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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【日本株】令和の日経平均が4万円を目指すと考える理由

日経平均、そろそろ動く?

 2022年から2023年にかけて、日経平均株価は狭いレンジを行ったり来たりのボックス相場が続いています。2020年がコロナショックで暴落後に急上昇した「大荒れの年」だったのと対照的です。

<日経平均週足:2020年1月6日~2023年4月25日>

出所:MSⅡより楽天証券経済研究所が作成

「治(ち)きわまれば乱に入り、乱きわまれば治に入る」。これは、三国志演義に出てくる有名な一節です。「平和が続くと戦争が起こりやすくなり、戦争が続いた後は平和な時代が来る」という意味です。

 これは、相場の世界にも通用する言葉として、私は胸に刻んでいます。「大きく動く(荒れる)相場が続いた後は、変動性の小さい(大きく動かない)相場が来る。変動性の小さい相場の後には、荒れる相場がくる」と読み替えることができます。

 今、日経平均のボラティリティ(変動性)が小さくなっていて、上下とも動きにくいムードが広がっています。しかし、それがいつまでも続くと考えるべきではありません。いつの日か日経平均が再び荒れる日が来ることを肝に銘じておくべきです。

「治きわまれば、乱に入る」。そろそろ、日経平均がボックスの上か下へ抜けて、大きく動く可能性を考えた方が良いと思います。

米景気ソフトランディングかハードランディングか

 米景気ハードランディングの不安【注1】が、米国株および日本株の上値を抑えています。ハードランディングの可能性が高まれば、日経平均はボックス圏から下放れするリスクがあります。

 一方、米景気ソフトランディングの期待【注2】もあります。ソフトランディングの可能性が高まれば、日経平均はボックス圏から上放れすると考えられます。

【注1】米景気ハードランディングの不安

 米国のインフレ収束が遅く、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げをいつまでも続け、米国の金融不安が高まり、米景気が後退局面に入る不安

【注2】米景気ソフトランディングの期待

 米景気が堅調なうちに米インフレが収束に向かい、利上げが停止され、米景気が持ち直す期待

 米景気がハードランディングとなるかソフトランディングになるか、もう1年以上も議論が続いていて、見方が割れたままです。

 まだまだ決着はつきそうにありませんが、決着はある日突然つくこともあります。なんらかのイベントがあって、日経平均が大きく上または下に動いていく可能性に、常に注意しておく必要があります。

今週の重大イベント:5月3日FOMC結果発表

 今週の重大イベントは、5月2~3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)です。3日(日本時間では4日の午前3時)に、結果が発表されます。

 0.25%の利上げが実施されるか、あるいは利上げが停止されるか、どちらかになると想定されます。どちらになっても、金融市場にとってサプライズ(驚き)となる可能性があります。

 FRBは通常、市場との対話の中で、金融政策の変更を事前に示唆し、金融市場に織り込ませます。したがって、金融政策が発表された日にはサプライズがなく、金融市場の反応は限定的であるのが普通です。

 ところが、今回はFRBのメッセージの出し方があいまいで、5月2~3日のFOMCで利上げするのかしないのか、金融市場の見方は割れたままです。

 パウエルFRB議長の公式発言からは、0.25%の利上げが実施される可能性が高いと言えます。

 ただし、急激な利上げによって米国の地方銀行の財務が悪化、金融不安が出ていることを考えると、利上げを停止する可能性もあります。金融市場では、2年金利・10年金利がFF金利を大きく下回る推移となっており、利上げが早々に停止されることが織り込まれています。

<米国の長短金利(10年・2年・FF金利)推移:2021年1月4日~2023年4月25日>

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 5月3日にもし利上げがなければ、利上げ継続をほのめかしていたFOMCメンバーの発言と異なるのでサプライズとなります。

 もし、0.25%の利上げが発表されれば、早期利上げ停止を織り込んでいる金融市場にとってサプライズです。どちらが出ても、波乱が生じる可能性があります。

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