株主優待の人気ブログ「かすみちゃんの株主優待日記」で優待情報をアップしている「かすみちゃん」。保有銘柄数は200、1年間に獲得する300もの優待品でお得で優雅な優待生活を送っています。株主優待のカリスマブロガーとして、マネー誌などでも大活躍のかすみちゃんに、優待株の魅力や注意点、これまで成功&失敗した優待株について取材をしてきました。

 

買った株は下落。株主優待券を捨てていた!?

――投資を始めたきっかけは。

 2001年7月、友人から「株って、面白いよ」と勧められて、株式投資を始めました。でも、直後にITバブルが崩壊したせいもあり、買った株は次々と下落。300万円ぐらいの予算で始めたんですが、みんな含み損になってしまいました。初心者にもかかわらず軽いノリで投資してしまったのも敗因です。株デビューした途端に、買った株がどんどん下落していくのはつらくて悔しくて、「もう株価なんて見たくない」という気持ちでした。

――株主優待を始めたきっかけは。

 最初に買った東京急行電鉄(9005)がたまたま優待銘柄で、東急電鉄の無料乗車券などが株主優待として届きました。でも使うことなく、なんと、捨てていたんです(笑)。

 当時はまだ、20代の女性が株式投資をしているって周囲に言える雰囲気ではなく、他人に譲ることもできませんでした。でも、たまたま入ったチケットショップで、東急の優待乗車券が売られているのを見ました。自分が捨てていたものが金券ショップで売られている。これは衝撃的でしたね。「どうせ塩漬けするなら株主優待のある会社の株を購入して、なにかもらったほうがいい」と優待株投資に目覚めました。

 ――優待投資はどのように始めましたか。

「じゃあ、自分はどんな優待株を保有したいか?」と自問自答。「外食が大好き」と思い、コロワイド(7616) など外食系優待株を数社買いました。その後、優待ブログを始めたんですが、「無料食事券など優待内容をブログに載せるだけじゃ面白くない、実際にランチなどで利用して使った様子を伝えたい」と思って、優待券で利用させていただいたお店の料理写真などをアップし始めたんです。そうしたらブログのアクセス数が急増。「こんな幸せな気分になれる優待株投資を、もっともっと紹介したい」と、優待株投資にどんどんハマっていきました。今は、株主配当と優待価値の利回りが最低でも3%、できれば4%は欲しいと考え、これを基準に銘柄を選んでいます。

 

愛が勝つ!株主優待とは?

――成功した優待銘柄は何ですか。

RIZAP:カタログと優待ジーンズメイトの優待券

 基本的に、大好きな優待株を長期保有し続けているだけなので、損益についてはあまり気にしていませんが、一番成功したのはRIZAPグループ(2928)でしょうか。優待目的で2万円くらいで100株購入しましたが、その後、派手なCM展開でプライベートジム事業が急成長したこともあり、株式分割を繰り返しながら株価が上昇。いまでは1,600株保有で114万円の含み益があります。優待株に目覚めるきっかけになった外食系優待の人気株コロワイド(7616) でも100万円くらいの利益を確定させていただきました。

――株主優待株の特徴は何ですか。

 株主優待株投資の場合、最後に愛が勝つっていうんでしょうか、優待に対する愛着のおかげで含み損になっても我慢できるだけでなく、含み益がどんどん増えていっても、早急に売らずに長期保有するので、100万円単位で利益を伸ばせるのも大きな魅力です。

 私自身、リーマンショック前に買って、当初は多額の含み損を抱えていた保有株が、2013年以降のアベノミクス相場や優待株ブームのおかげで、ほぼすべて大幅なプラスに転換しています。むろん、長期投資が大前提とはいっても、株価がいくらまで上がったらいったん売却するという利益確定の目標は決めておいたほうがいいと思いますね。

――失敗した優待銘柄はありますか。

 保有株が破綻してしまった場合もあります。赤字で経営状態が悪かった外食系企業・タスコシステムは、優待の食事券が魅力的で売るのをためらっているうちに、2008年12月、債務超過が続いて上場廃止になってしまいました。いかに優待が魅力的でも、決算内容などもちゃんとチェックして、業績不振が続いている場合は、売却する勇気が必要かもしれません。

 

空前の優待株ブームの注意点は?

――優待銘柄はとても人気になりましたが、どのような変化がありますか。

 最近は優待を新設する企業も増えているので、優待新設の情報開示がある「適時開示情報」は常にチェックしています。友人や他の投資家さんたちが運営されている優待ブログで気になった優待銘柄の値動きもこまめにチェックしています。ツイッターやヤフーの優待株情報もたまに見たりしますね。

 優待株ブームのせいか、年々、優待銘柄が増えて、たくさんの会社から選べるようになったのはうれしい限りです。でも、最近は優待新設で株価が急上昇しすぎる銘柄も多く、そういう場合はさすがに買わないで見送るケースも増えています。

――優待をはじめようとしている人に注意点とアドバイスを。

 

 優待内容としては、クオカードやプレミアム優待倶楽部(ネットでカタログギフトのように好きな商品を選べる優待)が増えています。「あれも、これも」とたくさんの優待銘柄を購入しすぎると、業績などのチェックが大変なので、自分できちんと管理・観察できる数にとどめておいたほうがいいと思います。私が優待銘柄を買うようになった当時と違って今は1年以上など長期保有をしないと優待がもらえない銘柄も増えてきています。年1回優待銘柄だと「1年以上の保有」が条件だったり、優待権利付き最終日の少し前に駆け込み購入しても優待品がもらえないケースも増えているので、各社の優待獲得条件はかならずチェックしましょう。

優待廃止のリスクに注意!

――株主優待ならではのリスクはありますか。

 優待株投資にとって一番のリスクは優待廃止や改悪です。今年の8月10日には、エリアクエスト(8912) が優待廃止になりました。3万円の投資金額で自社飲食店の優待券2,000円分またはクオカード1,000円分がもらえましたが、優待新設たった5カ月で廃止を発表して、株価も急落しました。私も購入していて1万円以上、損してしまいましたが、廃止の理由は株主が増えすぎて経済的な負担が大きかったからだそうです。

 エリアクエストのように少額資金で購入できて、しかも優待利回りがいい銘柄は優待株投資家が殺到しやすいもの。その結果、優待の改悪や廃止につながる可能性もあります。低資金で購入できて優待利回りが高すぎる銘柄はとっても魅力的ですが、今後はさらに注意をしたほうがいいかもしれませんね。

後編「9月優待」へ続く>>


◎プロフィール

かすみちゃん

東京都在住。優待株投資と節約に詳しいカリスマブロガー。

ブログの「かすみちゃんの株主優待日記」は優待系ブログランキングで常に上位に食い込む超人気サイトになっている。同ブログにて、毎月の優待品紹介や優待新設情報のほか、大好きな外食系優待などを写真付きで紹介。

持ち前の明るさと人柄のよさで優待ファンの間に幅広い人脈・情報交換網を構築している。

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