットで販売する「せどり」などで一定の収入を得ていました。今回は会社員でも実践できる、収入を増やす方法について話を聞きました。

「せどり」で月20万~30万円の稼ぎに

──前回、会社を辞めた後、節約されたというお話を伺いました。ただ、いくら節約しても収入がゼロだとお金は減る一方ですよね。その不安はなかったのですか。

 もちろん、ありました。だから、何か収入を得る方法はないかと毎日あれこれ考え、いろいろ試すようになりました。

──例えばどんなことですか。

 まずやったのが、不用品を売ることです。私は音楽が好きで、1,000枚くらいCDを持っていました。それに会社を辞めた後、アパートを引き払って実家に戻ったので、使わなくなった家具や家電製品がけっこうありました。それらをネットオークションに出品したんです。

──売れるものですか。

 けっこう売れましたよ。家電だと炊飯器や電子レンジ、電気ポットなどを出品しましたが、それなりの金額で売れました。CDはものによって高く売れるものもあれば、そうでないものもありました。

──どんなCDが高く売れるのですか。

 最近になってブレークしたアーティストやバンドの初期の作品は高く売れる傾向があります。あとはパッケージに工夫が凝らされていたり、いろいろな特典がついた初回限定版のCDとか。

 私はまだメジャーになる前のサカナクションやRADWIMPSの初回限定版を持っていたのですが、どれもけっこういい値段がつきました。

──どのくらいの収入になりましたか。

 最初のうちは月10万円を超えることもありました。

──不用品を売って月10万円! それはうれしいですね。でも、いずれ売るものがなくなってしまいますよね。

 そうです、それで俗にいう「せどり」を始めたんです。

──つまり、自分でものを仕入れて売るようになった、ということですね。

 不用品を出品してみたら、とくに珍しいものでなくてもそこそこの値段で売れました。だったら、どこかで安く仕入れて、適正な相場で売れば、利益が出るのではないかと思いました。

──なるほど。でも、かなり難しかったのではないでしょうか? そもそも安く仕入れるということが難しそうに思えます。それに上乗せしすぎると、誰も買ってくれないでしょうし…。

 はい。それで、CDと音楽DVDを仕入れて売ることにしたんです。自分の得意分野なので、売れ筋などがわかるというのが大きな理由ですが、もう一つ、CDと音楽DVDなら安く仕入れられると思ったんです。

──それはなぜですか。

 中古品を扱う店舗がけっこうありますよね。ああいうお店はたまにセールを行うんです。全品半額とか、30%オフとか。

 そういう日に店に行き、売れそうなCDと音楽DVDをまとめ買いして、ネットで販売するんです。30%、50%オフで買ったものを、相場、つまり、もとの値段で売るので、利益が出ます。

──なるほど。でも、ネットで売ると手数料がかかりますし、手間のわりに結局、薄利になったりしませんか。

 たしかに単価が高いものではないので、一つ一つはそう大きな利益にはなりません。なので、私は数をこなすようにしました。1品あたりの利益は数百円でも何十、何百と売ればそれなりの金額になります。

 事実、せどりに力を入れていたときは、月20万~30万円の利益がありました。

──月20万~30万円! すごいですね。

 そのぶん労力をかけていました。週のうち3日か4日は仕入れや発送に充てていました。

──会社勤めの人でも副業でできるかなと思いましたが、それだけの労力が必要となるとちょっと難しいでしょうか。

 いえ、やろうと思えばできると思います。仕入れや発送は土日を充てればいいですし。ただ、さすがに月20万~30万円は難しいかもしれませんね。

 小遣い稼ぎ程度でいいなら、チャレンジしてみるといいと思います。

──ちなみに松本さんのようにCDや音楽DVDを売るとしたら、どんなアーティスト、どんな分野が狙い目ですか。

 いちばん確実なのはアイドルグループでしょう。私も中古店のセールに行って、人気絶頂のアイドルグループのCDや音楽DVDを見つけたら、多少高くても迷わず買うようにしていました。アイドルに詳しいなら、これから人気が出そうなグループのCDとかを青田買いしておくといいかもしれません。

「1週間に3~4日を仕入れ・発送に充てていた時は、結構しんどかったです(笑)」と振り返る松本さん。高く売るコツは、商品名・型番・著者名などキーワードをちゃんと入れることと、売れ筋が分かるジャンル=自分がくわしいジャンルのものを仕入れること。

持ち家のある人は「Airbnb」に登録する方法も

──他に試したことはありますか。

 当時、家を建てていたとお話ししましたが、完成して引っ越し後、民泊にトライしました。

──外国人旅行者などの宿泊を受け入れた、ということですね。

 自分の家を宿として提供したいという人と、旅先で宿を探している旅行者をマッチングする「カウチサーフィン」というサービスがあります。最初は外国の人たちと交流を持ちたいと思い、これに登録しました。

 日本ではまだ利用者が少ないようですが、欧米では広く普及しているサービスなので、かなり問い合わせがあり、何十組か受け入れました。

 ただ、「カウチサーフィン」は無料で宿を提供するシステムなんです。だから、お金にはなりません。その後、有料にできる「Airbnb」が始まったので、そちらに切り替えました。

──「Airbnb」は日本でもずいぶん普及してきましたが、登録するとすぐにお客がつくものですか。

 たぶん立地や宿泊料の設定などによると思います。私の家は交通の便がいいところではないし、観光地でもないので、こんなところまで来てもらえるかなと思っていましたが、そこそこ問い合わせがありました。

──どのくらいの料金に設定したのですか。

 1人だと4,980円、2人だと6,980円だったと思います。

──ひと月何人くらい受け入れていたのですか。

 月1〜2組が数泊するというところですかね。だから、月2万円くらいの収入がありました。

──今はやめているんですか。

「Airbnb」を始めて1年少し経った頃、2人目の子供を妊娠したんです。それで体力的に受け入れの余裕がなくなってきて。その頃はフリーランスとしての仕事が軌道に乗り、収入の不安もなくなったので、もういいかなと。

──なるほど。持ち家の人という条件付きにはなりますが、これもせどり同様、会社員でもできないことはないですね。どうでしょう、おすすめできますか。

 副収入を得る方法としてはアリだと思います。自宅に空き部屋があれば可能ですし、食事を用意しなければならないわけではないので、それほど労力は必要ありません。

 ただ、相手は外国人旅行者なので当然、言葉が通じない場合もありますし、面倒なことが起こるかもしれません。それでも挑戦してみたいという人は試してみるといいでしょう。

──お金のためだけでなく、いろんな国の人と交流したいといった思いがある人のほうが成功しやすいかもしれませんね。

 そうですね。泊まってくれる人も、体験や交流を求めて民泊を選んでいます。

 台湾や香港からのお客さんが多くて、夕飯を一緒に食べたりしていました。そのうちの一人とは、台湾旅行に行ったときに再会してご飯をおごってもらったこともあります。

──民泊ならではの素敵な体験ですね! それでは、次回は投資についてお話をお伺いします。

「お金を知って、心にゆとりを。」は『ノマド的節約術』のキャッチフレーズ。手前にいるのは、松本さんが運営する2つのサイト『ノマド的節約術』『日本全国のおみやげデータベース OMIYA!』のマスコットたちです。

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