今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは147.80

下値メドは145.90 

米大統領選:トランプ氏の政策は全て「FRB利上げ」を示唆  
人民元:1ドル=7.40元まで元安になる可能性。トランプ氏勝利なら 
利下げと利上げ:利下げを先延ばしすることは、さらに引締めをするのと同じこと  
政治と経済:選挙結果によって消費者や企業のセンチメントが急変することもありえる
欧州:現時点の天然ガス備蓄量は80%。過去5年の平均超える

前日の市況


 10月3日(木曜)のドル/円相場は、前日比0.48円の「円安」だった。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2024年199営業日目は146.30円からスタート。

 前日からの円安の勢いが続き、東京時間昼前には9月の高値(147.20円)を超えて147.23円まで上値を伸ばした。ただ高値警戒感も出て、夕方には調整で146.29円まで下落する場面もあった。その後は日銀の「利上げ後ろ向きの円安」と、中東情勢緊張化による「リスクオフの円高」に挟まれて、横ばいの取引が続いた。終値は146.95円。24時間のレンジ幅は0.95円。

 今年のドル/円の月毎の高値を見ると、

 5月は1日の157.99円、
 7月は3日の161.95円、
 8月は1日の150.89円、
 9月は3日の147.20円

 と、9か月のうち4回は月の初めにつけている。また、3月の高値は27日、4月は29日、6月は28日と月末近辺だった。つまりドル/円の高値は、月初めあるいは月末につける確率が約80%近いということになる。このパターンが10月も当てはまるなら、147.20円前後が今月の高値になる可能性もある。

出所:楽天証券作成

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は今週行った講演で、経済成長と雇用市場の関係に触れ、第3四半期のGDP拡大した一方で雇用市場は縮小しているが、「リアルタイムの景気」をより正確に表しているのは、労働市場の方だとの考えを示した。ただし、インフレ率2%が達成されるために「これ以上の雇用市場の減速は必要ない」と述べている。

 インフレについてパウエル議長は、新規テナントに対する賃貸料が安くなっていることを指摘した。コアCPI(消費者物価指数)の約40%を占めるため、住居費のこの状態が続くなら、インフレ低下が続くとの見通しを示した。

 FRBは、経済が予想通りに進展した場合、FRBは2024年にあと2回利下げを行うことを基本シナリオとしている。ただしパウエル議長は、今後の金融政策については「会合毎」のアプローチを堅持すると述べるにとどめ、明確なフォワードガイダンスは示していない。これから発表される雇用統計やCPIのデータ次第ということだ。

 金融政策は、実際の経済に反映されるまでに、半年から1年の遅れ(ラグ)がある。昨日の経済データが悪いからと今日利下げをしたところで、明日すぐに経済が変わるわけではない。最悪なのは、経済データが急速に悪化してしまって、FRBが長期的な予測やプランを持たないまま、緊急対応を迫られることだ。

 FRBは、政策決定においてリアルタイムの経済データを重視するあまり、予測を立てそれに基づいて行動すべきだという考えを、やや意図的に捨てているように見える。予測を間違える中央銀行は良くないが、それでも予測を持たない中央銀行よりはマシである。

週末から来週前半の「円安・円高のメド」

円安のメドは、
149.37円
149.34円
148.05円
147.34円
147.23円

円高のメドは、
146.29円
143.42円
142.95円
141.64円
140.44円

短期:(高値+安値)x 1/2 =143.41円 

出所:楽天証券作成

 9月1日から10月3日までのドル/円のレンジは、139.58円から147.24円。
レンジ幅は7.66円。

 高値と安値の50%(中間点)は「143.41」円。現在のレートは中間点よりも「円安」。
高値と中間点の50%は「145.33」円。現在のレートはこの水準よりも「円安」。

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

間違った知識には注意せよ。それは無知よりも危険である - バーナード・ショー

Private Eyes

 8月のNFP(非農業部門雇用者数)は雇用市場の減速を示す結果となった。BLS(米労働省労働統計局)が9月6日に発表した8月雇用統計では、NFPが前月比14.2万人増となり、事前予想の16.4万人増を下回った。また、7月の増加者数は11.4万人から8.9万人に大幅に下方修正され、製造業の雇用者数はマイナスに落ち込んだ。

 失業率は4.2%で、前月の4.3%から小幅に低下した。平均時給は前年比で3.8%増加し、前回の3.6%増を上回った。前月比でも0.4%増と、前回の0.2%増を上回った。

 9月雇用統計の予想とポイントは、「FRBもだまされた?米雇用統計を信用してはダメ!9月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。

 米国の雇用市場は緩やかに停滞に向かっているが、全体とすればFOMC(米連邦公開市場委員会)が9月会合で0.5%の大幅利下げをするほど悪化しているわけではなかった。これについてパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「FRBがインフレ下落に追いつこうと急いでいるだけで、経済がおかしくなっているからでない」と説明している。次回11月のFOMCの利下げは0.25%の利下げになりそうだ。

 7月の雇用者の増加数は10万人以下に大幅修正されたが、これはハリケーンの影響で出勤できなかった労働者が多かったとせいである。そのような「一時的要因」を別にしても、米国の雇用市場は一時の勢いはなくなってきているのは確かだ。もっとも、それは新型コロナ後の異常な成長が落ち着き、米国の経済成長がトレンド並みに戻っただけなのだ。

 雇用者数増加数の減少は「過剰雇用の調整」であって、不況による大規模なリストラが原因ではない。個人消費の強さが示しているように、失業の不安は少ない。企業が従業員を繋ぎ止めるための高い賃金が高インフレの原因となってFRBを困らせていたことを考えるなら、雇用市場はむしろ良い方向に向かっているといえる。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目テクニカルレベル

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Winners & Losers

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