中国景気への不安高まる。日経平均の下げ続く
2023年は米景気が想定以上に好調、日本の内需回復も順調であることを好感し、米国株・日本株とも上昇してきましたが、8月に入り、調整局面に入っています。
<日経平均・米ナスダック総合指数の月次騰落率:2023年1~8月>
年 月 | 日経平均 | ナスダック総合 | |||
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2023年1月 | +4.7% | +10.7% | |||
2023年2月 | +0.4% | ▲1.1% | |||
2023年3月 | +2.2% | +6.7% | |||
2023年4月 | +2.9% | +0.0% | |||
2023年5月 | +7.0% | +5.8% | |||
2023年6月 | +7.5% | +6.6% | |||
2023年7月 | ▲0.1% | +4.0% | |||
2023年8月 | 16日まで ▲4.2% |
15日まで ▲5.0% |
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出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成 |
米国株は8月1日、大手格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを最上級のAAA(トリプル・エー)からAA+(ダブルエー・プラス)に1段階引き下げた【注】ことをきっかけに、米長期(10年)金利が4%台まで上昇したことを嫌気して下落しています。
つれて日経平均株価にも外国人の売りが増えました。世界的な金利上昇が、日米株価下落の要因となっています。
今週はそれに加え、中国景気の不安が、日本株が売られる要因となっています。米景気・日本の景気が想定以上に好調である一方、中国景気は想定以上に悪化しています。中国の不動産バブル崩壊の影響に加え、米中対立深化による政治不安が、中国での投資活動抑制につながっています。
<日米長期(10年)金利推移:2007年1月末~2023年8月16日>
<日経平均・ナスダック総合指数比較:2021年末~2023年8月16日(ナスダックは15日まで)>
4-6月日本のGDPはポジティブ・サプライズ
内閣府は15日、4-6月のGDP(国内総生産:速報値)を発表しました。物価変動の影響を除いた実質GDPは季節調整済の年率換算で前期比+6.0%、名目GDPは同+12.0%の成長でした。既に8月で、4-6月は過去の数字ですが、日本の景況の強さを再確認する上で、ポジティブ・サプライズ(良くて驚き)でした。
<日本の名目・実質GDPの四半期別成長率推移(季調済・前期比年率):2022年1-3月期~2023年4-6月期(速報値)>
特に驚きが大きいのが、名目GDPの伸びです。前期比年率12%増と、瞬間風速にしても高い成長でした。日本国内でインフレ率が高まってきたことが、国民生活には厳しいですが、景気・企業業績・株価には追い風となり始めています。
日本の2023年(暦年)の名目GDPは、IMF(国際通貨基金)によると5.2%成長と予測されています。バブルの余韻が残っていた1991年以来の高い伸びになる可能性があります。
<日本の名目GDP、年別の成長率:1981~2023年(IMF予測)>
長年にわたってゼロ・インフレに苦しんできた日本企業にとって、普通に値上げができる経済になった恩恵は極めて大きいです。名目GDPの成長拡大が、今後4~5年にわたり、日本株の追い風となると予想しています。
短期的には、世界的な金利上昇・中国経済への不安で、日経平均の調整が続く可能性がありますが、日本株は割安で長期的には良い買い場を迎えているという判断は変わりません。日本株を時間分散しながら、少しずつ買い増ししていくことが、中長期の資産形成に貢献すると考えています。
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