あけましておめでとうございます。本年も、当コラムをよろしくお願いいたします。

日経平均は2万4,000円を達成してから上値が重くなる

 12月の日経平均株価は、1カ月で363円上昇して2万3,656円となりました。世界的な株高の波に乗って、日経平均にも外国人の買いが増えました。以下が主な上昇要因です。

【1】米中通商交渉で「部分合意」が成立する見込みとなったこと
【2】米中が互いに制裁関税を一部引き下げる可能性を示唆したこと
【3】2020年から5G(第5世代移動体通信)や半導体への投資が世界的に盛り上がり、世界景気回復につながる期待が出たことこと

 ただし、一時2万4,000円台に乗せた後、利益確定売りが増え、日経平均は反落しました。

日経平均株価週足:2018年1月19日~2019年12月末

 

 上のチャートをご覧いただくと分かる通り、日経平均は昨年10月から上昇が加速しています。それでも心理的節目となっている2万2,000円、2万3,000円、2万4,000円では利益確定売りが出て、もみ合いとなっています(チャートの黄色で囲んだ部分)。2万2,000円、2万3,000円は、しばらくもみ合った後、上へ抜けましたが、2万4,000円はまだ抜けきっていません。

 トランプ米大統領が示唆している通り、1月15日に米中首脳が署名して「部分合意」が正式に発効するのを、見極めたいとのムードがあります。

1月3日に円高株安進む
米国によるイラン革命防衛隊司令官殺害の報道受け

 1月3日(金)米政府は、トランプ大統領の指示により、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆して殺害したと発表しました。イランは報復を表明しています。これで、中東情勢が一気に緊迫化する可能性が出ました。米政府は、自衛行為だと正当化していますが、法律の専門家から国際法に違反しているとの非難もあります。

 この報道を受けて、1月3日のNYダウは2日につけた最高値から233ドル下がって2万8,634ドルとなりました。為替市場ではリスクオフの円高が進み、一時1ドル108.12円をつけました。
 この報道を受け、大発会の日経平均は、下がってスタートする可能性があります。

1月の日経平均は上値の重い展開か、下落局面があれば「買い場」と判断

 中東情勢の緊迫化がなくとも、1月の日経平均はいったん反落する可能性がありました。1月は、足元(2019年10~12月)の景気・企業業績が厳しいものだったことを再確認することになると考えられるからです。

 中国の景気悪化で、中国関連・設備投資関連株の業績が落ち込んでいます。また、自動車の世界販売が落ち込んでいる影響から自動車関連株の業績も不振です。それに加え、10~12月は、消費増税が日本の消費を下押ししました。

 10~12月の景気指標・企業業績が発表になる1・2月は、実態悪の確認によって、日経平均には下押し圧力がかかりやすいと考えています。

 一方、1月には先行き(4月以降)の景気・企業業績の回復期待が出ると考えられます。5Gや半導体の投資が世界的に盛り上がってくる兆しが増えると考えられます。米中対立が緩和すれば、中国の設備投資が回復する期待も出るでしょう。先行きの回復期待は、日経平均が上昇する要因となります。

 1月の日経平均は、実態悪と先行き回復期待の綱引きとなります。1・2月は売り圧力がやや勝り、日経平均は2万3,000円近くまで下がる可能性があると考えています。ただし、3~4月以降には、景気回復期待による買い圧力が勝り、日経平均は上値を抜けていくと予想しています。年央(6~9月)に2万6,000~2万7,000円をつけると予想しています。1・2月に日経平均が売られる局面があれば、積極的に買っていくべきと考えています。

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー
2019年12月30日 2020年の日経平均。年央に2万6,000~2万7,000円を予想する理由
2019年12月26日 1~3月の人気優待トップ10:アナリストの視点でチェック
2019年12月24日 10~12月が強いと1月は弱い?日経平均、1月のアノマリーに要注意