人気ブログ「DUKE。のサーフィンインベストメント」やツイッター(@investorduke)で投資情報を発信。株価が高値を更新したタイミングで買い、さらに高くなるのを待って売る、という「新高値ブレイク投資術」で大きな成功を収めたDUKE。さんのインタビュー中編をお届けします。今回は、新高値銘柄の探し方、さらには新高値銘柄のなかから大化けする株を見つける方法について聞きました。

 

小さい会社のほうが大きな利益を狙える

──前回、新高値銘柄に着目する理由をお聞きしましたが、ここからは実践的なお話を聞かせてください。まずは基本的なことですが、新高値銘柄ってどうやって探せばいいんですか。  

 ひと昔前は1銘柄ずつチャートをチェックしなければなりませんでしたが、今はスクリーニングという便利な方法があります。証券会社が提供しているウェブサイトや、株式投資関連のサイトにあるスクリーニング機能を利用すれば、その日、高値を更新した銘柄を探し出すことができます。誰でも簡単にできますから、ぜひ試してみてください。ちなみに僕は「株探(かぶたん)」をよく利用しています。

──新高値といっても「上場来高値」や「年初来高値」があるわけですよね。そのうちのどれをチェックすればいいのでしょうか。

  もちろん「上場来高値」ならかなり有望といえます。でも、上場以来の高値を更新するなんてそう滅多にありません。そういう意味ではまずは「昨年来高値」や「年初来高値」で検索するといいと思います。

──そうすると1日にどれくらいの銘柄が出てくるものですか?

 相場の状況によって全く違います。昨年の後半などは相場がよくなかったため、数えるほどでした。一方、相場が活況を呈しているときだと400銘柄、500銘柄に及ぶこともあります。

──とすると、そこから絞り込むのが大変ですね。

 はい。スクリーニングで抽出した銘柄の中から大化けする銘柄をどう探し出すか。それが一番のポイントになります。

具体的なチャートを見たいときは、楽天証券のマーケット・スピード。新高値銘柄を探すときは株探など、自分が使いやすい機能を持ったサイトやアプリを使い分けているDUKE。さん

──DUKEさん。はどうやって絞りこんでいるのでしょうか?

 僕はまず大型株を除きます。なぜかというと、大きい会社の場合、何かの好材料によって年初来高値を記録したとしても、そこから一気に2倍、3倍に上がるということは考えにくいからです。数ある事業、数ある商品のなかの一つが成功した程度では、大きく変動することはありません。新高値がついたときに買うメリットが薄いわけです。 その点、小さい会社だと、一つのヒット商品によって会社全体の売上げが2倍になったりします。だから、株価が急上昇することもあるんです。

──具体的には、どれくらいの規模の会社が狙い目といえますか?

 どれだけ投資資金を充てられるかにもよるので一概にはいえませんが、僕自身は時価総額(発行株式数×株価)500億円以内を目安にしています。少ない資金で投資を始めるときは、時価総額200億円以内くらいの銘柄を狙うのが賢明かもしれません。

──大きい会社をふるい落としたら、その次は?

 業種をチェックします。以前、テンバガー、つまり10倍になった株の業種別内訳を調べたことがあるのですが、1位が情報・通信、2位がサービス業、3位が小売業という結果になりました。一方で、水産・農林業、鉱業、石油・石炭製品、電気・ガス業、海運業、倉庫・運送関連業、銀行業などは1銘柄も該当しませんでした。あまり発展性のないディフェンシブな業種や、構造的に成長を見込みにくい業種の銘柄は、急激に株価が上がることはあまりないんです。ですから、これらの業種も除きます。

株価チャートの見方を覚えよう

──企業規模や業種である程度、除いたとしてもまだまだ多くの銘柄が残ると思うのですが、そこからはどのように絞っていくのですか?

  次は、高値の「更新状況」をチェックします。高値を更新するといっても、ほんの少しだけ更新するケースもあれば大きく更新するケースもあり、1日だけ更新して動きが止まってしまうケースもあれば、何日も更新し続けるケースもあります。ですから、そうした動きをチェックして候補を絞っていきます。要は値上がり幅の大きい銘柄や更新回数の多い銘柄を拾っていくわけです。当然、値幅制限いっぱいまで株価が上昇したストップ高の銘柄などは狙い目になります。1日の株価上昇率のランキングを掲載しているところもあるので、それらを参考にするのもいいでしょう。

──そうした株価の動きはチャートを見て判断するのですか?

 はい。1週間、1カ月、1年の株価の動きをグラフ化した株価チャートは、市場参加者の心理なども読み取ることができるので、どのように株価が動いていくのかを探る重要なツールといえます。

──具体的にはどんなところを見るのですか?

 単に株価がどう推移しているかだけでなく、いろいろなところを見ます。少し専門的になりますが、ブレイクするまでどれくらい保ち合い期間があったのか、その間の値幅はどうだったか、*カップウィズハンドルが形成されているか、ブレイク時に出来高も増えているかなど。それらを総合的に判断して大化けするかどうかを考えるわけです。

*カップウィズハンドル=株価チャートの一つのパターン。 コーヒーカップのような形のチャートを形成している 状態で、下降トレンドから上昇トレンドに大きく転換するパターンのこと。

──投資初心者には難しそうですね。

 ちょっと勉強すればすぐに理解できると思いますよ。中長期投資をメインとする人にはファンダメンタルズ派が多いと思いますが、テクニカル分析もできるようになれば効率がぐんと上がるはずです。株価チャートを読むのはテクニカル分析の基本ですから、ぜひ身につけてほしいですね。

疑問点や不明点があったら直接会社に電話してみる

──株価の動きを分析してさらに絞り込んだら、次はどうされるのですか?

 ここで初めてファンダメンタルズ分析に移ります。ぞれぞれの企業の決算資料などから、実際にどれくらいの利益を得ているのか、今後も成長を続けることができるのかなどを検討するわけです。

3カ月以内だと、いいな、と思う新高値銘柄が30銘柄ぐらいは見つかる、というDUKE。さん。その中からさらにファンダメンタルを分析し、絞り込む。ファンダメンタル分析の基本は、
1. 収益性
2. 持続性
3. 確実性
の3点

──どんな数字をチェックするのですか?

 僕の場合、まず過去3~5年程度の経常利益をチェックします。年率で5~10%以上伸びていて、途中大幅な減益がなければよしとします。ただし、直近1、2年に関してはもうちょっと伸びがほしいところですね。年率20%以上、年率30%以上であれば文句なしです。

 また、直近の四半期の数字も大事です。今後の値動きを探るには一番新しい数字こそが最大の手掛かりになりますから。目安としては前年同期比で経常利益が20%以上、売上高が10%以上だとまずまずといえるでしょう。もちろん、対前年同期比だけでなく、前の四半期からの伸びもチェックします。

──DUKE。さんは会社員時代、会計部門で働いていたわけですから、数字の分析はお手のものなのでは?

 たしかに僕の強みではあります。ただ、じゃあ、数字だけ見ればいいかというと、そうではありません。とくに小さい会社の場合は経営者の資質や考え方を知ることが大事ですし、その会社の事業を取り巻く環境の変化などにも目を配る必要があります。当然、ライバル会社の動向などを知ることも大事です。

──それらの情報はどのように入手するのですか。

 ニュースサイトなどで収集します。僕がよく利用する「株探」も、それぞれの銘柄のページに「ニュース」コーナーがあり、ここを開くと業績予想や売上高速報などとともに各部門や事業部の動向、新製品や新事業の案内、人事異動の告知などさまざまなトピックスを見ることができます。

──最近は個人投資家向けに説明会を開く会社も多いですが、そうした場に出向いたりもしますか。

 はい。行くようにしています。これは株主総会も一緒ですが、経営者の生の声を聞けるうえ、こちらから質問ができるので、有意義な情報を手に入れることができるんです。あと、僕はIR(アイアール/investor relations:投資家向け広報活動を担当している部署)に直接電話することも多いですね。

──会社のIR部門に電話するのですか。

 はい、たとえば決算短信を読んでいて疑問点や不明点があったとしますよね。そういうときに直接電話して聞いてみるんです。

──いきなり電話して対応してもらえますか? 怪しまれたりしないのでしょうか?

「株主です」と名乗れば、だいたい対応してもらえます。まだ株を買っていない場合も「購入を検討している」と伝えれば問題ありません。さすがにその場で回答を得られることは少ないですが、こちらの連絡先を伝えると、折り返し電話が来て、丁寧に答えてくれます。

──過去に断られたことはないですか。

 いや、何度かあります。社名は伏せますが、個人投資家に対しては個別の対応はしないとのことでした。「そういう会社なんだな」と思って、その会社の株を買うのはやめました(笑)。

──企業に電話して質問するときの注意点はありますか。

  決算資料を読めばわかるようなことを聞くのではなく、「この人はうちのことをよく調べているな」とか「なかなか鋭い質問じゃないか」などと相手が思ってくれたら、きちんと対応してもらえるはずです。

──では、後編は、実際に買ってから売るまでの注意点などについて伺います!

 

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