ハードランディングの不安再燃、リスクオフの株売り続く
4日の日経平均株価は前日比711円安の3万526円と急落しました。米金利上昇が続く不安に加え、米国の政治混迷が嫌気されました。
米インフレ収束が遅れ、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めを長期化させる示唆を出していることが、重大なリスクとして意識されています。長期金利の上昇が続いていることから、米景気ハードランディングの不安が再燃しています。
それに加え、米国の政治混迷が嫌気されています。民主党と共和党の対立から2023年度予算が成立せず、10月1日にも米政府機関閉鎖が懸念されていました。それは11月中旬までの「つなぎ予算」を超党派で成立させることでぎりぎり回避しました。
ところが、超党派つなぎ予算を成立させる立役者となった、共和党のマッカーシー下院議長に3日、解任動議が出されて賛成多数で可決されてしまいました。これを受け、与野党対立がさらに深まり、政治混迷が長引く不安が高まりました。
こうした不安が続く中、グローバル投資家にリスクオフ(株などのリスク資産の組み入れ低下)の動きが続き、日本株にも外国人の売りが入ってきたと推定されます。
日経平均週足:2023年1月4日~10月4日
これで、日経平均週足チャートは、二番天井をつけて下がる形に近づいており、短期的な下値リスクが高くなりました。
ただ、私は日本のファンダメンタルズ(景気・企業業績)は良好で、日本株はPER(株価収益率)から割安になっていると判断しています。短期的なショック安が続く可能性があるものの、長期的な視点に立てば、日本株は良い買い場を迎えていると判断しています。こんな時、日本株への投資はどうしたら良いでしょうか?
株が下げ止まるまで買いは控えるという考え方もあります。ただし、投資は全てが分かった後、実行しても遅過ぎることもあります。全てが分かる前、不透明感が残っていて株価が安いうちが買い場ということもあります。
こんな時、「逆指値」売り注文をつけて投資していく方法もあります。今日は、逆指値の使い方を解説します。
「逆指値」売り注文とは
一言でいうと、「想定外の株価下落に備える損切り予約」です。
「ここまで株価が下がってしまったら、さらなる下落によって損失がどんどん拡大する可能性がある」と考えられる株価水準を決め、「そこまで下がったら、自動的に売り注文が出る」ように予約しておくのが、「逆指値・売り」注文です。
逆指値注文には、「逆指値・成行売り注文」と、「逆指値・指値売り注文」があります。私は、損切り予約として使うのは「逆指値・成行売り注文」に限るべきと思います。このレポートでは、逆指値・成行売り注文に絞って、説明します。
逆指値・成行売り注文のイメージ図
「億り人」は損切り達人
株のトレーディングで1億円以上の金融資産をつくった人を「億り人」と呼びます。億り人の成功談に、「これ(銘柄)を買ったら株価10倍に」のような話がたくさん出てきます。
ただし、どんな投資の達人でも、選ぶ銘柄で100発100中はあり得ません。たくさんの銘柄をトレードしているうちに、「そのまま持っていたら株価が半値になっていた!」という銘柄も多数あるはずです。
そういう失敗銘柄を、暴落初期にすばやく損切りできないと、億り人にはなれません。「保有し続けていたら半値になっていた銘柄を、暴落初日に10%の下げで損切りした」というような「損切り成功談」が、億り人にはたくさんあるはずです。
一般の個人投資家が、機関投資家やデイ・トレーダーに比べて不利な点は、「日中、常に相場を見ていることができない」ことです。投資銘柄に想定外の悪材料が出て急落する時、大きな損失を抱える前にすばやく損切りすることは、長期のパフォーマンス向上にとても大切です。
ところが、個人投資家の場合、家事・育児に忙しかったり、会社で仕事中だったりして、株価を見ていないうちに大きく下がってしまうことがあります。
そうならないように、値動きの荒いテーマ株に投資する場合は、逆指値・成行売り注文を入れておくべきと思います。
逆指値の成行売り注文を、しっかり使いこなす
逆指値注文には、売り注文も、買い注文もあります。意味を説明すると、以下の通りです。
◆「逆指値・売り注文」:指定した価格まで、株価が下がった時、出される売り注文
◆「逆指値・買い注文」:指定した価格まで、株価が上がった時、出される買い注文
株式投資の初心者の方は、「逆指値・成行売り注文」だけ覚えて、使っていただければOKです。「逆指値・買い注文」は、信用取引で信用売りしたときなどに使うくらいで、通常の取引で使うことはほとんどありません。
それでは、具体例で説明します。米国株の例で説明します。
指値売りと逆指値売り
上の図を使って、指値と逆指値を説明します。株価が150ドルの銘柄を1株保有していて、160ドルまで上昇したら利益確定売りをしようと思っているとします。その場合、160ドルに「指値(さしね)売り」注文を入れます。それが、指値注文です。
これに対し、逆指値は、損切りの予約です。株価150ドルの銘柄を1株保有していて、140ドルまで下がったら損切り売りをしようと思っているとき、140ドルに「逆指値・成行売り」注文を入れておくことができます。米国株の逆指値注文は、iSPEED、または、楽天証券のスマホまたはPCウェブページからログインして出すことができます。
この株が、160ドルまで上昇し、あなたが入れた指値売り注文にヒットすれば、160ドルで利益確定売りが成立します。
一方、この株が下落し、140ドルをつけた時は、損失確定の成行売り注文が出されます。その時点で、140ドルに指値の買い注文が残っていれば、140ドルでの損切りが成立します。140ドル買い指値がなくなっている場合は、それより下の、一番高い価格に入っている買い指値にヒットして、売ることになります。
逆指値の成行売り注文を入れておけば、きっちり損切りできます。株価をずっと見ていると、いろいろ迷って損切りできなくなる人も、損切りできるのがメリットです。
以下の説明もご参照ください。
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2023年4月26日:「指値」「成行」注文の賢い使い方。ETF・株式への投資デビューを考える方必見!
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