5日の日経平均は、前日比390円安の15,732円でした。4月は公的年金の買い手口が減る中で、外国人の売りが続き、日経平均は一旦反落すると予想していました。円高進行が重要なリスク要因と考えていました。ただ、下値のメドは16,000円と考えました。残念ながら、月初から日経平均は16,000円を割り込みました。

5日は、円高進行が、日経平均の急落要因となりました。ドル円は、5日の日本時間16時に1ドル110.28円をつけ、直近の円高水準(3月の1ドル110.62円)を超えました。6日の日本時間午前7時現在は1ドル110.29円となっています。6日のCME日経平均先物(6月限)は15,615円でした。

今日は4月に警戒される弱材料についてまとめます。4月は、円高に加え、原油反落・3月決算発表・反グローバル主義の拡散の3つが弱材料となる可能性があります。5月以降に期待される強材料については、後日書きます。

(1)円の上値トライは終わっていない

ドル円は、2月後半から4月にかけて、1ドル110円から114円の範囲で推移していますが、徐々に円高圧力が強まっている印象です。テクニカルに見て1ドル114-115円には厚い壁があり、1ドル114円までドル高(円安)が進むと、きっちり円高に打ち返されています。これに対して、ドルに対する円の高値は、少しずつ切り上がっています。2月に1ドル110.97円まで円高が進みましたが、3月には110.62円、4月には110.28円まで円の高値を切り上げています。円高を打ち返す明確な壁は今のところ見当たらないので、1ドル110円割れをトライする可能性も残っています。

ドル円為替レート推移:2016年1月1日―4月5日(日本時間16時まで)

私は、米利上げが年内にまったくできないと、1ドル105~110円まで円高が進むと思っています。米FRB(中央銀行)のイエレン議長が、早期利上げに慎重姿勢を示したことから、4月26・27日のFOMC(米金融政策決定会合)で利上げが実施されることはないと考えられます。ただし、6月14・15日のFOMCで利上げが実施される可能性は残ります。目先1ドル110円割れの円高があるかもしれませんが、6月利上げの可能性が議論される局面になれば、また、円安に戻ると思います。

私は、2017年3月期の業績予想の前提を、1ドル112円と置いています。年内1回の利上げを前提に、為替は1ドル108円―115円の範囲で動き、平均為替レートは1ドル112円前後になると予想しています。私は、4月に円高を試した後、5月に円安に戻ると考えています。

(2)原油先物の反落に警戒

資源安ショックが世界景気を悪化させる不安が続いていましたが、2月中旬以降、原油先物価格が反発したことで、不安が後退していました。資源国の株や通貨が上昇していることが、投資環境の改善につながっていました。

ただし、私は、4月17日にかけて原油先物が反落する可能性があると考えています。足元、WTI原油先物(期近)は既に反落し始めており、注意が必要です。

WTI原油先物(期近)推移:2016年1月4日―4月4日

原油の反発は、4月17日に予定されているOPEC・非OPEC主要産油国の会合で、増産凍結が合意されるという見通しに基づくものです。ここに、2つのリスクがあります。

  • 増産凍結が合意できないリスク
    イランは増産凍結に合意しない可能性があります。イランに一定の増産枠を認めた上で、その他の主要産油国の増産を凍結する案が検討されている模様です。
  • 増産凍結で合意しても世界的な供給過剰はすぐには解消しないこと
    増産凍結が実現しても、供給過剰はすぐには解消しません。増産凍結の期待で、2月半ばから上昇している原油先物は、仮に増産凍結で合意しても、一旦材料出尽くして反落する可能性があります。

原油反発にともなって、資源価格が一斉に反発していることが、金融市場にも好影響を与えていました。足元、原油の反落にあわせて、銅などの価格も反落しており、警戒が必要です。

LME銅地金価格推移:2016年1月4日―4月4日

2月中旬から3月にかけて資源価格が全面的に反発したことが、世界的に株が反発する「ミニ・リスク・オン」状態につながりました。資源価格が反落すると、世界的にリスク資産が買い戻される流れも一旦終了する可能性があります。

資源安は、資源輸入国の日本に本来はプラスのはずですが、今は逆の影響が出ています。資源安の影響で、日本の1-3月企業業績は、そうとう大きなマイナス影響を受けています。資源権益の減損、原料在庫の評価損、資源国ビジネスの悪化が、日本の企業業績を悪化させました。資源価格が反発すると、4-6月の日本の企業業績が大きく改善させる要因となります。足元、資源価格が反発していることが、日本株にとっても強材料となっていました。資源の反落は、資源国だけでなく、資源の利用国にとってもマイナスとなります。

読者の方から時々、「原油価格が上がると日本経済にマイナスでないか」とコメントをいただきます。長期的にはその考えでいいと思います。ただし、短期的には、資源安ショックが日本の景気・企業業績にも悪影響を及ぼしています。短期的には、資源価格が上がれば上がるほど、日本株にとって強材料になります。4月は、資源価格が反落するリスクがあることが懸念材料となります。

(3)決算発表も期待できない

これから、2016年3月期決算が発表されます。1-3月の企業業績は不振が続いていると考えられ、決算実績は期待ができません。前期の実績発表と同時に、今期(2017年3月期)の業績予想が発表されますが、例年、きわめて控え目(低め)の予想が出される傾向があります。減益予想を出す企業があると、売られるリスクがあります。

(4)反グローバル主義の広がり

米大統領選で、共和党の有力候補者であるトランプ氏が、対外強硬論と、反グローバル主義をあおる発言を繰り返していることが懸念されます。トランプ氏の人気を受けて、他の候補も、反グローバル主義に傾いた発言をしがちになっており、警戒されます。

反グローバル主義は、米国だけでなく欧州やアジアにも広がっています。詳しくは、3月28日の以下のレポートに記載しています。

「今週の日本株見通し:今日は3月決算の権利付き最終日」