高校時代の旅行で海外での生活に憧れを持ち、2014年には仕事で渡米して米国での生活を実現した米国株YouTuberの「とも」さん。渡米をきっかけに米国株投資も始め、大型ハイテク株に投資をするスタイルで資産形成をしています。

 後編は、12年間米国に滞在したともさんが感じている米国経済の状況や、日本にいても米国株に壁を感じずに投資できる方法などについて伺いました。

株価投資をするときは経済全体を見ることが大切!

トウシル:ともさんは現在は帰国して日本におられるんですよね? 結局米国には何年、住んでおられたんですか?

ともさん:12年間、米国に住んでいました。米国投資で資産1億円を達成し、子供の教育環境などを考えた上で、2023年に、日本に帰国しました。

トウシル:現在は、米国市場が閉まった直後に当日の米国市況を振り返って分析するYouTube「とも米国株投資チャンネル」が登録者数9万人突破で、分かりやすいと評判です。配信も含めて、ご自身の主戦場である米国経済を丹念にチェックされていると思いますが、今の米国経済、どう感じておられますか?

ともさん:僕は、米国経済にあまり弱さを感じていませんね。在米時代も、周囲の米国人を見ていると、「買いたい欲求」や「旅行に行きたい欲求」など、消費意欲を持っている人が多く、「結構お金を使っているな」という印象があります。

 今でも、各種発表されている経済指標を見ていると、一部弱い部分はありますが、全体的には強さの方が感じられます。雇用や消費は悪くないですし、指標を見ると物価も安定していると思います。

 経済指標の細かいところを気にしすぎると、臆病になりすぎて、何にも投資できなくなってしまいます。僕のYouTube配信にも、「カリフォルニア州のガソリンが高くなっているから物価が下がらず不安…」などというコメントをいただくことがあるのですが、確かにその州では高くても他の州では下落していることもあります。大切なのはマクロの視点で経済を捉えることです。

トウシル:日本にいると、米国経済を肌で感じることができず、米国市況や米国株動向などの情報が取りにくいのが壁になって、米国株投資に挑戦しにくい、という方もいると思います。米国の経済状況をしっかり把握するために、これだけは見ておくべき、という指標を教えてください。

ともさん:雇用統計、ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景気指数、PCE(個人消費支出物価指数)の三つは押さえておくとよいと思います。

NY市場が閉まった後、その日の市況を振り返るYouTubeをデイリーで配信。特筆すべき情報や有益な情報は、まとめて土日でも配信。どれも20分以内に収まるよう、端的に市況を解説しているため、「分かりやすい」「ためになる」と好評で、登録者数は9万人を突破している。より詳細な情報を解析している有料チャンネルもあり。

 2024年の9月は、S&P500種指数(S&P500)やナスダック総合指数(ナスダック)が過去最高値を更新するなど、米国経済が絶好調なニュースが出回りましたが、いくら米国が右肩上がりに成長しているからといって、ほったらかしにするのはおすすめできません。

 中国景気、中東紛争なども踏まえて、主要指数はしっかりチェックし、政治経済・世界情勢も広範囲でチェックしておく必要があります。

予測不能の大統領選挙は、選挙後の株価上昇に期待!?

トウシル:今は米国の大統領選挙にも注目が集まっていますが、ともさんは行方をどのようにみていますか?

ともさん:僕が住んでいたのは民主党基盤の州だったので、街中が民主党一色という雰囲気でした。反対に共和党基盤の州に住んでいれば、街は共和党一色になります。

 僕は米国で転職もしましたし、永住権も持っていて、合計12年間米国に住みましたが、激戦州に住んでいないと、接戦具合は肌感覚では分からないし、全体像は米国人でも分からないと思います。大統領選挙の行方を予想するのは困難ですね。

トウシル:米国在住でも、分からないものなんですね…。予想が難しいからこそ、大統領選挙は毎回盛り上がりを見せるのかもしれませんね。ともさんのYouTubeでは、時折、大統領候補の発言などにも触れていらっしゃるのですが、現時点で見て、2024年の大統領選挙は、相場にどんな影響がありそうですか?

ともさん:カマラ・ハリスさんとドナルド・トランプさんのどちらが勝っても株価は上昇すると考えています。注意しなくてはいけないのは、選挙前は株価が下がりやすいという点です。そのため、選挙前に株価が下落するタイミングは、押し目買いのチャンスとも捉えられます。一方で、どちらかが勝利した後は、それぞれの政策で有利な銘柄が上昇すると思います。

 だから、僕が重要視しているのは、大統領選の結果より、その後の金融政策の変化ですね。米国の政策金利は引き下げが行われているので、一般的に株価は上昇に動きます。大統領が決まれば、政策で上がりやすいセクターを起爆剤にして全体的に上昇していくとみています。

YouTubeでは米国経済と米国株について分かりやすく解説!

トウシル:米国株を始めたい、と思っていても、英語が苦手で情報が取りにくかったり、時差や距離があって状況がつかみにくいなどの理由で、一歩が踏み出せない人もいると思います。ともさん、日本にいても米国株投資で勝つことは可能ですか?

ともさん:はい。米国株は、長期的に右肩上がりで成長している相場なので、日本にいても米国株投資でリターンを得ることはできると思いますよ。普通に、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の成長投資枠で米国株も買えます。税金に関しては、証券口座の「特定口座」で運用すれば、証券会社が年間の損益を計算してくれるので手間がかかりません。

トウシル:最近は円安となって為替や税金を気にする人もいますが、ともさんはどのように捉えていますか?

ともさん:僕は、為替は一切気にしないスタイルです。FX投資のときにも思いましたが、為替の値動きなんて読めませんし、たとえ円高になっても、それ以上に米国株の上昇スピードの方が早いと思っています。もし為替を気にするのであれば、分散して定期的にドルを買ったり、FXでドルを売っておいてリスクヘッジしたりするのがおすすめです。

むしろ僕は「どれだけ早く米国経済の成長に気づいて投資をできるか」が鍵だと思っています。これから金融緩和も始まりますし、AIブームもまだまだ波に乗ってくると思うので、今から始めても遅くありません。

トウシル:とはいえ、今から始めると米国株投資をどのように勉強すればよいのか悩む人も多くいます…。

ともさん:ぜひ僕のYouTube「とも米国株投資チャンネル」を見てください(笑)! 

 今は自動翻訳もできるので語学力による壁も少ないとは思いますが、どの媒体のどのニュースを見れば良いのかが分からない人は多くいます。そのため、僕は米国市場が閉まった後の朝に、その日の値動きや注目すべきニュースなどを解説している動画をアップしています。

 初心者でも理解できるようにゆっくり話していますし、気になったニュースをただ解説するのではなく、意識して、米国経済の状況を理解できるような順番で解説しています。経済指標にも補足を加えていて、発表を受けて値動きに与える影響なども説明します。

 どの動画も15分程度でまとめることを意識しているので、2倍速で見たら10分もかかりません(笑)。1回見ただけで米国経済を全部理解できるわけではありませんが、大切なのは毎日継続して見ることです。毎日続けて見ていただけると、米国で起こっていることや、注意すべき視点を、少しずつ理解してもらえると思います。

 米国の土日でマーケットが閉まっている時は、必要に応じて注目すべきニュースの解説をしています。最近では、日本で石破茂首相が誕生し、海外ではどのように報じられているのかなどをアップしました。

トウシル:通勤途中でも見られる長さなのと、難しい話題は解説も丁寧なので、初心者でも分かりやすいチャンネルですね。毎朝の習慣にすると、米国株投資への知識もつきそうですね。

株価や米国市況だけでなく、世界情勢や政治経済にも触れた内容が好評。米国株投資家はもちろん、初心者や未経験者にも分かりやすく、を心がけているとのこと。「忙しい人のために、2倍速で再生するのを前提で、ゆっくりめにしゃべっています。初心者は通常の速さで、経験者は倍速でサクッと聞いてください!」(ともさん)。

将来の夢はキャンピングカーで世界を旅すること!

トウシル:ともさんは、いつまでにいくらの資産をつくろう…など、今後の目標はありますか?

ともさん:あまり明確な目標は定めていないんです。2011年に投資を始めて、約13年で資産1億円を達成できたので、今後は50歳くらいにFIREできればいいなと考えています。留学から帰ってきた30歳のときは無一文だったので、今思うとだいぶ盛り返しましたね(笑)。

トウシル:海外での生活に憧れて留学へ行き、その後は働く経験もされましたが、想像通り楽しい生活でしたか?

ともさん:楽しかったです! 留学中は、米国以外にも、中南米や欧州、アジアなど、いろんな国籍の友人ができました。今でも連絡をとっている友人は多く、ニューヨークへ行って現地に住んでいる友人と食事に行くこともありますよ。

トウシル:それはいい経験ですね! 今後してみたい生活もお聞かせください。

ともさん:FIREできたら米国をキャンピングカーで巡るという夢を実現したいです。米国だけでなく、オーストラリアやカナダ、欧州を巡るのもいいですね。もし子どもが「海外で暮らしたい」とか「海外の学校に行きたい」と言ったら一緒についていくのも面白そうです。

トウシル:お子さんの将来も楽しみですね。お子さんにも投資教育はする予定ですか?

ともさん:もちろん、投資は教える予定です。まずは「お金の使い方」から教えて、「稼ぐこと」と「運用すること」もセットで教えていきたいですね。今は制度がなくなっちゃいましたが、ジュニアNISAもやっていたので、その運用を見せたり、少しお金を渡して実際に買ってもらったりするのもいいかもしれません。

トウシル:これからも楽しみなことが尽きないですね。米国株投資で世界を見る目を養い、今後の活動も国境なく楽しめる結果になり、素晴らしいと思います。ぜひその投資マインドをお子さんに受け継いでもらいたいですよね。本日はありがとうございました!

>>前編「駐米で米国投資を開始、資産1億円突破!米国株投資家・ともさんインタビュー[前編]」