長期の資産形成は非課税口座で
長期の資産形成は、「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」など、非課税口座を活用してやっていくべきです。将来、投資で100万円のリターンが得られるとして、課税口座(分離課税)ならば20.315%(20万3,150円)の源泉税が差し引かれます。非課税口座ならば100万円そっくり受け取れます。その差は大きいです。
2014年にNISA制度が始まってから今年でもう10年目です。現行制度は2023年末で終わり、2024年から新しいNISA制度が始まります。新NISAでは、年間投資枠が360万円に拡大され、生涯投資枠1,800万円が導入されます。非課税で投資できる金額が大幅に拡大する2024年が待ち望まれます。
ただ、新NISAが始まる前に、まだ9カ月あります。2023年は、現行NISAで投資する最後の1年となります。2023年は、現行NISAのメリットをしっかり活用したいと思います。中でも注目なのは、2023年末で終了することが決まっている「ジュニアNISA制度」です。
「終了する」とは、新規に投資できるのは2023年までという意味です。2023年末(受け渡しベース、約定は日本株ならば12月27日)までに投資しておけば、お子様が18歳になるまでジュニアNISAでの非課税投資は続けられます。
ジュニアNISA概要
以下が2023年のジュニアNISA概要です(出所:金融庁「ジュニアNISAの概要」より作成)。2022年までの枠とは一部異なる部分もありますので、ご注意ください。
【1】利用者(口座開設できる方):国内に居住する未成年者(0~17歳)
【2】非課税対象:株式・投資信託などへの投資で得られる配当金・分配金や売買益
【3】非課税投資枠:上限80万円(2023年中に投資する必要がある)
【4】非課税期間:利用者が18歳になるまで
【5】運用管理者:口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母ら)
【6】払い出し制限: 2024年以降は払い出し可能
ジュニアNISAのメリット・デメリット
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット【1】お子様が18歳になるまで非課税で投資できる
2023年にジュニアNISAを使うメリットは、お子様(または孫)が18歳になるまで、上限80万円の非課税投資ができることです。0歳から17歳のお子様が対象です。0歳のお子様にジュニアNISA口座を開いて80万円投資すると、18歳になるまで18年間の長期にわたって非課税投資ができるメリットがあります。
メリット【2】2024年から引き出し可能
ジュニアNISAはもともと、利用者が原則18歳になるまで引き出しができないというルールでしたが、2024年以降は18歳以下でも引き出しが可能になります。今年0歳のお子様でジュニアNISAをスタートすれば、18歳になるまで非課税投資を続けることもできるし、急にお金が必要になれば2024年以降、引き出すこともできるわけです。
デメリット【1】途中で投資銘柄を入れ替えることができない
もしジュニアNISAで保有している銘柄を全て売却してしまうと、それで非課税投資は終わりになります。18歳になるまで、長期にわたって非課税投資を続けるためには、最初に買った銘柄をずっとそのまま持ち続けなければなりません。値動きの激しい個別銘柄よりも、幅広い銘柄に分散投資して長く持ち続けられる投資信託やETF(上場投資信託)の方が良いかもしれません。
デメリット【2】損益通算できない
もう一つのデメリットとして知っておくべきは、売却損を出した時に「損益通算」ができないことです。課税口座(特定口座)で10万円の売却益と10万円の売却損を出せば、「損益通算」されます。売却益と売却損が相殺され、ネットで売買損益は出ていないので、税金はかかりません。
ところが、課税口座で10万円の売却益を出し、ジュニアNISAで10万円の売却損を出した時は、損益通算ができません。10万円の売却益に対し、分離課税を選択していると、2万315円(20.315%)の税金(所得税および住民税)がかかります。NISA口座で10万円の売却損を出しても、払った税金は戻ってきません。
損益通算できないのは、ジュニアNISAに限った話ではありません。一般NISAも含め、非課税投資口座に共通するデメリットです。非課税投資口座で投資すると、投資の利益に課税されないメリットがある代わり、投資の損失は損益通算できないというデメリットがあります。
以上が2023年のジュニアNISA概要です。
2023年末で終わる一般NISA・つみたてNISA概要
ジュニアNISAとは別に、2023年末で終わる現行の一般NISA・つみたてNISAもしっかり使っていくべきと思います。以下がその概要です。
現行のNISA制度では、一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。1年間にどちらか一つしかできません。両者の大きな違いは、非課税となる期間、年間上限額、対象商品の3点です。
来年に始まる、新NISAでは、1年間に360万円の非課税投資枠が付与されます。概要は、以下の通りです。
現行NISA・新NISA概要比較
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