「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第15回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:小型株3銘柄のうち、長期投資するならどれ?
<クイズ> 表の製造業A社、B社、C社の株式はいずれも予想配当利回りは4.2%です。
一つだけ選んで長期投資するとしたら、どれが良いと思いますか?
A社もB社もC社も、株式時価総額が1,000億円に満たない小型株です。時価総額1兆円以上の大型株ならば、財務も収益力もそこそこ良好と考えてOKです。
ところが、時価総額が小さい銘柄の場合は、そうはいきません。財務内容や収益力をきちんとチェックする必要があります。営業利益率(売上高から売上原価や販管費などを差し引いた営業利益の売上高に対する比率。本業の稼ぐ力を示す)や、自己資本比率(返済する必要がない自己資本の総資本に対する比率)、最高益を上げた年度を見ながら、判断してください。
高配当利回り株は時価総額5兆円以上から選ぶだけでもOK、小型株は財務や収益の確認が必要
今日は、先週のクイズの続編です(2月3日「高配当利回り株の選び方、財務や収益力の見方がよくわからないときはどうする?」)。
まず、前週の復習をして、それから今日のクイズを解きましょう。
日本株には、予想配当利回りが3%を超える魅力的な銘柄がたくさんあります。
ただし、一つ注意が必要です。株の配当利回りはあくまで予想で、確定利回りではありません。その企業の業績が悪化して減配になれば、利回りが低下し、株価が大きく下がる可能性もあります。銘柄選択に当たっては、単に予想配当利回りが高い銘柄ではなく、長期的に保有しても減配になりにくい銘柄を選ぶことが大切です。
減配リスクが低い銘柄を選別するには、どうしたらいいでしょう。次の三つの条件に当てはまる銘柄を選べば、減配リスクが低い銘柄を選べます。
- 時価総額が大きい
- 収益力が安定的
- 財務良好
【1】~【3】の条件を全て完璧に満たす銘柄は、ありません。何か足りなかったり、何か分からなかったりすることは、よくあります。
そういう時はどう判断したらいいでしょう。
「時価総額5兆円以上から選ぶだけでもいい」ということです。
予想配当利回りの高い銘柄から、減配リスクが低い銘柄を絞りこむとき、時価総額が大きい(例えば5兆円超)という条件だけ満たすものを選んでも、まあまあ良い銘柄を選んでいるといえます。
収益力や財務に問題のある銘柄は、株価が上がりにくく、時価総額5兆円以上に拡大することはないからです。つまり時価総額5兆円以上の銘柄を選べば、収益力や財務内容はそこそこ良好であると考えられます。【1】だけ満たす(時価総額が大きい)銘柄を選べば、自動的に【2】収益力や、【3】財務も、まあまあ良い銘柄を選んでいることになります。
とはいえ、大型株ばかりでなく、小型株からも高配当利回り株を選びたくなることも、ありますよね。小型の高利回り株を買ってはいけない、ということはありません。ただし、小型株の場合は、財務や収益力をある程度、チェックする必要があります。
クイズの正解:財務も収益力もしっかりしたC社
C社を選ぶべきです。自己資本比率も営業利益率も高いので、財務も収益力もしっかりしていると考えられます。
3社とも成長株ではありません。最高益を上げた年度が古い(2000年度、1991年度、2007年度)からです。最高益を長い年月、更新できていないということは、成長のためのビジネスモデルができていないことになります。
それでも3社とも、予想配当利回りが4.5%と高いので小型割安株の可能性があります。割安株として評価していいか判断するために、財務内容と収益力のチェックが必要です。
C社は自己資本比率82%、営業利益率22%
自己資本比率が極めて高いので財務は良好と考えられます。営業利益率が22%なので、収益力もまあまあ良いと考えられます。
本当は、自己資本比率だけで判断するのは危険です。自己資本比率が高くても財務に問題がある会社はあるからです。とはいえ、C社は自己資本比率が82%と極めて高いので、たぶん財務は問題ないと思います。
営業利益率について、たった一つの期を見ただけでは収益力を判断できません。少なくとも4~5年の変動を見る必要があります。一つの期のデータしかないので確信できませんが、営業利益率は22%と高く、収益力もまあまあ良いと考えられます。
成長性はないものの安定収益を稼げるビジネスを有していると推定されます。
A社は自己資本比率が低すぎて危険
A社の営業利益率は10%とまあ良い水準ですが、自己資本比率が8%と低すぎます。過去に問題があったのでしょう。財務がかなり悪化しています。
B社は営業利益率が低すぎ
B社は自己資本比率が48%あるので財務良好と推定されますが、営業利益率が低すぎます。利益率1%では、景気が悪化した時に、赤字に転落することもあります。
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