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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米利下げ期待遠のく、日銀マイナス金利解除の思惑も遠のく。日本株どうなる? 」
米景気意外としっかり、長期金利が上昇、ナスダック・日経平均下落
2024年1月の第1週(営業日1月4~5日)の日経平均株価(225種)は、2営業日で86円下がって3万3,377円となりました。
新年はじめての取引となる大発会(1月4日)の日経平均は、一時2023年末比770円安の3万2,693円まで下がりました。米長期金利上昇を受けて米ナスダック総合指数の下げが続いてきたことが嫌気されました。
ただし、下がったところでは押し目買いが増えました。米金利上昇を受けて、円安が進んだことも好感されて、週末にかけて日経平均は持ち直しました。
米ナスダック総合指数と日経平均の動き:2019年末~2024年1月5日
ナスダックは2021年末より2年以上にわたり、米景気ハードランディング(景気の急激な失速)への不安と、ソフトランディング(軟着陸)期待のはざまで乱高下してきました。米長期(10年)金利が上がるとハードランディングへの不安が高まり、長期金利が下がるとソフトランディング期待が高まる展開が続いています。
昨年12月は、FRB(米連邦準備制度理事会)が米景気減速を受けて、ややハト派に転じたことで早期利下げ期待が高まり、長期金利が低下しました。このことから、ソフトランディング期待が高まり、ナスダックが上昇しました。
1月は、5日に発表された12月の雇用統計が強かったことを含め、米景気が意外にしっかりしているとの見方が広がり、米長期金利が反発しました。これを受けて、ハードランディング不安が再燃してナスダックが下落しました。
米長期(10年)金利推移:2022年6月1日~2023年1月5日
米金利上昇を受けて円安
12月は、以下二つの理由から円高が進んでいました。
【1】米景気減速、2024年に早期利下げが実現する思惑
【2】日銀によるマイナス金利解除が1月にも行われるとの思惑
ところが、2024年の年初は、以下二つの理由から円安に反転しました。
【1】米景気堅調、利下げ遠のく思惑
【2】能登半島地震を受けて、日銀によるマイナス金利解除が遠のく思惑
1月に入って円安に反転したことが、先週、日本株に押し目買いが増える要因となりました。
ドル/円為替レートと、米2年・10年金利の推移:2022年7月1日~2024年1月5日
12月の米雇用は好調
米労働省が5日に発表した12月の雇用統計は、米雇用が依然として強いことを示すものでした。非農業部門の雇用者数は、前月比21.6万人増えました。「米景気好調」と判断される水準(20万人の増加)を超えました。
完全失業率は前月比横ばいの3.7%でした。コロナ禍前の好調時(2020年2月の3.5%)とほぼ同水準です。実質完全雇用の強い雇用が続いていることが確認されました。これで、FRBが早期に利下げに転じる期待が低下しました。
米雇用統計、非農業部門雇用者数(前月比):2021年1月~2023年12月
米雇用統計、完全失業率:2014年1月~2023年12月
米雇用は、2023年11月3日に発表された10月の統計が弱かったため、そこで米景気悪化の不安が高まり、FRBによる早期利下げ期待が高まりました。ところが、その後発表された2023年11月・12月の雇用統計が強かったため、米景気がしぶとく堅調との見方が強まり、早期利下げ期待が低下しました。
1カ月や2カ月のデータで、金融市場の景況感がころころ変わるのは、本来おかしいのですが、米景気がソフトランディングするかハードランディングするか、金融市場の見方が割れて神経質になっている中なので、単月のデータでも、センチメントが変わりやすくなっています。
米ISM景況感指数は12月も弱いまま
先週発表された、米ISM景況感指数は、米景況低下がまだ続く可能性を示唆するものでした。製造業景況指数は、47.4と景況の分かれ目である50を下回ったままです。11月の46.7より改善したものの製造業の景況は厳しいままです。
非製造業の景況は50.6と、11月の52.7より低下し、景況の分かれ目である50に近づきました。
米ISM景況指数:2018年1月~2023年12月
以下の通り、日本の方が米国よりも景況が良好な状態が続いています。
日銀短観、大企業製造業・非製造業DI:2018年3月~2023年12月
どうなる日本株?
日本株の投資判断は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場と判断しています。これからも急落急騰を繰り返しながら上昇していくと考えられるため、時間分散しながら投資していくのが良いと思います。
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