9月は中間決算の多い時期。権利が確定する優待株が3月の次に多い月です。優待ブロガーのかすみちゃんに、オススメの9月優待株や手堅く優待権利を獲得できる投資法についてインタビューしました。

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注目の9月優待銘柄

――9月は特に人気の優待月ですが、注目の銘柄はありますか?

2017年度9月の優待券

 外食系優待では、カッパ・クリエイト(7421)に注目しています。100株が約13万円台の投資で9月末・3月末の年2回、それぞれ3,000円分の優待ポイントがもらえます。同社は居酒屋「甘太郎」のコロワイドグループの傘下ですが、その優待ポイントは自社の「かっぱ寿司」だけでなく、「ステーキ宮」などのアトム(7412)や居酒屋「甘太郎」などのコロワイド(7616)の店舗でも使える点がとても便利。カード形式のポイント制なので、1円単位で使えて現金いらずで飲食ができます。

 少し地味ですが、選べる優待商品が豊富でトライしてみたいのは、パチンコ店向けホール管理システムのダイコク電機(6430)でしょうか。9月末に100株(約16万円台)保有するとプレミアム優待倶楽部ポイントが3,000円分贈呈されます。ポイントはネット上の株主限定サイトで食品、飲料、電化製品などと交換できるんですが、選べる商品が約600種類と非常に豊富なことがオススメです。しかも、1年以上長期保有するともらえるポイントが3,300ポイントに増えます。

フォーシーズホールディングスの優待品

 9月が権利月の美容系優待では、化粧品通販会社フォーシーズホールディングス(3726)がお得度満点だと思います。100株が約6万円台の投資で、化粧品通販の「フェヴリナ」または「サイエンスボーテ」で利用できる1万円分のクーポン券、もしくはヘアケアセットや美容サプリセットなどの株主優待商品から1点を選択できます。化粧品関連の優待は優待おトク度が高く、目立った優待改悪や廃止が少ない点も安心です。

 変わったところでは、マンガやアニメの中古品販売を行っているまんだらけ(2652)。100株(約6万円台)で9月末と3月末の年2回、自社発行の季刊誌や小冊子がもらえるほか、9月末株主には「まんだらけ」で使える優待券2,000円分がもらえるので、漫画やアニメ好きな方にはぴったりの優待です。こちらも1年以上継続保有すると、優待券が5,000円分にアップするので、ぜひ長期保有して優待グレードアップを狙いたいですね。

 ヤマダ電機(9831)も優待銘柄として有名ですね。6万円前後のお手軽価格で購入できて年間3,000円分のお買物優待券がもらえるお得な優待です。※買物1,000円ごとに500円券1枚使えます。家電だけでなく日用品や食品が売っている店舗もあるので、使い勝手が良いです。1年以上の長期保有で優待がアップするので、長期保有がおすすめです。

 

9月優待銘柄の買い時は…!

――9月優待銘柄はまだ買い? 

 今年9月の優待の権利付き最終日は月末が土日なので少し早い9月25日(火)です。9月の優待株は人気が高く、権利付き最終日に向けて株価がすでに上昇しまっている株も多いので正直、買いかどうかは値動き次第です。株価というのは、世界経済の情勢次第で急落したり、逆に急騰したりすることもあるので、こればかりは読めません。

――購入の判断基準は?

 やはり人気の高い優待株を優待権利付き最終日の1カ月ぐらい前になると優待ファンの買いで株価が上昇してしまいがち。割安に仕込みたいなら、優待権利月の3カ月前くらい前には購入しておくほうがいいと思います。また権利が確定する日までに、自分の買い値より株主配当や優待価値以上に株価が上昇している場合、長期保有するつもりがないなら、優待権利は取得せず、利益確定してしまうのも一つの手だと思います。むろん、長期でじっくり保有したい、応援したいと思うなら、株価が多少高くなりすぎていたとしても、直前で買ってもいいとは思います。

 

失敗しない優待上級者テク

――優待株投資で勝つためのテクニックは?

 私の場合、権利付き確定の1カ月前くらいの時期に優待株を買うときは、現物株を単独で購入するのではなく、優待の権利だけを得る「クロス(両建)取引」での取得を考えることが多いです。

 優待株は、権利付き最終日の翌営業日(その期の優待権利がもらえない権利落ち日)になると、株価が優待価値以上に急落してしまうことも多くなるからです。

 

※優待の権利を得るクロス取引

※優待権利確定日当日に現物株買いと信用取引を使った空売りを同時に入れて、優待の権利だけを得ること。現物買いとカラ売りを両建てすることで損益のプラスとマイナスが相殺されるが、現物株を保有しているので優待の権利は獲得できる。翌営業日の権利落ち日に、購入した現物株を「現渡(げんわたし)」することで信用取引の空売り取引を決済すれば、株価の値動きに関してはまったくノーリスクで優待権利を獲得できる。

※人気優待株の場合、優待株投資家が大挙してクロス取引を行うため、「逆日歩(ぎゃくひぶ)」という空売りコストが高額になるリスクがあり、注意が必要。(空売りをするためには、証券会社などから株を借りてくる必要があるが、空売り残高が増加すると、貸し株の追加調達コスト品貸料(しながしりょう)と空売りの保有日数をかけたものが逆日歩がかかる。)

※制度信用を使った空売りでは証券取引所が品貸料の最高料率を設定しているので、最大逆日歩がいくらかがチェック可能。証券会社が独自に行っている一般信用取引の場合は、証券会社が設定した手数料+貸し株金利より優待のほうがお得なら、クロス取引を使って優待を取得する価値がある。

 

外食・日用品はほぼ無料!お得な優待生活!

――どんな株主優待生活を送っていますか。

 毎年、300もの優待品をいただくようになると、外食はほぼすべて株主優待券を使って、ほぼ無料で済ますことができますし、シャンプーや化粧品も優待品ですべて賄えるようになります。映画鑑賞やカラオケも無料で楽しめて、カタログギフト優待で食品なども届くので、普段、現金を使うことがあまりない生活を送っていますね。

 そうすると、お金が貯まるので、貯まったお金でまた、違う優待株を購入することができて、さらにたくさんの優待品をいただくことができます。まるで雪だるま式の優待生活ですね(笑)。お金は使ってしまえば終わりですが、優待株を買えば、優待品がもらえるうえに、お金がお金を生んでくれる感覚も味わえるのが、優待株投資の醍醐味といえるでしょう。ただ最近は、とくに自社製品など商品系の優待品が届き過ぎて、その保管場所のために自宅の部屋が埋まってしまい、家族から苦情が出るほどです(苦笑)。11月初旬の新米の季節には、お米系優待が一気に届くため、食べきれずに困ったこともあります。

 

読者へのメッセージ:優待生活の楽しみ方

―――優待株投資を目指す読者にアドバイスを

 

 ここ最近は優待株ブームが少し過熱気味ですが、株は上がることも下がることもあります。私もアベノミクスで救われましたが、2008年10月のリーマンショック直後に日経平均株価7,000円台に急落したときは含み損が数百万円近くに達し、つらい毎日を過ごしました。いまは総資産の50%はキャッシュで保有するようにしています。今後、株価が下がっても、キャッシュを十分確保していれば、心にもゆとりができて、精神的にもとてもいいと思うので参考にしてください。

 

 

 優待株投資はとても楽しく、幸せな気分になれる最高の投資です。優待品が届けば懸賞に当たったような気持ちになれてうれしいですし、実際の生活でもお得に使えます。それがうれしくて、どんどん優待株を買って優待生活を楽しむ人が増えていますが、欲張らず、無理をせず、一部のお金でほどほどに楽しんでほしいですね。

 

 

※株価は2018年8月28日現在

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◎プロフィール

かすみちゃん

東京都在住。優待株投資と節約に詳しいカリスマブロガー。

ブログの「かすみちゃんの株主優待日記」は優待系ブログランキングで常に上位に食い込む超人気サイト。同ブログにて、毎月の優待品紹介や優待新設情報のほか、大好きな外食系優待などを写真付きで紹介している。

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