企業業績見通しの下方修正続く

 日経平均は、2万4,000円の節目をなかなか超えられない状況が続いています。2万2,000円、2万3,000円の節目は一時もみ合ってから上へ抜けています。ところが、2万4,000円の節は、米中「第1段階合意」が成立し、NYダウが上場来高値を更新しても、抜けません。これから本格化する10~12月期決算を見極めたいとのムードがあるためと思います。

日経平均週足:2018年1月4日~20年1月21日

 

 2019年10~12月期は、まだ景気・企業業績とも不振で、10~12月の実績を発表すると同時に、通期(2020年3月期)の業績見通しを引き下げる企業が増えると考えています。10~12月は、中国景気悪化、自動車世界販売の減少、10月1日の消費税引き上げなどの逆風があって、日本の企業業績は苦戦が続いている模様です。

 私は、4月頃から世界景気は回復に向かい、それに伴って日本企業の業績モメンタムも改善すると予想しています。昨年10月以降の日経平均上昇は、今年4月以降の景気回復を織り込む動きだったと考えています。

 ただし、目先は10~12月の景気・企業業績が不振であったことを再確認することになると思います。これから開かれる10~12月期の決算説明会では、「10~12月は悪いが、4月以降に回復が期待される」といった説明が増えると予想しています。

東証一部上場、主要841社の業績動向

 3月期決算主要841社の純利益(前期比増減率)についてまとめた以下の表をご覧ください。

東証一部3月期決算主要841社の連結純利益(前期比):2016年3月期~2019年3月期(実績)、20年3月期(会社予想)・21年3月期(楽天証券予想)

出所:楽天証券経済研究所が作成。2020年3月期について、純利益の会社予想を発表していない野村HD、ソフトバンクG、リクルートHD、東京電力HDなどは市場予想を、三菱UFJ FGは会社目標を使った。市場予想は、1月21日時点の日経QUICKコンセンサス予想

 ここで注目していただきたいのは、業績モメンタム(勢い)です。企業が発表する業績予想の上方修正が優勢なとき、モメンタムは○、下方修正が優勢なときは×としています。

 2019年3月期の期初業績予想が出揃った2018年5月以降、業績モメンタムの悪化が続いています。2019年3月期は最終的に▲6.2%の減益となりました。今期(2020年3月期)に入っても、業績モメンタムは悪いままです。これから本格化する10~12月決算発表でも、まだ下方修正が優勢と予想しています。

 いつ、業績モメンタムは上向きに変わるのでしょうか? 私は、4月ころからと考えています。4月ごろから5G(第5世代移動体通信)・半導体の投資が世界的に盛り上がり、世界景気は底入れすると考えています。それに伴い、楽天証券では、2021年3月期の主要841社純利益は+8.7%の増益に転じると予想しています。

 来期の増益が見えてくるまで、今しばらく時間がかかります。当面は、日経平均は2万4,000円の値固めとなりそうです。足元の不振の再確認と、先行き回復期待の綱引きとなりそうです。

 

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