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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
世界株安いつまで?米国・日本とも景気は好調だが金利上昇に不安

8月は世界株安に

 先週の日経平均株価は、1週間で1,022円(3.1%)下がり、3万1,450円となりました。8月に入ってからの下げはトータルで1,721円に達しました。米国株を始め、8月は世界的に株が下がっており、日本株にもその流れから外国人投資家と見られる売りが出て下がっています。

日経平均・米ナスダック総合指数の月次騰落率:2023年1~8月(18日まで)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 

 株安を引き起こしているのは、世界的な金利上昇です。ドルの長期金利が4%台に乗せてきたことが懸念材料となっています。金利のピークアウトは近いと言われながら、じりじりと金利上昇が続いていることが不安につながっています。

日経平均・ナスダック総合指数比較:2021年末~2023年8月18日

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

米国・英国・ドイツ・日本の長期(10年)金利推移:2021年末~2023年8月18日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 8月に出てきた景気指標を見ると、米国景気・日本の景気とも想定以上に好調です。中国景気が予想以上に悪化していることが懸念材料ですが、それでも世界全体で見ると景気は良好です。そのこと自体は、株式市場にポジティブです。

 ところが、米景気が堅調であるがゆえに、長期金利に上昇圧力が働きやすくなっています。それに加え、
【1】パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がタカ派姿勢を崩していないこと
【2】8月1日に大手格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを最上級のAAA(トリプル・エー)からAA+(ダブルエー・プラス)に1段階引き下げたこと

 などの影響もあり、ドル金利に上昇圧力がかかりやすくなっています。

4-6月日本のGDPはポジティブ・サプライズ

 日本の景気の強さを再確認させたのが、15日に発表された4-6月の日本のGDP(国内総生産:速報値)です。実質GDP(季調済)は前期比年率+6.0%、名目GDPは同+12.0%の高成長でした。

日本の名目・実質GDPの四半期別成長率推移(季調済・前期比年率):2022年1-3月期~2023年4-6月期(速報値)

出所:内閣府「GDP統計」より楽天証券経済研究所が作成

 特に驚きが大きいのが、名目GDPの伸びです。前期比年率12%増と、瞬間風速にしても高い成長でした。日本国内でインフレ率が高まってきたことが、国民生活には厳しい状態ですが、景気・企業業績・株価には追い風となり始めています。

 日本の2023年(暦年)の名目GDPは、IMF(国際通貨基金)によると5.2%成長と予測されています。バブルの余韻が残っていた1991年以来の高い伸びになる可能性があります。

日本の名目GDP、年別の成長率:1981~2023年(IMF予測)

出所:IMF「世界経済予測」より楽天証券経済研究所が作成

 長年にわたってゼロ・インフレに苦しんできた日本企業にとって、普通に値上げができる経済になった恩恵は極めて大きいです。名目GDPの成長拡大が、今後4~5年にわたり、日本株の追い風となると予想しています。

短期的には調整続く可能性も、長期的には良い買い場と判断

 日本株は割安で長期的には良い買い場を迎えているという判断は変わりません。ただ、短期的には、世界的な金利上昇・中国経済への不安で、日経平均の調整が続く可能性があります。世界的な金利上昇がピークアウトすると予想している秋口まで、世界的な株のスピード調整が続く可能性があります。

 日本株の投資方針は、毎週述べていることと変わりません。時間分散しながら、少しずつ買い増ししていくことが、中長期の資産形成に貢献すると考えています。

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