しんた:高校2年生。中学からお年玉のお金で運用をしているインテリ高校生。クイズ研究部の部長
ひな:しんたの同級生。クイズ研究部の部員
先生:社会担当で、クイズ部顧問のくるみ先生
ひな:最近の株価ってどうなっているの?
しんた:ひなちゃん、投資について興味を持ってきたね!
そういえば、2018年の年末に2019年は上がらないんじゃない……? って話していたけど、実際どうなんだろう?
先生:今のところ、日経平均株価は下がっていたのが止まって、少し上がってきているよ。
ひな:なんで上がってきたの?
先生:「何もなかった」が理由じゃないかな。「下げたあとで反発」はよくあることだから。グラフを見てみよう。
2019年1月の市場環境をおさらい
先生:下の日経平均のグラフを見てみて。私たちが市場に注目した年末あたりが安値で、その後反発してるでしょ?
日経平均株価終値(日次) 2017/12/25~2019/2/12
ひな:本当だ! 年末が投資のチャンスだったってこと!? 下落にびっくりして、投資しそびれちゃったよ。
しんた:それって結果論だよ。もっと下がる可能性だってあったわけだし。あの大幅下落のときに、「買おう!」って考えられるタイミングなんて、なかった気がする。
先生:その通り。先行きをあてるなんて不可能だからね。とはいえ、昨年、株価下落の要因となった事象について、現状どうなっているか、見てみよう。
先生:きっかけは、ずっと下がり続けていた原油価格が下げ止まって反発したので、マーケットに安心感が出たのがひとつの要因。
しんた:だから石油関連の会社がたくさん含まれている「バンクローンやハイイールド社債」も反発した、ってことだね。(参考:株価が下落!2019年はどうなる?)
ひな:アメリカのトランプ政権に不安もあるんだよね? アメリカと中国の貿易摩擦も解消していないままだし。
しんた:そっか。だから、反発したと言っても、下げ始めた10月上旬までは回復していないんだ。
先生:私もそう思う。今後は、市場環境の動き次第でどっちになるか……。
今後の株価の動きはどうなる?
先生:アメリカの政策金利を決める権限を持つFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに対する考えはおさまってきているよ。
ひな:金利が上がると景気が後退して株価は下落しやすいってことだったよね。金利上昇の不安がなくなったから、株価も下げ止まった、ってこと?(参考13話:金利について>>)
先生:それがね、なかなか難しいんだけど、景気後退不安が増加してきたから、利上げに対する表現が和らいだ、っていう見方もあるの。
しんた:つまり、「これまで好調だったアメリカの景気が一服した」から、いったん金利を上げるのをやめようってこと?
先生:そんな感じかしら。
ひな:難しい! 一体、何が起こったんだろう!
先生:私の個人としては、原油価格等が下げてきたところで、年越し前に、一部資産を売った人たちがいたんじゃないかな。ヨーロッパやアメリカの企業決算は、「年末」が「年度末」となるのが一般的だから、決算が悪くなりそうと予想していたと思う。
しんた:年明けの反発は、なにか材料があったわけではなくて、環境が変わらず何も無かったから買った人がいて、株価が上がったのかな。
ひな:そういう可能性もあるってことだね。勉強になるなぁ。
先生:米中貿易摩擦はひとつの山場を迎えているし、さらにトランプ政権不安は全然解消されていないから、2月から3月はまだまだ動きがありそう。例えば、いま話題の米中通商会議がうまくまとまらなければ、両国の関税戦争が再発して、先行き不安が増大し、株価が下がりそうだし。
しんた:逆に、うまくまとまると、関税がかかるリスクが減る。つまり、企業収益が増加する期待が上がって、株価は上昇するかもしれない!
先生:その通り! 今は、どっちにも動けず様子見って感じなの。
J-REITは堅調!?
先生:前回、もうひとつ、グラフを出したんだけど、覚えているかな?
しんた:J-REIT(ジェイ・リート:国内の上場不動産投資信託)ですね。16話で見た、オフィスの空室率、引き続き下がっているみたいです。つまりは、稼働率は引き続き上昇中。だから、J-REIT指数も上昇中。
東証J-REIT指数(日次) 2016/12/22~2019/2/12
ひな:あれ、しんた君、不動産は弱気じゃなかったっけ?
しんた:うん。今でも弱気。
ひな:へんなの。
先生:まぁまぁ。しんた君の言うとおり、これ以上空室率が下がる可能性は少ないからね。それに、他の資産より値動きが激しくなくて、利回りがそこそこ高いから買われた側面もあるんじゃないかな。
ひな:あ、さっき言ってた、年末にいろいろな資産を売ったお金、J-REITに回った可能性もありますね。
しんた:そうそう!それ、言おうと思ってた!
ひな:しんた君、空室率が上昇局面(稼働率が下落局面)に転じてもいないのに、なんで弱気なの?
しんた:実はね、気になるグラフを手に入れたんだよ。
首都圏の新築マンションの初月契約率と在庫戸数(月次) 2007年1月~2018年12月
しんた:初月契約率、って、当初募集から1カ月の間に契約された割合で、好況不況の基準ラインが70%と言われているんだ。2016年以降、70%割れが増えてきたんだけど、衝撃的なのが、足元のデータ。
10月が68.3%→11月が53.9%→12月が49.4%。12月の数値は約27年ぶりの低水準。
ひな:27年ぶり! 私、生まれてないし!!
先生:在庫も急増してるね。リーマンショック当時と肩を並べる水準だね。
しんた:アメリカのサブプライムショックの影響もあったと思うけど、日本でも2007年に住宅市況が不動産市況全体に先行して悪化したんだ。だから、今回も住宅市況の悪化が不動産市況に先行しているかもしれない、と思って。
ひな:なんか、説得力ある!
先生:しんた君、勉強してるね!!
しんた:えへ。この話、ぜーんぶ父さんの受け売りです!!!
ひな:…。
先生:……。いわなきゃいいのにね。
ひな:私もそう思う。
■参考資料
米国10年国債終値(日次) 2017/12/22~2019/2/11
WTI原油価格終値(日次) 2017/12/22~2018/12/24
S&Pバンクローン売買価格終値(月次) 1998/12~2019/1
バンクローンETF終値(週次) 2011/3/4~2019/2/1
ハイイールド社債ETF終値(月次) 2007/4~2019/1
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