株価が高値を更新したタイミングで買い、さらに高くなるのを待って売る、という「新高値ブレイク投資術」で成功を収めたDUKE。さんのインタビュー後編をお届けします。今回は実際に購入するときの注意点、損切りの方法、売り時の見極め方などについて聞きました。

 

特定の銘柄に入れ込みすぎるのは危険!

──DUKEさん。は著書のなかで、投資する資金の大きさや各銘柄への配分の仕方など、いわゆるポジションサイズ・マネジメントの重要性にも触れています。そこはやはり大事なポイントですか?

 僕は、投資で最も大切なのは「大負けしないこと」だと思っています。当たり前のことですが、投資で勝ち続けるのは不可能です。投資の神様といわれるウォーレン・バフェットでさえ、負けるときは負けるんです。では、何が大事かというと、負けたときの損失を少なくすることです。万が一、大きく負けて資産の大半を失うことになったら、市場からの撤退を余儀なくされかねません。

 でも、一つ一つの負けが小さければ、負けがこんでも投資を続けることができる。そして、続けていればいつかチャンスがめぐってくる。つまり、ポジションサイズというのは、勝つための戦術であると同時に、大負けしないための戦術でもあるんです。

──具体的にはどのようなことを心掛ければいいのでしょうか。

 僕自身についていうと、まず保有するのは5銘柄と決めてます。実はライブドア・ショックの後、ある銘柄に惚れ込み、資産のほぼすべてを注ぎ込んだことがありました。ところが、その後暴落し、ひどい目に逢いました(笑)。そのとき1銘柄に集中投資する危険性を思い知らされ、以降、複数の銘柄を持つようになったんです。

──前回、失敗から多くの教訓を得たとおっしゃいましたが、これもそのひとつといえそうですね。

 そうですね。あのときの失敗がポジションサイズ・マネジメントの重要性を教えてくれました。

──5銘柄というのは決して多いほうではないですよね。もっと多く持っている人もいると思うのですが。

損切り=投資家の登竜門、とDUKE。さん。「誰でも間違えますが、間違えた後が大事。20代で始める人は、間違える資金も少ないしリカバリーの時間もたくさん取れるので、中年で始める人よりたくさん失敗できて有利です(笑)。伸びしろを信じて、小さな失敗をたくさんしてください」

 大負けしない、ということだけを考えるなら、より多く持ってリスクを分散したほうが得策かもしれません。10銘柄持っていれば、そのうちの一つが暴落しても、被害は10分の1で済むわけですから。

 でも、逆も言えるわけです。そのうちの一つが大化けしても、投資額を分散していれば、大きな利益にはならない。だから、あまり多く持ちすぎるのも効率的とは言えません。要するにリスクとリターンのバランスを考えた結果、5銘柄という結論にたどり着いたんです。

  ただし、投資資金が少ない人は、5銘柄だと、一つ一つにあてる金額が少なすぎるので、2、3銘柄がベターかもしれません。資金力と相談して、保有銘柄数を検討するといいかもしれませんね。

──資金の配分はどうされているのですか。この銘柄は絶対に上がると思ったらほかよりも多めに買ったりするのですか?

 いえ、すべて均等です。投資資金が1,000万円だとしたら、200万円ずつ買うということです。

──自信のある銘柄だともっと買いたくなりませんか?

 思うときもあります。でも、自信があるからといって、それが正しいとは限らないのは、これまでたくさんの失敗で学んできました。自信のない銘柄のほうが上がることだってありましたし、自分の感覚を過信しないようにしています。

 先ほど、ある銘柄に惚れ込んだ挙句、大金を失った話をしましたが、特定の銘柄に入れ込みすぎるのはやっぱり危険なんです。冷静な判断ができなくなりますから。それを回避するためにすべて同じ金額だけ買うというルールを定めたんです。もちろん「もっと買っておけばよかった」と後悔することはありますよ。でも、それを言い出したらキリがないですから。

まずは5分の1だけ買い、10%の含み損が出たら損切りする

──新しい銘柄を購入するときはいきなりまとめてドカンと買うのですか?

  いえ、それはないですね。まずは少しだけ買って様子を見ます。

──どれくらい買うのですか?

 これも決めていて、まずは5分の1だけ買います。

──一つの銘柄に投資資金の5分の1を入れるわけですよね。そのさらに5分の1ということですか。

 そういうことです。で、これはいけそうと思ったら買い増していきます。

──では、反対に株価が下がったら?

 もちろん買い増しはしません。そのまま様子を見て、10%の含み損が出たら、すぐに売却します。これもルールとして決めているのですが、僕はいついかなるときでも10%の損失が出たら売ることにしているんです。

向学心あふれるDUKE。さんの言葉。同じチャートやニュースを見ていたとしても、好奇心があるかどうかで、ヒントをチャンスに変えられるかどうかが決まる

──損切りルールは「損失=10%」なんですね。

 はい、損切りをためらわないというのも大負けを避けるための大きなポイントだと思っています。これもかつての失敗から学びました。

──まずは投資総額の5分の1の、さらに5分の1を買い、10%の損失が出たら損切りする。このルールを守っていれば、たしかに大負けは避けられるかもしれないですね。

 投資資金が1,000万円だとしても、5分の1(=200万)×5分の1(=40万)×10分の1(=4万円)ですから、4万円の損失で済みます。

──とはいえ、なかなか損切りができないという人も多いと思います。もう少し待てば上昇に転じるかもしれないなどと思ってしまいますし。

 そこは決断するしかないでしょうね。そもそも上がると思って買ったのに10%下がったわけですから、その時点でもう、自分が間違っていた、と考えるべきなんです。だから、素直に引き下がったほうがいい。それに、そこから株価が上昇する可能性もたしかにありますが、反対にどん底まで落ちていくこともあるわけです。そうなったらもはや取り返しがつきません。

株を売買した日は「投資日記」を付けよう

──最大で5銘柄保有しているとのことですが、当然、入れ替えがあるわけですよね。

 もちろんです。これはもう売り時だなと思ったら売って、そのお金で代わりの銘柄を購入します。どうしても買いたい銘柄を見つけたので、どれかを売って購入するということもあります。

──保有している株を手放すタイミングは、どうやって判断しているのですか?

 僕の場合は、原則、テクニカル優先です。要するに株価チャートを見て判断します。これも少し専門的な話になりますが、一定の変動の範囲内で価格が上下する塊である「ボックス」を見て、下抜けする動きを見せたときなど、何らかの悪材料が織り込まれた可能性が高いので、売却を検討します。このあたりもチャートについて勉強すれば、理解できるようになると思います。


──ファンダメンタルズの観点から売却することはないのですか?

 それもありますよ。例えば、国が何らかの政策を発表したことが追い風となり、ある銘柄が新高値をつけたとしますよね。ところが、何カ月か後、その政策が突然打ち切られた。こうした場合はすぐに売却します。

──購入後もその企業の動きや周辺環境をチェックしておくことが大事ですね。

 それは基本中の基本です。

──最初に株を買ってから利益を確定させるまでの期間はどれくらいなのですか?

 それは銘柄によりますし、相場の状況によっても違います。相場がいいと長期にわたって上昇を続けることが多いので、2年、3年保有することも珍しくありません。それに対して相場が冷え込んでいるときは、突然、悪材料が浮上したりするので、長く持つのはリスキーです。だから、少し早めに利益を確定させます。


──そもそもDUKE。さんの勝率はどれくらいなのですか?

 平均すると4割くらいですかね。5銘柄買ったらおおよそ2勝3敗ということです。

──だとすると収支はマイナスでは?

 それがそうではないんです。先ほど話したように僕は10%含み損が出たら損切りするので、3つの負けを合計しても最大マイナス30%にしかなりません。だから、例えば残りの2つの銘柄が2倍になったとすると、それだけでもう大きなプラスになります。

──どれくらいプラスになりますか?

 投資資金1,000万円で5銘柄200万円ずつ買うとすると、2銘柄が200万円から400万円に増えるので、合計するとプラス400万円。3銘柄は200万円から180万円に減るので、合計するとマイナス60万円。差し引き340万円のプラスです。

──その計算だと、一つでも2倍になればプラスになりそうですね。

 それだとプラスが200万円なのに対して、マイナスが合計80万円ですから、差し引き120万円のプラスになります。

──1勝4敗でも収支はプラスになると。なんか勝てそうな気がしてきました(笑)。

 僕が2012年に新高値投資を始めてから3、4年間は、2倍どころか、10倍、20倍に大化けした銘柄がかなりありました。一方で、マイナス10%になったら売るというと損切りルールは守っていました。ですから、実際には今の計算よりはるかに大きな利益を得ることができました。年間1億円も可能だったわけです。

──昨年は投資家にとって厳しい1年でしたが、多少勝率は落ちましたか?

 いえ、景気がいいときと勝率は変わらず、昨年も2勝3敗ペースでした。ただし、収支はダウンしました。大化けする銘柄が少なかったこと、リスク回避のためポジションサイズを小さくした、つまり投資総額を制限したこと、それから先ほど話したように早めに利益を確定させたので取りこぼしが増えたのも一因かもしれません。

投資日記には日々の記録がぎっしり!「間違ったこともいっぱい書いてあるのであんまりアップで撮影しないで(笑)」とDUKE。さん。自分の投資歴を冷静に振り返るために、投資初心者はぜひ真似したい

──さすがに相場が悪いときはリスクを取れないですよね。

 そう。ですから、収支がダウンしたのは致し方ないと考えています。

──これからの相場をどう読みますか?

 最近、少し復調してきたので胸をなで下ろしている人もいるでしょうが、安心するのはまだ早いかもしれません。これからまた谷がやってくる可能性も十分にあるでしょう。しばらくは様子見かなと思っています。

──では、最後に、投資初心者へのアドバイスをいただけますか。

 僕は、株を売ったり買ったりした日には必ず日記をつけるようにしています。なぜ売ったのか、なぜ買ったのか、迷いはなかったか、どう気持ちが動いたのかなどを書き残しておきます。これが後々、役立ちます。例えば保有している銘柄が下落したときなど、買った日の日記を読むと、自分が間違った考えを持っていたことや、冷静さを失っていたことに気づきます。自分の行動を戒める反省材料になるんです。

──思っていることを文字にすると自分の考えや感情を整理できるという良さもありますよね。

 そう、思わぬ気づきがあったりします。ですから、これから株式投資を始める人には、1冊ノートを用意し、「投資日記」をつけることをお勧めします。

──今日はどうもありがとうございました。

 

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