先週の日経平均は、米政府閉鎖の不安で下落

 先週(9月25~29日)の日経平均株価は1週間で約544円下がって3万1,857円となりました。米金利上昇、米政府閉鎖への不安から、先週はリスクオフ(リスク資産の売り)が広がりました。

日経平均と米ナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年9月末

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成、2021年末の値を100として指数化

【1】米政府閉鎖への不安

 9月29日には、米連邦予算が可決されず、新たな会計年度に入る10月1日から政府閉鎖になることがほぼ確実と考えられていました。そうなれば、米国景気に大きなマイナス要因となることから、株式市場でリスクオフの動きが広がり、日経平均も売られました。

 ところが、9月30日の夜、連邦議会の上下院は、予算執行を11月17日まで継続できる「つなぎ予算」を超党派で可決し、バイデン米大統領が署名しました。米政府閉鎖はぎりぎりで回避されました。

【2】米金利上昇への不安

 米金利上昇が続いていることも不安材料となっています。9月19~20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)が、来年いっぱいFF(フェデラルファンド)金利が5%台にとどまる見通しを示したことから、米長期(10年)金利が上昇し、米国株が下落しました。

 FRBは9月利上げを見送ったものの、年内あと1回の利上げを示唆し、さらに来年末のFF金利予測を4.6%から5.1%に引き上げました。来年いっぱい金融引き締めが続くことを示唆しました。

米長期(10年・2年)金利と短期金利(FF金利)の動き:2021年1月4日~2023年9月29日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

どうなる日経平均?

 ほぼ確実と考えられていた米政府閉鎖がぎりぎりで回避されたことから、10月2日の日経平均は上昇して始まると考えられます。ただし、米金利上昇・米景気ハードランディングの不安が払拭(ふっしょく)されたわけではないので、反発後は、また上値が重くなる可能性があります。当面、日経平均は3万1,500~3万2,500円のレンジで推移すると予想しています。

日経平均週足:2023年1月4日~9月29日

出所:楽天証券MSより作成

 2023年の日経平均は、リオープン・名目GDP(国内総生産)の伸び加速を好感して、4月から上値を抜けて上昇トレンドに入りました。ただし、7月以降は米金利上昇を嫌気して、ボックス相場に入っています。

 7月3日の3万3,753円を上値として、8月18日の3万1,450円を下値とするボックス相場に入っています。先週は、この下値を割るリスクが意識されましたが、米政府閉鎖が目先回避されたことを受けて、いったん反発が予想されます。

米国株より日本株のパフォーマンスが勝ると予想する理由

 日本株が割安で、長期的に良い買い場との投資判断は変わりません。ただ、米国株が金利上昇を嫌気して下がる局面では、一緒に売られる可能性があります。それでも日本株は、米国株よりも相対的に堅調に推移すると考えています。

 日本のファンダメンタルズ(景気・企業業績・株価割安度)は、米国よりも相対的に良好と考えているからです。また、日本株の方が*イールドスプレッドが大きいことから、日本株の方が、グローバルな投資資金の買いが入りやすいと予想しています。

*イールドスプレッド…債券同士の利回り格差や株式と債券の利回り差。割高感・割安感を判断する指標の一つ

日本株と米国株のイールドスプレッド比較:2023年9月末時点

出所:楽天証券経済研究所が作成

 日本株にとって追い風となるのは、インフレ率の上昇によって、日本の名目GDPの伸びが高くなりつつあることです。日本の2023年(暦年)の名目GDPは、IMF(国際通貨基金)によると5.2%成長と予測されています。バブルの余韻が残っていた1991年以来の高い伸びになる可能性があります。

日本の名目GDP、年別の成長率:1981~2023年(IMF予測)

出所:IMF「世界経済予測」より楽天証券経済研究所が作成

 長年にわたってゼロ・インフレに苦しんできた日本企業にとって、普通に値上げができる経済になった恩恵は極めて大きいです。名目GDPの成長拡大が、今後4~5年にわたり、日本株の追い風となると予想しています。

 時間分散しながら少しずつ割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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