先週の日経平均株価は前週比374円高となり、2万8,000円の大台を回復しました。

 今週8月8日(月)から12日(金)は、6月上旬につけた高値突破に期待がかかります。

 ただ、7月上旬以降、ハイペースな上昇が続いたこともあり、いったん下落する可能性もあるでしょう。

先週:米中衝突は深刻なリスク。当面、株価底入れ続く!?

 先週2日(火)には米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問。

 猛反発した中国が4日(木)から7日(日)にかけて、台湾との中間線を越えて、海上封鎖を思わせる軍事演習を行うなど、緊張が高まっています。

 ペロシショック勃発で香港、上海の中国株が急落したこともあり、2日の日経平均株価も398円安でした。

 ただ、全般的に上げ基調だった日本株はその後、3日(水)から5日(金)にかけて3連騰。ペロシショックは1日で終わりました。

 中国の台湾への軍事侵攻や米中軍事衝突が実際に起これば、当然、日本も巻き込まれるため、株価暴落となってもおかしくありません。

 このショックが一過性に終わるか、まだまだ、くすぶり続けるかは、今週以降の中国側の出方次第といえます。

 今後、ロシア・ウクライナ戦争に続く第2の地政学的リスクがどこかで火を噴く危険性が高まったといえるでしょう。

 台湾を巡る米中衝突は、日本株にとってロシア・ウクライナ戦争以上に深刻です。

 そんな日本市場は先週、決算発表に一喜一憂しました。

 Yahoo!ジャパン運営のZホールディングス(4689)は、ネット広告の伸び悩みで2022年4-6月期が減益となり、4日(木)に11%も急落。

 4日の取引時間中には、トヨタ自動車(7203)が原材料価格の高騰で2年ぶりの減益を発表し、株価が3%急落。

 決算が悪かった企業は売られました。

 一方、精密プラスチック加工のエンプラス(6961)や電子部品のTDK(6762)など、好決算を発表した企業は大きく買われました。

 5日(金)夜に発表された米国の7月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が予想の倍以上となる52.8万人も増加。失業率も3.5%まで低下しました。

 雇用が強く景気が良すぎると、9月以降も大幅な利上げが続く懸念が台頭します。

 機関投資家が運用指針にしているS&P500種指数やハイテク株が集うナスダック総合指数は金曜日に小幅下落して終了しました。

※米国雇用統計に関して、詳しくはこちら:1分でわかる!雇用統計と株価の関係

 とはいえ、好調な米国の雇用情勢を背景に、米国では長期金利が上昇。日米金利差の再拡大で、為替市場では1ドル135円台まで円安が進んでいます。

 円安トレンド再開は日本株にとって追い風です。

今週:好決算銘柄の急騰に期待。10日の米CPI後は夏枯れ相場へ!

 今週は日本株の2022年4-6月期決算がピークを迎えるため、決算内容次第で大きく上がる株、下がる株に二極化しそうです。

 8日(月)にはソフトバンクグループ(9984)や半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)、新興IT企業の大型株・メルカリ(4385)

 また、10日(水)には、ゆうちょ銀行(7182)本田技研工業(7267)など最大567社の決算発表が予定されています。

 先週の傾向を見ると、全体市場の底入れムードが根強いため、決算が良かった企業の株価急騰劇が頻発しそうな点が楽しみといえるでしょう。

 そして10日夜には、2022年の最重要経済指標といえる米国の7月CPI(消費者物価指数)が発表されます。

※CPIに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係

 前回の6月CPIは前年同期比9.1%上昇と、予想以上の物価高が進みました。しかし、変動が大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数の伸びが3カ月連続で鈍化したこともあり、米国株は上昇に転じています。

 そう考えると、今回発表の7月CPIが多少、高い伸びになっても、悪材料織り込み済みで米国株が上昇するかもしれません。

 特に先週は米国の景気が鈍化するという見通しから、原油価格が大きく急落。

 物価高に対する警戒感が少し後退しています。

 もし10日発表の7月CPIで、明確な物価上昇の鈍化傾向が確認できれば、この秋の利上げペースが緩やかになるという期待感から、株価が急騰する可能性もありそうです。

 7月の大幅上昇に続き、8月第1週のS&P500種指数は前週比0.36%高と小幅上昇。

 米国株も日本株も底入れ期待が依然として根強く、今週も上昇が続きそうな勢いです。

 特に日本市場は11日(木)の祝日以降お盆に入り、「夏枯れ相場」といわれる売買が低調な時期を迎えます。

「閑散に売りなし」という投資格言もあるように、取引が細ると、大きな売り物が出ないため、株式市場の値動きは小動きになりがちです。

 今週、台湾の軍事的緊張が収束し、米国CPIや日本企業の決算発表ピーク前後で一段高。その上で来週のお盆ウイーク突入というベストシナリオに期待したいところです。