執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 3月15日(日本時間では16日午前3時)に、米FOMCで0.25%の利上げが決定。事前予想通りでサプライズなし。為替は、材料出尽くしで、ドル安(円高)に動いた。NYダウは3日ぶりに反発。
  • 日本株にとって、利上げ後に円高が進んだことはネガティブだが、米利上げを無事通過し、NYダウが反発したことはポジティブ。

(1) 米FRBが事前予想通り0.25%の利上げを決定

3月15日(日本時間では16日午前3時)に、米FOMC(金融政策決定会合)で0.25%の利上げが決定しました。イエレンFRB議長の元で、3回目の利上げとなります。

イエレンFRB議長による3回の利上げ:FF金利誘導水準の推移

利上げ自体は、事前の市場予想通りで、サプライズはありません。今後、利上げが加速するとの見方は広がりませんでしたので、NYダウは上昇、為替は一旦材料出尽くしで、ドル安(円高)に動きました。

利上げ発表前後のドル円為替レートの動き:日本時間3月16日0時―5時40分

15日のNYダウは、前日比112ドル高の20,950ドルと、3日ぶりに反発しました。為替は、16日の日本時間午前6時15分現在、1ドル113.36円です。

2015年12月以来、3度目の利上げとなりましたが、利上げペースは今のところ、前回の利上げ局面(2004-2006年)よりは、はるかに緩やかです。FF金利の水準自体も、ヒストリカルに見てまだ低水準にあります。

FF金利推移:2000年12月―2017年3月

(注:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

(2)FOMCメンバーは年内さらに2回の利上げを予測

米金融政策は、17人のFOMCメンバーの多数決で、決定されます。3・6・9・12月には、参考としてFOMCメンバー17人による、将来のFF金利予測値も公表されます。2016年12月と2017年3月の、FOMCメンバー17人によるFF金利の予測値は、以下の通りで、12月に発表された見通しと、同じでした。

FOMCメンバー17人によるFF金利の予測(中央値)

(出所:米FRB)

(3)FOMC声明文では「ゆるやかな利上げ」が続くとの表現を維持

声明文には、「設備投資がやや強まった」と経済の改善を認める表現はありましたが、利上げペースが加速することを明確に示唆する表現はありませんでした。従来通り、「ゆるやかな利上げ」が続くとの見解が維持されました。2017年中に、あと2回の利上げが見込まれていることになります。

同時に公表されたFRBの経済見通しでは、2017年の米国GDPの成長率が2.1%に据え置かれました。

(4)日本株に与える影響

日本株にとって、利上げ後に円高が進んだことはネガティブですが、米利上げを無事通過し、NYダウが反発したことはポジティブです。合わせると、日本株にとって、プラスマイナスとも特に大きな影響は及ぼさないと考えられます。

15日のCME日経平均先物(6月限)は19,365円で引けました。詳しい説明は割愛しますが、CME日経平均(6月限)の終値に130円を加えた19,495円が、CME日経平均先物が示唆する日経平均(現物)の理論値となります。昨日の日経平均終値(19,577円)よりも、82円低い水準です。理論値通りにスタートすると仮定すると、今日の日経平均は前日比80円程度、下がって始まることになります。

年内にまだ2回の利上げの可能性が残っていることを考えると、ここから、さらに円高が加速するとは考えにくいので、日経平均が大きく下がるとは考えていません。NYダウが利上げをこなして上昇したことを好感して、買いが入る場面もあるかもしれません。

オランダ下院選挙の結果は、まだ出ていません。選挙結果の大勢がわかる頃に、為替に影響が出る可能性はあります。詳しくは、後日、報告します。

日経平均先物(6月限)の見方がわからない方は、以下のレポートを参照してください。