日経225マイクロ先物の上場で先物取引へのハードルが一気に下がる!
本コラムをご覧の個人投資家の皆さんは、先物取引をしたことはありますでしょうか?
筆者はかなり前から先物取引をしていますが、さまざまな面で有効性を感じることができています。
ただ、例えば日経平均株価の先物でいえば、「ラージ」と「ミニ」があり、ラージの取引単位は日経平均の1,000倍、ミニの取引単位は日経平均の100倍です。
日経平均が3万1,000円であれば、ラージなら3万1,000×1,000=3,100万円、ミニなら3万1,000×100=310万円が1単位となり、資金がそれほど多くない個人投資家にとってはかなりハードルが高い状況でした。
先物は差金決済取引なので、ラージの取引に3,100万円が必要というわけではなく証拠金として現在ならおよそ130万円あれば取引可能です。ミニの取引なら13万円で可能です。
それでも取引金額が大きいと、レバレッジが20倍以上効いている分、リスクも高くなりますから二の足を踏んでいた個人投資家の方も少なくなかったと思います。
そんな皆さまに朗報です。5月29日から、大阪証券取引所で新たに「日経225マイクロ先物」が上場し、各証券取引会社でも取引ができるようになりました。
参考:楽天証券「日経225マイクロ先物・ミニオプション取扱い開始のお知らせ」
日経225マイクロ先物の単位は、日経平均の10倍です。そして必要な証拠金も現時点で1万3,000円程度で済みます。
日経225マイクロ先物を用いれば、ラージの3,000万円、ミニの300万円よりはるかに金額の小さい30万円ほどの取引をすることができます。これは資金が多くない個人投資家が、先物のメリットを活用することができる画期的なニュースだと思います。
メリット1:日経平均株価が上昇すれば利益を得られる
先物取引の大きなメリットは、「日経平均が上昇すれば利益を得られる」ということです。例えば足元の日本株マーケットなどはその典型例です。
5月26日時点で、25日移動平均線を下回っている個別銘柄は全体の6割近くに達しています。日経平均が33年ぶりの高値を更新する中、多くの個別銘柄は、上がるどころか逆に下がってしまっているのです。
このような状態で、個別銘柄で利益を上げるのはかなり難しいものです。銘柄選びの運がかなり良くないと、上がる株と下がる株を両方つかみ、結局は利益に結び付かなくなってしまいます。
しかし日経平均先物は、名前の通り日経平均の先物ですから、日経平均に連動して動きます。
したがって、個別銘柄の多くが下降トレンドの弱い状況でも、日経平均が上昇すれば利益を得ることができます。
筆者が保有する個別銘柄も、5月は動きがイマイチなものが多く、利益を伸ばすことが難しかったです。一方、日経平均先物を買うことにより利益を得ることができました。
個別銘柄が上がらなくても日経平均さえ上がれば利益を得られるというのは大きなメリットです。
メリット2:ETFより資金効率が良い
二つ目のメリットは資金効率です。
日経平均先物へ投資しなくても、例えば日経平均へ連動するETF(上場投資信託)に投資すれば、ほぼ同じような効果を得られます。しかしETFと先物とでは、資金効率が大きく異なります。
例えば投資資金が500万円あったとします。このうち個別銘柄ではなく日経平均に連動するETFを300万円買ったとすると、個別銘柄へ回せるのは200万円のみです。
通常、日経平均と個別銘柄を比較すると、日経平均は個別銘柄よりかなり値動きが小さいです。筆者の感覚だと3分の1くらいです。
そのため、日経平均連動型ETFにまとまった資金を投入すると、値動きが個別銘柄よりかなり小さいものに資金を回すことになるため、投資効率がかなり落ちてしまいます。
仮に個別銘柄が30%上昇、日経平均がその3分の1の10%上昇するというケースで考えてみると、
・500万円全額個別銘柄へ投資:500万円×30%=150万円の利益が見込まれる
・500万円のうち300万円をETF、残り200万円を個別銘柄へ投資:300万円×10%+200万円×30%=90万円の利益が見込まれる
というように、得られる利益がかなり小さくなってしまうのです。
信用取引を活用すれば、これ以上の利益は見込めますが、信用取引には金利がかかりますので、その分負担も増えてしまいます。
でも、300万円分の日経平均を先物取引で行う場合、証拠金13万円ほどで買うことができます。先物の証拠金用に、500万円のうち50万円を使うとすると、次のようになります。
・個別銘柄へ450万円投資:450万円×30%=135万円の利益
・50万円の証拠金を使って日経平均先物へ300万円分投資:300万円×10%=30万円の利益
このように、利益合計が165万円となります。かなり資金効率が良くなることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
メリット3:および注意点・翌朝6時まで取引可能
三つ目のメリットは、取引できる時間が長いということです。日経平均連動型のETFであれば、午前9時~午後3時までしか取引できませんが、日経平均先物は翌朝6時まで取引することができます。つまり、米国市場が開いている時間帯も取引ができるのです。
これにより、翌日の始値が当日の終値と比べて大きく離れて寄り付く現象、「窓を開ける」ことが少なくなります。
ETFだと、当日午後3時から翌日午前9時の間に米国株が大きく動いたり、何か大きな出来事が生じた場合、翌日の寄り付きから大きく窓を開けてしまいます。そうなると、利益確定や損切りで売ろうとしたとき、前日終値からかなりかけ離れた金額で売ることになり、利益が小さくなったり損失が大きくなったりしてしまうのです。
しかし日経平均先物であれば、米国株がオープンしている時間も取引できますから、米国株の動きがタイムリーに反映され、翌日窓を開けてスタートすることがかなり少なくなります。
なお、上記に関連して一つ注意点があります。米国市場がオープンしている間に株価が大きく変動してしまうと、「寝ている間に損失が大きく膨らんでしまう」ということになりかねません。
ですから先物を買ったら逆指値の売り注文を入れておくようにし、想定外の大きな損失を回避するようにしましょう。
※連載「知らなきゃ損する!今日から使える税金のキホン」で6月2日公開予定の記事では、日経平均先物の税金の取り扱いについて解説します。
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