※本記事は2021年4月10日に公開したものです。
投資で利益が出ているかどうか、確認したい!
以前、「保有中の投資信託・賢いジャッジは資料が決め手」で解説しましたが、運用会社が毎月発行する月次レポートには、その投資信託の設定来の運用成績のほか、ファンドマネジャーのコメントなども掲載されています。
しかし、自分が実際にリターン(利益)を獲得できているかどうかは、レポートを読んだだけでは分かりません。「自分が本当に利益を上げることができているか?」を確認する方法としては、「トータルリターン」があります。
トータルリターンとは、「投資家ごとの損益状況」を表す指標です。具体的には、現在の「評価金額(元本)」と「累計受け取り分配金額(受け取った分配金の総額)」「累計解約金額(すでに解約した金額)」の合計から、「累計買い付け金額(買い増しをした場合の金額)」を差し引くことで算出されています。
トータルリターンは、本当の利益金額
トータルリターンの最大のポイントは、税金や手数料がすべて考慮されているという点です。
従来、投資信託は、一部分を途中解約したり、分配金が支払われたりした場合に、それらを含んだトータルの損益状況を把握するのが難しいという問題がありました。
また、「基準価額が下がったときに追加で購入しているから、多分、利益が出ているはず」と漠然と思っていたものの、実際はそうなっていなかった、というケースもあります。
こうした問題を解消すべく、2014年12月にトータルリターンの通知制度が開始され、投資信託の購入時から算出する日までのすべての期間を通じて「その投資信託を買って本当に利益が出ているのかどうか」が分かるようになりました。
では、ここからはクイズを通じて、トータルリターンをチェックしてみましょう。
毎月分配型のAとBという2つの投資信託があります。
A | B | |
---|---|---|
購入時の基準価額 | 1万円 | 1万円 |
1年後の基準価額 | 1万1,000円 | 9,000円 |
毎月の分配金 | 50円 | 100円 |
年間の分配金 | 600円 | 1,200円 |
※税金は考慮せず、保有期間中の部分解約もないものとします。
ヒント
トータルリターンの算出式
(基準価額+分配金の総額-購入時の基準価額)÷購入時の基準価額
2つの投資信託、利益が出ているのはどっち?
解答:A
■Aのトータルリターン
16%=(1万1,000円+600円-1万円)÷ 1万円
■Bのトータルリターン
2%=(9,000円+1,200円-1万円)÷1万円
支払われた分配金の総額は、Aの方が少ないですが、トータルリターンは高いことが分かります。
では、もう一歩進めて出題です。同じケースで、Bの基準価額が8,800円まで下がったらどうなるでしょうか。
0%=(8,800円+1,200円-1万円)÷1万円
トータルリターンは0%、つまり、投資資金は1年間でまったく増えなかったことになります。税金を加味すればマイナスとなるでしょう。
このように、高い分配金を受け取っていても、基準価額が下がり続けていたり、ほとんど値動きがなかったりすると、元本を取り崩した上で分配金(元本払戻金)が支払われている可能性があるため、注意が必要です。
参考に、楽天証券に口座がある方に向けて、トータルリターンの確認方法をご紹介しましょう。
ログイン後に、「保有商品一覧」の画面から、トータルリターンを確認できます(毎営業日更新)。
現在の保有しているファンドだけでなく、過去に解約済みファンドのトータルリターン、保有ファンドと解約済を合算した、これまで保有したことのあるすべてのファンドのトータルリターンも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
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