FOMC結果:利上げなし、2024年末のFF金利予測は4.625%

 米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は13日(日本時間14日午前4時)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を発表しました。事前の示唆通り、利上げは実施しませんでした。FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を5.25~5.50%(中心5.375%)に据え置きました。

米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2023年12月13日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 以下の通り、これで3会合連続のFF金利据え置きとなりました。

2022年6月以降のFOMC結果

出所:FRB資料より楽天証券経済研究所が作成

 利上げなしは事前示唆通りでまったくサプライズ(驚き)ありません。ややサプライズだったのは、来年(2024年)末のFF金利予測(FOMCメンバーの予測中央値)を4.5~4.75%(中心4.625%)と、従来予測(5.125%)より引き下げたことです。現在のFF金利よりも0.75%低い水準であり、来年0.25%の利下げが3回あることを示唆した形です。

ややハト派寄りのFRBを受けて円高・NYダウ最高値

 米金融市場は、来年早い時期の利下げを織り込んでいましたが、今回示されたFRBによる来年末のFF金利予測によって、その可能性が高まったと解釈されます。これを受けて、NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株平均株価)は前日比512ドル(1.4%)高の3万7,090ドルと、史上最高値を更新しました。

 米金利低下を受けて、為替市場では1ドル142.93円へ円高が急伸しました(日本時間14日午前6時55分時点)。日本銀行がマイナス金利を来年1月にも解除する見通しが出ている中で、米金利は低下していく期待が強まったため、円高が進みやすくなっています。

 ただし、FOMC結果発表後の、パウエルFRB議長の記者会見は、ハト派色を前面に出したわけではありません。来年の利下げの議論を始めていることは認めましたが、時期について明確な示唆はありませんでした。

 インフレはまだ高い水準で、目標とする2%に向けての道のりは長いと想定されることから、声明文に「必要ならばさらなる金融引き締めもある」という文言は残すと発言しました。米景気は減速するものの、急激に悪化することはないと見ていることがわかりました。

FRBは米景気ソフトランディングを予想

 FRBは、3カ月に1度まとめる米経済見通しを公表しました。2024年の米GDP(国内総生産)成長率の見通しは1.4%と、前回予想(1.5%)から0.1%ポイント引き下げました。

 今回示された見通しでは、米GDPは2024年に1.4%成長、続く2025年は1.8%成長、2026年は1.9%成長となります。米景気減速を予想するものの、リセッション(景気後退)にはならない、いわゆるソフトランディングを見通していることになります。

日本株は良い買い場、少しずつ買い増す方針継続

 今回のFOMCが、日本株に与える影響は「中立」と考えます。来年3回の利下げが示唆されNYダウが最高値を更新したこと、米景気ソフトランディングの見通しが示されたことは、日本株にとってプラス材料です。

 一方、1ドル142円台まで円高が進んだことはマイナス材料です。緩やかな円高ならば影響は少ないですが、急激な円高は日本株にマイナスです。

 日本株への投資方針は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。

 ただし、円高などによる短期的な下落はこれからも繰り返す可能性があります。時間分散しながら日本株への投資を少しずつ増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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