トランプ氏勝利に沸く米国株
11月5日に投開票された米大統領選は、共和党トランプ氏の大勝となりました。同時に行われた議会選はまだ集計が完全には終わっていませんが、上院は共和党が過半数確保、下院も共和党が過半数を確保する可能性が高くなっています。
大統領・上院過半数・下院過半数の三つを全て共和党が獲得するトリプル・レッド(注:レッド赤は共和党のシンボルカラー)となる可能性が高くなっています。
これを好感して、米国の主要株価指数(ナスダック総合指数・S&P500種指数・ダウ工業株30種平均)は大きく上昇して、全て史上最高値を更新しました。トランプ氏の公約には、法人減税・規制緩和・インフラ投資など株式市場に追い風のものが多いからです。
実は、大統領選前から、接戦州の世論調査でトランプ氏が優位であったことから、金融市場ではトランプ氏勝利をもくろんだトランプ・トレード(米国株上昇)が進んでいました。トランプ氏の勝利確定で、先週はその動きがさらに加速しました。
米国ナスダック総合指数、S&P500、NYダウの週次推移:2022年末~2024年11月8日
もちろん、大統領選だけを材料に米国株が動いているわけではありません。米景気が堅調でソフトランディング期待が高まったことや、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(クラスA:GOOGL)、エヌビディア(NVDA)など大型ハイテク株の7-9月期決算が好調であることも、米国株の上昇に寄与しています。
日経平均株価も、トランプ氏勝利を受けて米国株高・ドル/高(円安)が進んでいることを好感して、反発が続いています。上のグラフに、日経平均株価を加えると以下の通りとなります。
日経平均と、米国ナスダック総合指数、S&P500、NYダウの週次推移:2022年末~2024年11月8日
日経平均は、米国S&P500と近い上昇率となっています。ただし、7~8月の急落からまだ完全に回復していません。
米国株が史上最高値を更新しているのに対し、日経平均は11月8日時点で、史上最高値(7月11日の4万2,224)より6.5%低い3万9,500円にとどまっています。7~9月の企業業績の発表が続いていますが、自動車など製造業を中心に減益発表が多く、業績モメンタムの低下が嫌気されている面もあります。
トランプ氏公約の不安材料
米国の3指数をもっと長い期間で見ると、以下の通りです。
米国ナスダック総合指数、S&P500、NYダウの月次推移:2016年末~2024年11月(8日)
米国株は、2022年のインフレ・米金利上昇ショックを乗り越え、再度、上値トライの動きとなっています。トランプ氏勝利のお祭り騒ぎの中、米国株上昇が加速していますが、上昇ピッチが速過ぎることに、不安があります。
気になるのは、米国株式市場が、トランプ氏公約のプラス材料ばかり見て、動いていることです。トランプ氏公約には、輸入関税の大幅引き上げ、パリ協定からの離脱、不法移民の強制送還など、本当に実施したら、政治経済面で混乱を招き、株式市場にとってマイナスになる可能性が高い項目もあります。
今後、米国株式市場が、トランプ氏勝利のネガティブ材料をどうこなしていくか、慎重にウオッチする必要があります。
明日、トランプ・リスクについて私の考えを詳しく解説します。
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