両立のポイントは、子どもが学校にいる間に株の取引をすませること
家事や子育てをしながら株式投資をするのはムリ…
そんなふうに思っていませんか?「株の取引ができる時間帯は子どもが小学校へ行っているので大丈夫ですよ」と、アドバイスする成井佑希さん。株を買うとき、売るときは、証券会社を通じて証券取引所へ注文を出します。取引所が決めた取引時間は前場(ぜんば)と呼ばれる午前の取引が9時から11時30分、後場(ごば)と呼ばれる午後の取引が12時30分から15時まで。だから「大丈夫」なのです。
ではさっそく、成井さんの1日のタイムスケジュールを見てみましょう。
6時起床。朝食を作ったり洗濯をしたりという家事を済ませ、8時に子どもを小学校に送り出してから、証券会社が提供しているスマートフォンのアプリで「気配」をチェックします。気配とは株式の売買の目安となる値段のことで、証券取引所の取引が始まる前に1日の取引のおおよその方向がわかります。
「気配を見たら取引が始まる9時までの1時間で、今日はどんな売買をしようかという作戦を練ります。9時からの30分は取引の様子を見て、だいたい9時30分から10時30分の間で売買します。いったん休憩をして11時から再び取引を始めることが多いですね。その後は家事の時間に充てて、14時30分から再び株価をチェック。でもずっとスマホを見ているわけではありません。証券会社のアプリを使うと、事前に設定した条件に達するとアラート(株価通知)を出してくれるので、スマホの取引画面を見ていなくてもチャンスを逃すことはありません」
なるべく家庭に持ち込まない
前場か後場のどちらかは外出して、カフェや公園で株式市場の様子や株価をチェックします。「昼間は一人になることが多いので、家にこもって取引をしていると株価が値下がりしているときは暗い気持ちになるし、あそこを掃除しなくちゃ、洗濯物を取り込まなくちゃと気が散るので、外出することにしています」
15時になったら株式投資のことはすっぱり忘れて、自分の仕事や主婦業をこなし、「21時頃に子どもが寝るので、ニュースを見て明日の株式市場の動きを予想したり、取引する銘柄を探します」。成井さんのスケジュールなら、主婦業や子育てと株式投資の両立はできそうですね。
自分でためたお金で興味があった株を取引デビュー
きっかけは
成井さんが証券会社に口座を開いたきっかけは、会社員時代に頼まれたため。「父が株式投資をやっていて身近に感じていたのですが、会社員時代は仕事がいそがしかったこともあり、口座を開設しただけで使わないままでした」。
退職して子育てと自営の仕事に励んでいるとき、気づいたことがありました。「金利が低いせいで銀行に預けていたお金がほとんど増えていないのです。それならせっかく開いた証券会社の口座を使って株を買ってみようと思いました。投資資金は自分で貯めた300万円を使うことにしました」。
家計の役割分担
株式投資に興味を持ったとき、まず気になるのがお金のこと。主婦の場合、家計のお金、貯蓄のお金、投資のお金を、どのように振り分けたり管理をすればいいのでしょう。成井さんのおうちの場合を聞いてみました。「夫婦で役割分担をしています。私は大ざっぱな性格なので、「お金を増やす」役割。夫は家計を管理したり、娘の教育資金を貯めてくれています」。成井さんの投資資金は自分で貯めた預金。万が一、大きく減ってしまっても生活に支障のない「余裕資金」という位置付けです。
予測に反し…いつか戻ると考えた超楽観的な性格が災いして
含み損が150万円に!
2014年5月頃、まず結婚情報サービスの銘柄を買いました。会社員時代から知っている業界で、しかも業績が好調だったからです。業績に連動して株価も上がっていくと思って買ったのに、株価はなぜか値下がりしてしまい「おかげで大きな含み損を抱えてしまいました」。含み損とは株価が下がったときに生じる買った値段と今の値段の差額のこと。たとえば株価1000円の株式を100株買うために10万円のお金を使ったとします。株価が900円に値下がりすると持っている株式数は100株のまま価値は9万円に下がります。ただ売ったわけではないので1万円の損を「抱えてしまった」というわけです。
「損が大きくなったのは企業のせいではなくて、私が何も考えずに株価が急に値上がりしたときに買ったせいです。しかも私の超楽観的な性格が災いして、根拠もないのにすぐに戻るだろうと思って何度かナンピン(買い増し)をした結果、含み損が150万円に膨らみました」。
損切りか塩漬けの2択
株価がいずれ上がるという見通しがあるときは、下がっても下がっても「ナンピン」と呼ばれる買い増しをしていくと、安く買えた株がどんどん増えていきます。その後予想通り値上がりすれば含み益(含み損の反対です)に変わっていくのですが、さらに値下がりすると含み損は大きくなるばかりに……。このとき、投資家が取る行動は2つ。「損切り」か「塩漬け」です。損切りは値上がりを待たずに低い株価のまま売ってしまうこと。損失は発生しますが、残ったお金で早めの仕切り直しができます。塩漬けは何もせずに株価の値上がりを待つことです。
成井さんは「塩漬けにすると機会損失(儲ける機会を失うこと)になると思いました」。会社員時代は営業職だったので顧客に売り込みをしても断られることはしょっちゅう。「その時まったく脈がないと判断したら粘らずに次の顧客にアプローチしないと機会損失になります。株の損切りも同じ判断をすることにしました。ある程度経験を積んだ今でも、塩漬けには意味がないと思っています」
家族の応援で、株式投資に再チャレンジ!
失敗の経験を次の糧に
その後も、損切りして残った150万円の資金でいろいろな銘柄を買ったものの「鳴かず飛ばずで、資金は50万円まで減ってしまいました。当時の私は値上がりしそうな気がする、会社名を聞いたことがある、みんなが買っていそうという雰囲気だけ、根拠のない理由で銘柄を選んでいたため、儲けることができなかったのです」
50万円まで減っても株式投資を続けられたのは家族の支えがあったから。
「ここでは超楽天的な性格がいいほうに出ました。損をしても自信満々に振る舞っていたせいか、家族の誰からもやめろとは言われなかった。父などは自分が株式投資で損をしていたこともあり、お前に託すと、資金の援助をしてくれました」
100万円の追加資金を入れて、成井さんの再挑戦が始まります。
次号の みんなはどうしてる?ママ投資家を取材
◎今回の取材先:成井佑希さん
株の銘柄を「彼氏」に見立てる感性が
少女マンガ風でなんともユニーク!
著者の日々の売買の様子をつづる人気のブログ
「 成井佑希のスマホdeトレード日誌 」
◎今回の取材場所
「マヨルカ 二子玉川」 スペイン王室御用達デリカテッセン&カフェ
東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズS.C. テラスマーケット2F
お店のホームページ http://www.pasteleria-mallorca.jp/
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