※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均4万円超え、過熱する相場にどう対処すべきか?」
生成AIブーム波及、日経平均が4万円に接近
先週(営業日2月26日~3月1日)の日経平均株価は、1週間で812円上昇して終値3万9,910円となりました。1日に一時3万9,990円を付け、4万円にあと10円まで迫りました。
米国株で今生成AIブームが盛り上がっています。生成AI開発を支えるエヌビディア(NVDA)などの半導体株が大きく上昇しています。このブームが日本株にも波及して、日本で半導体製造装置大手の東京エレクトロン(8035)が大きく上昇して、日経平均をけん引しました。
私は日経平均4万円でも日本株は割安と判断しています。その根拠は、以下のレポート 2024年2月26日「日経平均最高値でも、日本株は割安と判断する理由(窪田真之)」に記載しました。
それにしても上昇ピッチが速すぎて、過熱感が高まっていることには、注意が必要です。今日は、短期的な過熱感に焦点をあてて、テクニカル分析の観点から、日経平均を分析します。
13週移動平均線からの上方かい離率が12%に
日経平均の上昇ピッチが少し速すぎて、テクニカルに過熱感があります。
日経平均と13週移動平均線:2022年7月4日~2024年3月1日
過熱感を測るテクニカル指標はたくさんあります。今日は、シンプルで分かりやすい13週移動平均線からのかい離率に注目します。ご覧いただくと分かる通り、日経平均は3月1日時点で、13週移動平均線よりも12.0%上方にかい離しています。
過去の経験則から、13週移動平均線よりも10%以上、上方かい離している場合、日経平均に「過熱感がある」と判断します。短期的にスピード調整するリスクもあります。
過熱感が出ると、相場はちょっとしたきっかけから反落しやすくなります。ただし、かい離率が何%になったら反落するか分かりません。2023年6月はかい離率が13.9%まで拡大してから、日経平均は反落しました。
過去には上方かい離率が16%まで拡大したこともあります。何%まで開いたら反落するか、その時々で異なり、一概には言えません。
13週移動平均線からのかい離率は±10%が要注意ポイント
それでは、日経平均の13週移動平均線からのかい離率がどう推移してきたか、2012年以降から2024年までの推移をご覧ください。
日経平均と13週移動平均線からのかい離率推移:2012年1月4日~2024年3月1日
かい離率+10%は「やや過熱」と考えて良いポイントです。そこから反落していくことも多かったことが分かります。ただし、+10%から必ず反落するわけではありません。そこから上昇加速して一段高になることもあります。2013年5月(バーナンキ・ショック直前)には、16.1%まで拡大しました。
かい離率▲10%は短期的に「やや売られ過ぎ」と考えて良いポイントです。そこから、短期的に反発局面を迎えることもあります。ただし、そこからさらに下げが加速することもあります。
2024年の過熱度合いを2013年と比較
今の日経平均はテクニカル面で見ても過熱していますが、それでも、2013年5月のバーナンキ・ショック直前の過熱度に比べると、まだ序の口です。
2013年と2024年の日経平均推移比較
2013年はアベノミクス政策のスタート直後で、黒田東彦前日銀総裁による異次元緩和スタート直前でした。世界的に株が過熱する中で、日経平均も外国人買いによってものすごく過熱していました。
この時は、当時のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「将来金融緩和の縮小が必要になる」と発言しただけで、世界的に株が下がり、日経平均も急落しました。これは、「バーナンキ・ショック」と呼ばれています。相場が過熱しているところだったので、ちょっとしたきっかけで、相場は急落しやすかったといいます。
過熱する相場にどう対処するか?
日本株の保有が多い投資家は、少し売ってみて良いと思います。ただし、売り過ぎてはいけません。少しずつ売りながら、上昇の勢いが落ちるのを待つべきです。
というのは、どれくらい過熱したら相場が反落するかは、ケースバイケースでまったく分からないからです。過熱していると思っても、そこからかなりの上昇が残っている場合もあります。
上昇ピッチが速すぎて、テクニカルに過熱感があるので、何らかのきっかけがあれば、スピード調整する可能性は高まっています。何らかのきっかけで相場が下がるのを見てから追いかけて売っていくやり方が良いと思います。
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