S&P500最高値、日経平均バブル後高値

 先週(営業日2月5~9日)の日経平均株価(225種)は、1週間で739円(2.0%)上昇して、3万6,897円となりました。バブル経済後の戻り高値を更新し、過去最高値(1989年12月の3万8,915円に近づいています。

 先週は、日経平均主導の上昇となりました。日経平均が2.0%上昇したのに対し、TOPIX(東証株価指数)は先週0.7%の上昇にとどまりました。

 引き続き、以下の要因から、外国人投資家の買いが日経平均を押し上げたと考えられます。

【1】米景気堅調、インフレはピークアウト、米S&P500種指数が過去最高値を更新
【2】ドル高(円安)が進み、日本の景気・企業業績に追い風

日経平均と米S&P500の動き:2019年末~2024年2月9日

出所:QUICK、2019年末の値を100として指数化

 先週は、ソフトバンクグループ(9984)東京エレクトロン(8035)など、日経平均の構成比が高い値がさグロース株の上昇が目立ちました。

 ソフトバンクグループは、子会社で米国に上場している英半導体設計大手アーム・ホールディングス株が急騰したことが好感されました。ソフトバンクグループは、アーム株の約9割を保有していることから、保有資産の価値増加で業績が拡大することが評価されました。

 世界的に半導体株が急騰している流れを受けて、半導体製造装置大手、東京エレクトロンの上昇率も高くなりました。

 日本ではこれまで、配当利回りの高い大型バリュー(割安)株の上昇が目立ち、グロース(成長)株の上昇は相対的に低かったのですが、先週は、大型グロース株に改めて物色が向かいました。

外国人の買いの勢いは低下

 外国人投資家の買いの勢いは低下しています。先々週(営業日1月29日~2月2日)は、株式現物と先物を合わせて、小幅(2,677億円)の売り越しとなりました。先週の売買統計はまだ出ていませんが、日経平均が上昇しているところを見ると、先週、外国人は買い越しであった可能性があります。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売り越し額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2024年2月9日(外国人売買動向は2024年2月2日まで)

出所:東京証券取引所「投資部門別売買動向」より楽天証券経済研究所が作成
注:外国人売買は、株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

2024年1月の週別、外国人投資家による日本株買い越し・売り越し額と、日経平均変動幅

出所:QUICK、東京証券取引所「投資部門別売買動向」より作成

日本株押し目買い方針は変わらず

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと判断しています。日経平均は2年以内に4万円まで上昇すると予想していることも変わりません。ただし、一本調子の上昇は見込めません。

 今年に入ってからの上昇ピッチはやや速すぎると考えています。今後、短期的に、円高などを嫌気して下落する局面もあると思います。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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