「東証マザーズ」は4月の再編で「東証グロース」に
今日は、東証マザーズ株の投資戦略について書きます。と言いつつ実は、東証マザーズという市場は今年4月の東京証券取引所(東証)再編で消滅しました。
東証マザーズに上場していた銘柄のほとんどが新しく創設された「東証グロース市場」に移管されました。したがって、今からお話しするのは、言い方を変えると東証グロース市場の投資戦略です。
以下ご参考まで、4月4日に東証がどのように再編されたかご覧ください。
東証再編:プライム・スタンダード・グロースの3市場に再編
今日は、「東証グロース」市場という言葉を使わずに、「東証マザーズ」という言葉を使って投資戦略を書きます。マザーズ株と言った方が、個人投資家になじみがあると思うからです。
東証は再編後も「旧マザーズ銘柄」を対象として「東証マザーズ指数」の公表を続けています。その東証マザーズ指数に連動することを目指すETF(上場投資信託)」もあります。「東証マザーズETF(2516)」です。
そのETFに少し投資しても良いと私が考える理由を、今日は説明します。その前に告知事項です。筆者は現在、東証マザーズETFを8,000口保有しています。
東証マザーズ指数は、時間をかけて東証グロース上場250に衣替え
東証は、東証再編後も東証マザーズ指数の公表を続けています。当面は、4月1日時点の東証マザーズ上場銘柄を対象としますので、東証グロース以外の市場に移った銘柄も対象となります。
ただし、毎年10月に銘柄入れ替えを行っています。東証グロース上場の時価総額上位250銘柄に入れ替えていきます。
2022年10月の入れ替えは、インパクトを緩和するために、東証が定めたルールにより3段階の入れ替えとします。
東証の説明によると、「東証マザーズ指数」の名称で算出が続けられるのは、2023年10月の最終営業日までで、その後「東証グロース市場250指数(仮称)」へ指数名が変更される予定です。
ただし、一定のルールによって少しずつ銘柄入れ替えが行われるため、東証マザーズ指数から連続性をもって新指数に入れ替えられる見込みです。
東証マザーズ指数に連動するファンドも、連続性を保ったまま「東証グロース市場250指数(仮称)」に連動するファンドになっていくことが可能だと推定されます。
以下、本レポートでは、マザーズ株の投資方針としてお話しをします。
東証マザーズは小型成長株の宝庫だが高リスク
東証マザーズは小型成長株の宝庫です。過去にマザーズからスタートして大きく成長した銘柄もあります。
すでに東証プライムにくら替えとなっていますが、エムスリー(2413)、MonotaRo(3064)、サイバーエージェント(4751)、ZOZO(3092)、ディー・エヌ・エー(2432)などです。
一方、期待外れに終わり、暴落して上場廃止になった銘柄もたくさんあります。インターネット総合研究所、旧ライブドアなどです。
それだけに、高リスク・高リターンの市場といえます。銘柄選択の巧拙で、大きなリターンも大きな損失も、どちらもあり得るということです。
マザーズ株に投資する時、銘柄選択以外にも注意しなければならないことがあります。私がファンドマネージャー時代にマザーズ株に投資する時に肝に銘じていたことです。それは「波に乗る」ことです。
マザーズは波に乗ることが大切
私がファンドマネージャー時代に、マザーズ株のトレーディングで、銘柄選択以上に気を付けていたことは「波に乗る」ことです。
というのは、マザーズ株は上がる時も下がる時も値動きが極めて大きく、一方通行になることが多いからです。
以下のチャートでわかる通り、上がる時はいい銘柄も悪い銘柄も上がり、下がる時はいい銘柄も悪い銘柄も下がる傾向があります。
一生懸命、企業調査していい銘柄を選んだつもりでも、下げ相場では、なすすべもなく下がります。
2021年以降、いい銘柄も悪い銘柄もなんでも下げる相場が続いた後、2022年に入ってから底打ちしつつあります。そろそろ買い場が近づいているかもしれないという気持ちになります。
東証マザーズ指数の月次推移:2016年1月末~2022年11月14日
トレンド転換近い?13週移動平均線が上向きに
ファンドマネージャー時代、マザーズ株に積極投資するかどうか判断するために重視していた「鉄則」があります。
マザーズ株で積極的にトレーディングするのは、マザーズ指数の「13週移動平均線が上向き」の時に限るという鉄則です。それが「波に乗る」ために重要なことです。
以下の通り、13週移動平均線は7月以降、上向きに転じています。「だまし」の可能性もありますが、上昇トレンドが始まる最初のシグナルである可能性もあります。
東証マザーズ指数(週次推移)と、13週移動平均線:2016年末~2022年11月14日
13週移動平均線が下向きから上向きに変わった流れを見やすくするために、以下、マザーズ指数の2022年の動きだけを拡大したチャートをご覧ください。
東証マザーズ指数(週次推移)と、13週移動平均線:2021年末~2022年11月14日
旧・東証マザーズ市場(現・東証グロース市場)は、創業後、まだ黒字化したことのない企業でも上場できる特殊な上場市場です。
成長期待が高い銘柄が選ばれる一方、成長ストーリーが崩壊した時には、下値のメドなく株価が暴落することもある、高リスク市場です。
それだけに個別銘柄に投資する場合は、落ちてくるナイフをつかむ買い方ではなく、トレンドに乗って投資していくことが大切だと思います。トレンドが変わるかもしれない今、少し試し買いしてみても良いと思います。
東証マザーズETFへの投資で、市場全体を買う方法も
「東証マザーズ市場にそろそろ投資を開始したいが、個別銘柄を買うリスクを負いたくない」という時に、使えるのが東証マザーズETF(2516)です。
ETFとは上場投資信託のことで、株式と同じように証券取引所で売買されている投資信託です。東証マザーズETFの11月14日の終値は599.1円で、10口(くち)から投資することができます。
つまり、14日終値なら5,991円から投資できます。小口投資が可能なので、10口から始めて時間分散しながら少しずつ買い増ししていくのも良いと思います。
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