逆指値注文を活用するメリットは?

 前回のコラムにて、逆指値注文の基本的な意味をお伝えしました。一言でいえば、逆指値注文活用のメリットは、「順張りの投資家が買い時・売り時を逃さないようにすることができる」という点です。

 逆指値注文は順張り・トレンドフォローの投資手法を用いている投資家でないとメリットを感じられませんので、その点はご理解の上読み進めてください。

 今回は、買い注文にて逆指値注文をどのように活用するか、そしてデメリットや注意点についても解説していきます。

買いたかった株が急騰して買えなかった!

 買い注文で逆指値注文を使うシーン、これは圧倒的に「買いたい株価に株価が到達したらその株価近辺で買う」ために用います。

 例えばこんなケースを想像してみてください。

  • 現在の株価:950円
  • 25日移動平均線 980円
  • 株価が25日移動平均線を少し超えた1,000円で買いたい。

 このケースでは、株価が1,000円に到達したことを確認してから買うことになりますが、筆者含め個人投資家の多くは、日中は仕事をしているため取引時間中に株価を頻繁に見ることはできません。

 よくあるのが、こんな状況です。

  • 昨日の株価は950円で、25日移動平均線を割り込んでいるのでまだ買う必要がない。だから買い注文は出さない。
  • ところが今日の夕方株価をみたら、寄り付きは950円だったもののその後株価が急騰して1,080円まで上昇していた。
  • 翌日は窓を開けてさらに上昇し1,200円で寄り付いた。

 本当は1,000円近辺で買いたかったのに、気が付いたら株価が大きく上昇してしまった…。こんなことはよくあります。

 もちろん、株価が大きく上がっても買うことはできますが、筆者であれば25日移動平均線から大きく上方へ株価が乖離(かいり)した場合は買うのをあきらめます。無理に買うと高値づかみで大きな損失につながりかねないからです。

逆指値注文を活用すれば、「買いたい株価」で買える!

 でも、このようなシチュエーションであっても、逆指値注文を使えば、買いたい株価の近辺で買うことができる可能性が高まります。

 まず、株価が買いたい価格(上の例では1,000円)より低い状況であっても、「1,000円まで株価が上昇したら買う」とする逆指値の買い注文をあらかじめ発注しておきます。

 逆指値注文は、いわば注文の予約です。買いたい価格に株価が達していない間は証券会社に注文がとどまっていて、証券取引所へ発注はされていません。

 もし株価が上昇して1,000円になったら(この時の「1,000円」をトリガー価格と言います)、証券会社から証券取引所に注文が発注されます。逆指値注文を成行買いで出していれば、1,000円とか1,001円といった、買いたい株価に近い価格で買うことができるのです。

 この逆指値注文の何が素晴らしいかと言えば、いったん逆指値注文を出しておけば、その注文の有効期間中、株価をチェックすることなく、トリガー価格に株価が達すれば注文が自動的に発注されるということです。

 まさに昼間仕事をして株価を見れない個人投資家にとっては救世主といえる注文方法なのです。

逆指値注文は「ヒゲ」に弱い

 ただ、逆指値注文にも弱点があります。それが、買い注文であれば、買った後株価が大きく下がってしまうような場合です。

 株価チャートでいえば、上ヒゲを伸ばした形で、このヒゲの部分で株を買えてしまったという状況です。

 1日の株価の変動をみると、例えば次のようなケースです。

  • 25日移動平均線は980円。
  • 1,000円になったら成行で買うとする逆指値注文を出していた。
  • 今日の寄り付きは980円で始まり、その後1,050円まで上昇。1,000円に到達したので逆指値注文は成立し、株を買えた状態。
  • ところが1,050円まで上昇した後は急速に株価が下落し、終値は950円まで下落。

 もし終値ベースで見た場合、終値は25日移動平均線を超えていないので買う必要はない、という判断になります。ところが取引時間中に25日移動平均線を明確に超え、逆指値注文のトリガー価格にヒットしているので、その時点で株が買えてしまっているのです。

 この場合は仕方ないので、翌日以降に損切りするなどして対応することになります。

決算発表シーズンは「高寄り」に要注意

 もう1点、逆指値の買い注文で気を付けておきたいのが、決算発表シーズンです。例えば上と同様の例で、

  • 現在の株価:950円
  • 25日移動平均線 980円
  • 株価が25日移動平均線を少し超えた1,000円で逆指値の買い注文を発注。

 という状況で、会社が好決算の決算発表をしたことで、翌日の株価が急騰し、1,100円で寄り付いたとしましょう。

 実は逆指値注文のトリガー価格は、実際にその株価で売買が成立しなくとも、買いの気配値がトリガー価格に達すれば発注されます。

 この例では、1,100円で寄り付く前に、当然ながら1,000円の気配値を通過していますので、この時点で買い注文が発注されます。

 成行注文を発注していれば、本当なら1,000円近辺で買いたかったのに、1,100円で買えてしまう、ということが生じます。

 これを防ぐためには、「この株価までだったら買ってよい」という価格を決め、逆指値注文かつ指値注文を活用するのが有効です。

 例えば1,000円の逆指値かつ1,020円の指値注文を入れれば、もしトリガー価格1,000円に達した後、株価が1,020円までであれば買い注文が成立する一方、1,020円を超えた場合は買い注文が成立しないので、高値づかみを避けることができるのです。

「逆指値の成行」より「逆指値の指値」の方が無難か?

 逆指値注文にはさらに「成行注文」と「指値注文」があります。前者を「逆指値の成行」、後者を「逆指値の指値」と言ったりもします。

 逆指値とはトリガー価格の意味であり、もし逆指値が1,000円だとすると、株価が1,000円に到達したらその時点で成行注文を出すのが「逆指値の成行」です。一方、株価が1,000円に到達したら1,000円とか1,010円といった任意の価格で指値注文を出すのが「逆指値の指値」です。

 もし、トリガー価格に達したら絶対に買いたいというのであれば逆指値の成行を使うことになりますし、高値づかみを避けたいのであれば、「この株価までだったら買ってもよい」という価格で逆指値の指値を使えばよいでしょう。

 筆者は、上記の決算発表シーズンのような高値づかみのリスクがない場合は、逆指値の成行を使うことが多いですが、しっかりとリスク管理をするのであれば逆指値の指値を活用するのが無難かもしれませんね。

 次回は売却の際に逆指値注文をどのように活用するのかについてお話ししていきたいと思います。

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