先週の日経平均株価は前週比1,200円以上も急落し、6月20日(月)につけた安値2万5,520円を割り込む恐れも出てきました。

 10月が始まる今週10月3日(月)から7日(金)も週初は大きく下落しそうです。

先週:米長期金利が一時4%台に。9月の米国株は底割れして終了! 

 9月の米国株は20年ぶりの歴史的下げに見舞われました。

 多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種指数は、1カ月で9.3%も下落。

 ハイテク株の多いナスダック総合指数も、月間で10.5%安と底割れしました。

 先週初めの株式市場は、英国ポンド急落による欧州通貨危機への不安感で急落。

 米国では27日(火)に8月の新築住宅販売件数や 9月の消費者信頼感指数が予想を上回り、逆に、景気が良すぎて物価高が今後も続く不安が台頭。

 長期金利の指標となる10年国債が売られ、債券価格が下落すると反比例して上昇する金利が28日(水)朝、一時、4%台に到達したことも株価の重しになりました。

 28日(水)夜、英国中央銀行であるBOE(イングランド銀行)が英国債購入の市場介入に踏み切ったことで株価は反発。

 しかし、30日(金)の米国8月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)は前月比0.4%上昇と、再びプラスに。物価上昇がなかなか止まらないことを嫌気して、米国株は大きく下げました。

 世界の金融市場では米国ドルだけが上昇し、米国株も米国債も原油も金(ゴールド)も下落しています。

 では、「お金はどこに行ったか」というと、投資に回していた借金の返済でしょう。

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は9月から量的引き締め策(QT)を加速。月間最大950億ドル(約13.6兆円)というハイペースで、これまで市中にバラまいてきたお金を掃除機のように回収しています。

 先週の日本株は、資源価格の下落で、これまで高止まりしてきた海運、石油、鉱業株が大幅に下落。

 日本郵船(9101)は前週比23%安、世界に原油の権益を持つINPEX(1605)は9.9%安となり、海運・資源株の上昇相場は終焉(しゅうえん)を迎えたようです。

 一方、米国でのアルツハイマー薬の開発進展が好感されたエーザイ(4523)がストップ高も含め前週比32.8%も急騰。

 不景気に強いディフェンシブ株の医薬品セクターが大きく上昇しました。

今週:10月は米国企業業績に不安感。雇用統計の時給低下に期待! 

 今週はまず3日(月)朝、日本銀行が企業に景況感を調査した日銀短観を発表。

 コロナ収束というプラス要因と原材料費上昇というマイナス要因が綱引きする中、日本の景気が意外と底堅く推移していることに期待したいものです。

 2月期決算企業の中間決算の発表も相次ぎます。

 5日(水)のイオン(8267)、6日(木)のセブン&アイ・ホールディングス(3382)という2大流通企業の決算は、国内消費の盛り上がりを占う意味で注目されそうです。

 米国では3日(月)夜に、ISM(米サプライマネジメント協会)が9月の製造業景況指数を発表。

 そして、7日(金)には9月の米国雇用統計が発表されます。

※米国雇用統計に関して、詳しくはこちら:1分でわかる!雇用統計と株価の関係

 前回8月分は、非農業部門雇用者数が前月比31万5千人と予想以上に増えたことで、逆にFRBが大幅利上げしやすくなる懸念が高まり、株価が下落。

 ただ、労働に参加する人が増えたことで、インフレの元凶となる平均時給の伸びは鈍化しました。

 今回も賃金の伸びが鈍れば、物価の沈静化に期待が持てるため、相場が上向くきっかけになるかもしれません。

 10月は米国の7-9月期決算発表シーズンです。

 先週9月29日(木)には、ナイキ(NKE)の2022年6-8月期決算が、中国での販売低迷で予想を下回る大幅減益となり、翌30日(金)の株価は13%も急落。

 米企業の決算発表が本格化するのは来週後半ですが、物価高に次ぐ第2の下げ圧力として、すでに警戒感が高まっています。

 厳冬期を迎え、燃料費の高騰で苦しむ欧州の景気後退がさらに深刻化し、社会や政治が混乱する不安も日増しに大きくなっています。

 日経平均株価は円安が味方して、まだ3月につけた年初来安値を1,000円前後、上回る水準にあります。

 しかし米国3大株価指数は米ドルベースで見ると、すでに年初来安値を更新して下げが加速。
特にダウ工業株30種平均は、コロナショック前の2020年2月の株価水準を割り込むほど下げています。

 ドル高は米国の物価高抑制には好影響ですが、逆に世界中で売上を伸ばす米国企業にとって、海外での売上や利益の低下につながります。

 30日のナイキ株急落は、まさにその前兆。

 グローバリズムを背景に急成長してきた米国の巨大企業の業績に暗雲が漂い、景気後退懸念が高まると、米国株の下げがさらに加速する恐れもあります。

 日経平均株価の騰落率を見ると、10月は11月から12月の年末高を前にした底値固めの時期。

 株価底入れの兆しが出ることに期待したいものです。