上がるも下がるも外国人次第の日本株

 今日は、日本株を動かしている外国人の売買動向を解説します。いつもお話ししている通り、日本株は過去30年以上、外国人投資家が動かしています。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売る傾向があるので、短期的な動きは外国人次第です。

 9月19日から10月6日までの間、外国人は日本株を約2.1兆円売り越しました(株式現物と先物の合計)。外国人の売りによって、日経平均株価(225種)はこの3週間で約2,500円下がり、一時3万0,500円を下回りました。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2023年10月23日(外国人売買動向は2023年10月13日まで)

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成 注:外国人売買は、株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

 ところが、その次の週、10月10~13日には外国人は一転して日本株を約1.1兆円買い戻しました(現物・先物の合計)。この週、日経平均は急反発し、前週比1,321円上昇しました。

 まだ売買額の統計が出ていませんが、その次の週、10月16日から20日にかけて、日経平均は1,056円下がっています。また、外国人投資家が日本株を売ったのだと思います。このように外国人次第で、日経平均は急落・急騰を繰り返していることが分かります。

短期トレードの鉄則、外国人投資家に黙ってついていく

 圧倒的な力を持っている外国人投資家に逆らっても、短期的には何も良いことはありません。短期トレードは黙って、外国人についていくのが鉄則です。私はファンドマネージャー時代、外国人にぴったりついていくトレード戦略を、「コバンザメ戦略」と呼んでいました。

 情けなく聞こえるかもしれませんが、それが、短期で勝つもっとも有効な戦略でした。

長期投資では外国人と同じ売買をしても勝てない:2020年の例

 外国人によって、もっと大きく日経平均が動いたのが、2020年です。2020年の日経平均は、外国人売りで暴落した後、外国人の買いで急上昇しました。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年12月31日

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成

 2020年の動きを見ていて思うのですが、外国人はあまり日本株をうまくトレーディングしていません。2020年はコロナショック後の最安値で巨額の売りを出し、年後半の急騰局面で巨額の買いを出しているからです。安く売って、高く買っているので、2020年の外国人は日本株のトレーディングで大失敗しています。

 このように、短期では外国人についていくのが鉄則ですが、長期投資では外国人とは違うことをやった方が良いこともよくあります。

 引き続き、外国人の日本株売買動向をウオッチしていくことが大切です。外国人の動きで気付いたことがあれば、本コラムで報告します。

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