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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均さらに下がる?日銀・FRBの金融政策発表でどうなる?」
円高で日経平均下落、週後半は円安で持ち直す
先週(営業日3月11~15日)の日経平均株価は、1週間で981円下落して3月15日終値で3万8,707円となりました。一時1ドル146円台まで円高が進んだことを嫌気して、海外投機筋が日経平均先物を売ったと考えられます。12日には一時3万8,271円(安値)まで下がりました。
ただし、週後半は、ドルが持ち直し、15日には再び1ドル149円台まで円安が進みました。円安によって日経平均は週後半、持ち直しました。
日経平均と、ドル/円為替レートの動き:2023年1月4日~2024年3月8日
年初より、「円安→日経平均上昇」が続いてきました。1ドル150円前後まで進んだ円安に、日本株の動きを支配している外国人投資家の日本株買いを招く効果がありました。以下二つの理由によります。
【1】円安は日本の企業業績にプラス。
【2】円安になると、ドル建て日経平均が下落し、外国人は日本株を安く買える。
ところが先週の初めに、一時1ドル146円台まで進んだ円高を受けて、日経平均は急反落しました。先週後半は、再び1ドル149円台の円安へ戻ったことを受けて、日経平均は持ち直しました。
米インフレ収束が遅かったことが、1ドル149円台にドルが持ち直す要因に
先週12日に発表された、2月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想より強かったことが、先週後半にドルが持ち直す(円安となる)きっかけとなりました。
インフレ収束の遅れが改めて意識され、米利下げ時期が遠のく思惑から、ドルが持ち直しました。
米インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年同月比上昇率)推移:2020年1月~2024年2月
春闘賃上げ率高く、マイナス金利解除近いと思われていることは円高要因
先週は、円高材料も出ています。連合(労働組合の中央組織)は15日、今年の春闘の定期昇給を含む正社員の賃上げ率について、初回集計を発表しました。平均5.28%の上げとなります。
5%以上増加するのは、1991年の5.66%増以来です。これで、やっとインフレ率を上回り、実質賃金がプラスになる見込みです。
日本銀行(日銀)は、マイナス金利解除を含む、金融政策の正常化を画策していますが、春闘を通じて実質賃金がプラスになることが、その重要な条件の一つとしてきました。
今回の春闘での賃上げ率が5%を超えたことで、3月18~19日の金融政策決定会合で、日銀がマイナス金利を解除する可能性が高まりました。それを受けて、日本の長期金利は先週、0.78%を超えるところまで上昇しました。これは円高材料です。
日本の長期金利(10年もの新発国債利回り)推移:2022年7月1日~2024年3月15日
ただし、先週後半は、それでも円安が進みました。日本の金利上昇よりも、米インフレ率の高止まりを受けた、米長期金利上昇の方が、為替に与える影響は大きかったと言えます。
日米長期(10年)金利推移:2023年末~2024年3月15日
今週の重要イベント
今週は日米ともに金融政策決定会合があります。どちらも重要で、結果次第で、為替・日経平均が大きく動く可能性もあります。
【1】3月18~19日:日銀金融政策決定会合
19日(火)の昼ごろに結果が発表となる予定です。マイナス金利解除が決定される可能性が高いと考えています。解除があると、日本の金利上昇要因・円高要因となり、日本株が売られる要因となります。ただし、事前にかなり織り込まれているので、大きな波乱とはならない見込みです。
もしマイナス金利解除がないとサプライズ(驚き)となります。それでも4月に解除されるという思惑は残ると思われます。
【2】3月19~20日:FOMC(米連邦公開市場委員会)
日本時間で21日(木)の早朝に、結果が発表となる予定です。金融政策の変更はないと見込まれています。ただし、FF金利の2024年末の予想(FOMCメンバー予測中央値)が発表となります。
それにより、今年何回利下げが示唆されているかが、分かります。利下げ回数が少なければ、ドル金利上昇・ドル高(円安)で、日経平均が買い戻される要因となります。利下げ回数が多いと、ドル金利低下・ドル安(円高)要因となります。
日本株の投資方針
日本株が割安で、長期的には良い買い場を迎えているとの考えは変わりません。ただし、短期的には、日経平均は過熱からスピード調整が続く可能性があります。
時間分散しながら、投資していくことが肝要と考えます。
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