「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第3回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

 毎回クイズを1題、解いてもらいます。クイズの答え合わせをしながら、資産形成に必要な知識を一つ一つ身に付けていってください。

今日のクイズ:日経平均とTOPIXのインデックスファンド、買うならどっち?

<クイズ>次の二つのインデックスファンド【注】で、大型成長株の構成比率が高いのはどっち?

  1. 日経平均インデックスファンド
  2. TOPIX(東証株価指数)インデックスファンド

【注】インデックスファンド
 市場全体を代表する株価指数(インデックス)に連動するように運用されているファンドのこと。日本株を代表する株価指数として有名なのは、日経平均(日経平均株価225種)とTOPIXです。投資信託やETF(上場投資信託)に、この二つに連動するよう運用されるインデックスファンドが多数あります。

【参考】TOPIXとは
 TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所上場の主要銘柄から計算される株価指数です。2022年4月の東証再編までは「東証一部全銘柄の時価加重平均(浮動株調整ベース)」でした。東証再編で、東証第一部は廃止され、代わって東証プライム市場・スタンダード市場・グロース市場がつくられました。TOPIXは再編後は旧東証一部上場企業を中心とした東証主要銘柄から計算される株価指数となりました。

日本株インデックスファンドにも、いろいろある

  個人投資家が日本株に投資する際、以下三つの方法があります。

  1. 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)INPEX(1605)など個別銘柄を選択して投資する。
  2. インデックスファンドに投資する
  3. インデックスを上回るパフォーマンスを上げることを目指すアクティブ運用ファンドに投資する

【2】インデックスファンド投資は、いわば「平均点狙い」です。日本株全体を代表する指数にほぼ連動するので、その運用成果は「日本株全体の平均」となります。

 これに対し、【1】個別銘柄投資は「平均点以上を狙う」投資です。選んだ銘柄次第で、インデックス(日経平均やTOPIX)を上回る成果を得られることもありますが、下回る成果となることもあります。

【3】アクティブ運用ファンドへの投資も同じです。選んだファンド次第で、インデックスを上回る成果が得られることも、下回ることもあります。

 今日のクイズは、インデックスファンドの中で何を選ぶか考えるヒントとなるものです。多くの個人投資家は、日本株でインデックスファンドに投資する際、日経平均インデックスファンドを選びます。ただ、TOPIXインデックスファンドを選ぶ人もいます。この二つを、どのように使い分けたら良いでしょうか?

クイズの正解:日経平均インデックスファンドの方が大型成長株の構成比率が高い

【1】現在の日経平均インデックスファンドは、TOPIXインデックスファンドよりも大型成長株の構成比率が高いと考えられます。

 上記解答は、日経平均とTOPIXを比較分析した上での筆者意見で、日経平均を算出している日本経済新聞社の公式見解ではありません。なぜ、そう考えるか、以下で説明します。

TOPIX、TOPIXグロース指数、TOPIXバリュー指数の動き比較:2020年末~2023年11月7日

出所:2020年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券研究所が作成

 過去約3年(2020年末~2023年11月7日)、東証ではバリュー株(割安株)の上昇率が高く、グロース株(成長株)は不振でした。それが上記のグラフを見ると分かります。

 TOPIXには、バリュー株もグロース株も含まれ、ほぼ東京証券取引所の全銘柄に近い動きをします。「TOPIXバリュー指数」は、東証に上場している主に大型バリュー株を指数化したものです。「TOPIXグロース指数」は、主にグロース株を指数化したものです。

 このグラフに日経平均の動きを書き込んだのが、以下のものです。

日経平均、TOPIX、TOPIXグロース、TOPIXバリュー指数の動き比較:2020年末~2023年11月7日

出所:2020年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券研究所が作成

 ご覧いただくと分かる通り、日経平均はTOPIXよりグロース寄りの動きをしています。TOPIXより大型グロース株の構成比が高いためと考えられます。

 2020年以前のデータも見てみましょう。2017~2020年は、グロース株のパフォーマンスが良好で、バリュー株が不振でした。

TOPIX、TOPIXグロース指数、TOPIXバリュー指数の動き比較:2016年末~2020年12月末

出所:2016年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券研究所が作成

 これに日経平均を書き込むと、以下の通りです。日経平均は、TOPIXグロース指数とほぼ同じ動きをしていることが分かります。

日経平均、TOPIX、TOPIXグロース指数、TOPIXバリュー指数の動き比較:2016年末~2020年12月末

出所:2016年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券研究所が作成

日経平均は2020年以降の銘柄入れ替えで変わった

 日経平均は、最初からグロース色が強かったわけではありません。時代とともに、変化してきています。1990年代は、グロース株よりバリュー株の比率が高かったと考えています。

 ところが、2000年代以降の銘柄入れ替えによって、少しずつバリュー株を減らしてグロース株を増やしてきました。その結果、近年はかなりTOPIXグロース指数と近い動きをするようになりました。

 ただし、まだバリュー株もたくさん残っています。グロース株もバリュー株も含む、市場全体を代表する株価指数でありつつ、少しグロース色が強くなっていると考えています。

 なお、これは、筆者の株価指数分析による意見であり、日本経済新聞社のコメントではありません。

日経平均に8割、TOPIXに2割、インデックスファンド使い分け

 私は、日本株のインデックスファンドに投資する時、ざっくり8割を日経平均、2割をTOPIXインデックスファンドとしています。日経平均に過熱感が出る時は、日経平均を少し減らしてTOPIXを少し増やします。逆に、日経平均が過剰に売り込まれてきたと思う時は、日経平均を増やして、TOPIXを減らします。ご参考まで。

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