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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【日本株】外国人が7月は1兆円超買い越し 日経平均の上値重い​

 今日は、日本株を動かしている外国人の売買動向を解説します。7月は外国人が1兆円超買い越していますが、日経平均株価の上値は重いままです。

上がるも下がるも外国人次第の日本株

 いつもお話ししている通り、日本株は過去30年以上、外国人投資家が動かしています。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売る傾向があるので、短期的な動きは外国人次第です。

 それがとてもよくわかるのが、2020年の日経平均です。2020年の日経平均は、外国人の売りで暴落した後、外国人の買いで急上昇しました。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年12月31日

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成

2021~2022年は外国人売買に方向感なし

 2021年から2022年にかけて、外国人売買は方向が定まらず、売り買いがめまぐるしく変わっています。すごい勢いで買い始めたと思っても長続きせず、すぐ売りに転じます。すごい勢いで売り始めたと思っても、それも長続きしていません。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2021年1月4日~2022年7月19日(外国人売買動向は2022年7月8日まで)

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成 注:外国人売買は、2021年は株式現物と日経平均先物の合計。2022年は株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

 その結果、2021年の日経平均はトレンドが出ず、狭いレンジの上げ下げを繰り返してきました。2022年に入ってから、3月まで外国人の売りで大きく下がりましたが、その後は、狭いレンジの上げ下げを繰り返しています。

 そうした中で、話題になったのが、7月第1週(4~8日)の外国人売買です。株式現物と先物を合わせて、1兆1,850億円の大幅買い越しとなりました。この週は、米国株が急反発した週です。ナスダック総合指数はこの週、1週間で4.6%上昇しています。米国株の上昇を受けて、日本株にも大量の買い戻しが入りました。

1兆円買いの後も、日本株の上値重い

 7月4~8日の外国人は、1週間で1兆円超の買い越しとなりました。それだけ大きな買いがあると、通常は、そのまま大量買いが続いて日経平均は大きく上昇するのですが、今回はそうなっていません。外国人が投資判断に迷っている状況にかわりはないと思われます。

 7月4~8日に米国株が急反発したのは、米景気の減速が鮮明になり、米長期金利が反落、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め姿勢が緩む期待が出たためです。ところが、米国株も日本株もその後も上値は重いままです。13日に発表された米インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合指数の前年比)が9.1%と想定以上に強く、FRBが7月も0.75%または1.00%の大幅利上げを続けるとの思惑が広がったこともあります。米景気にブレーキがかかり過ぎて、米景気悪化に至る不安もあります。米国株も日本株も、上へも下へも大きくは動けない展開が続きそうです。

需給面で最も注目される主体は、外国人で変わらず

 短期的な日経平均の動きを決めているのは、外国人です。これからも外国人の売買動向をしっかり見ていく必要があります。

 引き続き、外国人の日本株売買動向をウオッチしていくことが大切です。外国人の動きで気づいたことがあれば、本コラムで報告します。

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