今回は、前回に引き続き、グランビルの法則についてです。今回は売りタイミングについてみていくことにしましょう。4つの売りタイミングがあります。

下降トレンド転換を見極めて利食い売りをする

  • (売りタイミング⑤)上昇を続けていた移動平均線が横ばい~下落に転じ、株価が移動平均線を下抜けたとき

⇒これは、上昇トレンドにあった株価が移動平均線を割り込み、さらに移動平均線の向きも上向きを解消していて、まさに下降トレンドへ転換したばかりのタイミングです。保有株がある場合、重要な利食い売りのポイントになります。

このタイミングでの利食いは、筆者も頻繁に行っています。ピンポイントの高値で利食いすることは不可能ですが、このタイミングなら、十分に高値圏で利食いすることができます。

  • (売りタイミング⑥)下落中の株価が上昇し、移動平均線を上回ったものの、移動平均線が下落中であるとき

⇒下降トレンドが継続しているとすれば、株価が移動平均線を上回っても一時的なものであることが多いので、戻り売りのポイントとされています。下降トレンド入りして間もないころに保有株を売りそびれた場合や、急落時のリバウンド狙いで買った株の売りタイミング、さらには空売りのタイミングとして使われます。。

移動平均線から大きくかい離したら「噴き値売り」で利益確定

  • (売りタイミング⑦)下落中の株価が上昇したものの、移動平均線を上回らずに再び下落した場合

⇒下降トレンドが継続している場合、一時的に株価が上昇しても、移動平均線すら上回れず、再度下落を始めることが多くあります。こうした株価の動きは下降トレンドが継続していると判断できるため、戻り売りのポイントとなります。空売りをする際のタイミングの1つです。

  • (売りタイミング⑧)移動平均線が上昇しているが、株価が急速に上昇して移動平均線から大きくかい離した場合

⇒いわゆる「噴き値売り」です。株価は上昇トレンドにあるのですが、株価が短期間で大きく上昇し、移動平均線から大きく上方にかい離した場合、短期的にみて買われ過ぎの状態となります。その後は株価が調整する可能性が高くなるため、利食い売りを行うポイントとされます。

下降トレンド継続かどうか微妙な局面で無理に売り向かう必要はない

ただし、上記のうち⑥および⑧のタイミングは注意が必要です。

まず、⑥についてです。筆者が実践する株価トレンド分析においては、「移動平均線が下落している」ことに加え、「株価が移動平均線より下にある」という条件を満たした状態が下降トレンドとなります。

しかし、⑥は確かに移動平均線は下落しているものの、株価が移動平均線を超えている状態です。つまり、下降トレンドから上昇トレンドに転換する可能性も少なくない形です。

このようなタイミングで空売りを入れてしまうと、失敗する可能性もそれなりにあります。

そこで筆者ならば、この後の株価の推移を観察し、再度株価が移動平均線を下回った状態になってから空売りを実行します。この方が、失敗の可能性を小さくすることができるからです。

「噴き値売り」はここに注意

また、⑧のタイミングは、言われてみれば「確かにそうだ」と思いますが、いざ実行しようするとなかなか難しいものです。

最もよくあるのが、噴き値と思って利食い売りしたところ、そこからさらに株価が大きく上昇してしまって悔しい思いをした、というものです。逆に、まだ上昇すると思って利食いをせずにいたら、そこから株価が元に戻ってしまった、ということもあります。

確かに、株価の天井においてピンポイントで売り抜けるのは不可能です。したがって、自分自身で何らかのルールを決めた上で、それにしたがって行動し、うまく行かなかったらあきらめるくらいの気持ちでいた方がよいと思います。

筆者であれば、25日移動平均線からのかい離率が20%~30%程度であれば無理に噴き値売りはしません。そこからさらに大きく上昇することも少なくないからです。もちろん、そこから株価が下がってしまうこともありますが、その場合はあきらめます。

かい離率が50%を超えてくると、銘柄やマーケット全体の状況にもよりますが、一部利食いを検討します。そして、かい離率が100%を超えた場合は、さすがに保有株の一部は利食いをすることが多いです。

移動平均線と株価チャートを組み合わせた売り買いのタイミングは、客観的に判断できること、誰でも分かりやすいこと、それなりの成果が期待できることから筆者はこの方法を実践し続けています。もちろん、うまくいかないことも多々ありますが、トータルして満足のいく成績を出せていますので、失敗時の損切りは「コスト」と割り切っています。

売買タイミングに悩んでいる方は、一度この方法を試してみてはいかがでしょうか。