メンタリストDaiGoインタビュー(全3回):前編・中編・後編
メンタリストDaiGoインタビュー「投資の心理学」
人の心を読み取る「メンタリスト」としてテレビやニコニコ動画などのインターネットで活躍するDaiGo(ダイゴ)さん。若手起業家やビジネスパーソン向けに時間術など、専門の心理学分野からビジネススキルを高めるためのセミナーも行っているDaiGoさんですが、トウシルではお金との合理的な付き合い方や、投資への向き合い方をインタビュー。
全3回インタビュー前編は、投資の成功に必要なメンタリティについてお聞きしました。
投資家に必要なのは、オリジナリティ、意思決定力、メンタルの強さ
投資を成功するために必要な条件を知っていますか。それはオリジナリティです。
投資の神様と言われるウォーレン・バフェットは数々の名言を残していますが、その中にこういう言葉があります。
「自分の力で考えなかったら投資は成功しない」
「みんなが買っているから自分も買おう」という発想では成功できないということです。
みんなが買っているなら、もうその銘柄はずいぶん高値になっているはずで、その銘柄の実力以上の値になっている可能性も高い。そうなったらもう優良株とは言えません。いずれその銘柄の実力に見合った値に落ち着くため、あとは下がるしかないんです。
結局のところ、自分の頭で考えるしかない、つまり、投資はオリジナリティが必要なのです。誰よりもたくさん情報を集め、誰よりも深く考える。そうして誰も注目していない優良銘柄を見つける。言葉は悪いけど、「他人を出し抜く」しかないんです。
投資には、当然メンタルの強さも大事です。なぜなら、周囲の意見にあらがい、自分の判断を貫き通すことは簡単なことではないですからね。
例えば、自分では少なくとも1,000円の価値があると思っている株が800円に下がったとします。当然、不安になりますよね。「本当に1,000円の実力があるのだろうか。自分の見方が誤っているのではないか」と。ここで多くの人は「これ以上、値が下がる前に売ってしまおう」と考えるわけです。
でも、それでは大きく稼ぐのは難しい。人と違うことをするというのが投資の大原則なのですから、すぐに周りの意見に流されてしまうようではダメなんです。そういう意味で、自分を信じて行動できる勇気と意思決定力が不可欠と言えるでしょう。
時間はお金を生む最大の方法。無駄に時間を使う人が多すぎる
僕は投資家の方々とお会いする機会も多いのですが、そういうときにはたいがい「投資をしないんですか」と聞かれます。資産の保全を目的にインデックス・ファンドにお金を預けたりはしていますが、リスク覚悟で大きなリターンを狙うようなことはしていません。
というのも、本気で投資をしようと思ったら、1日何時間もパソコンの前に張り付き、値動きをチェックしたりしなければなりませんよね。そこまでしたところで、僕は投資のプロではないから、どのくらい稼げるかはなんともいえない。それならば、その時間を利用して本業に精を出したほうがいい。僕の場合は、本を書いたり動画サイトに力を注いだり。
早い話、時間効率の問題です。
みんなどのようにお金を稼ぐかという話題は好きだけど、時間をどう使うかはあまり気にしていないように感じます。でも、時間こそがお金を生むんです。1日24時間、時間が限られていることを自覚し、どう使うか、もうちょっと真剣に考えたほうがいいと思います。
お金がどれくらい欲しいか。僕はブランド品に興味があるわけでも、金のかかる趣味があるわけでもない。自分の知識欲を満たすために好きなだけ本を買えれば、それで幸せなんです。
だから、今ある資産を何十倍にも増やす必要はない。ただし、みすみす資産を目減りさせてしまうようなことはしたくない。大きなリターンを狙う投資はしないけど、資産保全のための投資は行うということです。
「メンタリストDaiGoインタビュー」
投資の目的を明確にすることが第一歩
僕が仮想通貨に手を出さないのもそれが一つの理由です。今の仮想通貨ってボラティリティー(※)がやたら大きいですよね。下手すると短期間で数倍になったり数分の1になったりする。
本来「通貨」には「価値を保全する」という機能があるわけですが、今のところ仮想通貨はその機能を満たしていません。資産保全のためのツールとしては使いにくいんです。
※ボラティリティー…証券などの金融商品の価格の変動性のこと。ボラティリティーが大きいとは価格変動が大きいこと、ボラティリティーが小さいとは価格変動が小さいことを表す。
一つ断っておきますが、今の仮想通貨を否定するわけではないですよ。例えば少ない資金を短期間で何倍かに増やしたいという人は、検討に値するでしょう。株式でもここまでハイリターンを期待できる銘柄はそうはないですし。
今後、仮想通貨市場が成熟し、ボラティリティーが小さくなったら購入するかもしれません。おそらくそのときには僕と同じような人たちが、仮想通貨に群がるでしょう。そうすると、仮想通貨の価値はますます上昇する。結果、誰にとっても非常に魅力的な「通貨」になると思います。
ただ、これから始めるのはタイミング的にちょっと遅いかもしれません。これはいろいろなことに言えますが、早く始めた人のほうが恩恵を受けやすい。みんなが始めてからだと、わずかに残されたものを取り合うということになります。そういう意味では今後、新しい何かが登場したときに、素早く行動を起こせるよう、常にアンテナを張り巡らせておくことが大事なのかもしれません。
これから投資を始める人は、まずはその目的を明確にすべきでしょう。
僕のように資産の保全を第一に考えるのか、それともはハイリターンを狙いにいくのか。それをはっきりさせれば、どんな金融商品をターゲットにすべきか、おのずと絞られるはずです。
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DaiGOさん(メンタリスト・作家)
1986年11月静岡県生まれ。慶應義塾大学在学中、英国の世界的メンタリスト、ダレン・ブラウンに感銘を受け、メンタリズムの技術を習得。その後、国内唯一のメンタリストとしてテレビ番組に出演し、人気を博す。現在は企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授としても活躍中。『「好き」を「お金」に変える心理学』『ストレスを操るメンタル強化術』など著書多数。
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