このレポートの要点

  • 直近のマーケット:貴金属大幅反発、原油はドル高などで大幅続落
  • 値位置・テクニカル:東京金は8ヶ月ぶりの4,500円台。東京白金も続伸、4600円台へ。
  • トピックス:寒い冬は・・・「灯油先物」に注目

直近のマーケット:貴金属大幅反発、原油はドル高などで大幅続落

2014年11月13日(木)始値と11月19日(水)終値の騰落率

(出所:楽天証券作成)

上記のグラフは、2014年11月13日(木)の初値と11月19日(水)の終値を比較した騰落率のランキングです。

コモディティ(商品)を中心に、株価指数・通貨の全体の1週間のおおよその値動きの流れを知ることができるかと思います。

値動きのポイントは以下のとおりです。

  • 貴金属:G20で議題にあがった世界景気減速懸念により代替資産が意識され、金・銀を中心に反発
  • 石油:景気減速懸念、中国の鉱工業生産の弱含みなどによる需要減退懸念などから大幅続落
  • 穀物:国内外コーン・大豆ともに、週間輸出検証高の弱含みで下落。
  • 株・通貨:日銀の追加金融緩和による円安・ドル高が継続。日経平均が上昇。米国株は複数の米経済指標の強含みで続伸。

値位置・テクニカル:東京金は8ヶ月ぶりの4,500円台。東京白金も続伸、4600円台へ。

チャートはすべて以下の条件で掲載しています。

限月:期先(先限)
種類:日足
移動平均線:紫「9日」・緑「26日」
出所:商品先物取引ツール「Formula(フォーミュラ)」

東京金

  • 今年3月以来、約8ヶ月ぶりとなる4,500円台へ
  • 今年7月からの緩やかな下落トレンドから大幅に上放れた格好
  • 短期・中期の移動平均線と実価格の乖離幅が拡大している

東京白金

  • 約1ヶ月半ぶりとなる4,600円台をつける
  • 今年10月上旬の急落以降、安値を切り上げた上昇が継続する格好
  • 一時、価格が短期移動平均線を割り込むもその後反発。同線がサポートとなっている模様

東京ガソリン

  • 75,000円の節目を越えにトライすることなく急落。その後71,300円台で下げ止まり反発。
  • 移動平均線は交錯状態へ。トレンドの発生には時間がかかる模様。

東京とうもろこし

  • 10月上旬からの上昇局面から急反落。今月はじめの値位置へ。
  • 価格は短期移動平均線を割り込み、中期線へ接近。
  • 今後の展開は中期線がサポートとなるかに注目

トピックス:寒い冬は・・・「灯油先物」に注目

前回のトピックスではコモディティ(商品)の値動きの季節習性について注目することについて以下の銘柄のおおよその傾向をお伝えしました。

  • 春 ・・・ゴムに注目
  • 夏 ・・・ガソリンに注目
  • 秋~冬・・・とうもろこしに注目
  • 冬 ・・・灯油に注目

詳細は前回のレポートをご参照ください。

※マーケットはこの季節習性以外の要因が材料視されて価格が動くことはままにあり得ますので、必ず毎年習性とおりに動くとは限らないことをご承知おきください。

今回はタイトルのとおり、「灯油」に着目してみたいと思います。

冬場 → 寒い → 暖房を使う → 暖房用燃料需要の増加 → 灯油先物価格上昇?

上記のような「連想」が働きやすい時期になりましたが、本当にそのとおりに値段が動いているのでしょうか?

冬場の灯油先物価格の過去の値動きを以下のとおりまとめてみました。

条件は以下のとおりです

  • 価格は東京商品取引所の「東京灯油先物」の価格(単位は50キロリットルあたり)
  • 過去5年間の12月、1月、2月、3月の各月の、月初と月末の価格を比較
  • 参照している限月は、月初時点での先限
  • 月初の始値は、前営業日の夜間取引の開始時点の値段
  • 月末の終値は、その月の最終営業日の日中立会いの終値

図1

(出所:楽天証券作成)

図2

図1より、毎年毎月上昇しているというものではないことがかわりますが、シーズンを通じての変動幅はどの年もプラスで終わったことがわかります。(図1内の「4ヶ月分の変動幅の合計」を参照)

また、図2からは、1月がほかの月に比べてマイナスになる傾向があることがわかります。(図2内の「過去5年の同月の変動幅合計」を参照)

総じていえば、先述の連想のように「冬場だから灯油価格があがる」とは必ずしも言えないが、月単位で見た場合、傾向として、上昇する回数が多かった、ということが言えるのではないかと思います。

皆様のご参考になれば幸いです。

最後に・・・

東京商品取引所でのお取引は、日経225先物と同じ証拠金取引です。

1枚あたりの証拠金の額は清算機構などにより定められ、その額は定期的に、時には臨時に見直しがあります。

現在(2014年11月19日から11月28日)の主要銘柄の1枚あたりの取引に必要な証拠金の金額は以下のとおりです。

  • 東京金・・・108,000円
  • 東京白金・・・54,000円
  • 東京ガソリン・・・95,000円
  • 東京灯油・・・95,000円
  • 東京ゴム・・・40,000円
  • 東京とうもろこし・・・25,000円
  • 東京金ミニ・・・10,800円
  • 東京白金ミニ・・・10,800円

マーケットの状況だけでなく、証拠金の額そのものも、銘柄選択の要素となりえるのではないかと思われます。

※レポート内で使用しているデータについて
特にことわりがない限り、国内商品先物銘柄は6番目の限月(期先)を、海外商品先物はその時点で取引量が最も多い限月(中心限月)のデータを採用。