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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米国株、再び急落 米長期金利3%接近を嫌気 どうなる、日経平均?」
米長期金利上昇を嫌気して、米国株急落
先週の日経平均株価は1週間で12円上昇し、2万7,105円となりました。米金利上昇を受けて一時1ドル=129円台まで円安が進んだことを好感し、21日(木)の日経平均は2万7,553円まで上昇しました。海外で利益を稼ぐ日本企業の業績が改善する期待が日経平均の上昇につながりました。
ところが、22日(金)の日経平均は447円安の2万7,105円となりました。米長期金利が一時2.9%台まで上昇したことを嫌気して、米国株が下落した流れから日本株にも売りが波及しました。米国株は22日の東京市場が閉まった後にさらに急落していることから、25日(月)の日経平均は大きく下落してのスタートとなりそうです。
ナスダック総合株価、S&P500、日経平均比較:2019年末~2022年4月22日まで
米インフレ率(CPI総合指数前年比)が8.5%(3月時点)と、約40年ぶりの高水準となったことを受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めを急いでいます。日本のゴールデンウイーク休日に当たる5月4日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、0.5%の利上げと保有資産の縮小(量的金融引き締め)開始が決定されるのはほぼ確実です。それを織り込んで米長期(10年)金利が先週は一時2.9%台まで上昇し、大型成長株の比率が高い米ナスダック総合株価指数の下落が大きくなりました。
米10年・2年・3カ月金利の推移:2021年1月3日~2022年4月22日
米インフレ率(CPI総合指数およびコア指数の前年比上昇率)の推移:2020年1月~2022年3月
2018年の再現?米長期金利3%接近を嫌気
米長期金利が3%に近づいたことを嫌気して、米国株が急落し、世界的な株安ショックが起これば2018年と同じです。
米10年金利とNYダウの動き:2018年1月~2022年4月(22日)
2018年2月2月に発表された米雇用統計をきっかけに、世界株安がおこりました。雇用統計では労働需給が引き締まり、賃金上昇率が高まったことを受けて、米長期金利が2.85%まで上昇しました。米長期金利が3%に近づいたことを嫌気、金融引き締めが強化される思惑から米国株が急落し、世界的に株安となりました。
2018年10月には、米長期金利が3%台で上昇が続いたことを嫌気して、米国株が急落し、世界的な株安になりました。2018年はFRBが4回利上げしましたが、米金融引き締めが強化される懸念が強まったことが株安につながりました。
ところが、皮肉なことに、2018年10月に世界株安が始まった直後から、製造業中心に世界的に景況が悪化しました。世界的な景況悪化を嫌気して、株安が一段と加速しました。ちなみに、日本の景気は2018年10月をピークとして景気後退期に入りました。
日経平均はもう一度下値トライの可能性も
結論は毎回述べていることと同じです。日本株は割安で長期投資で良い買い場となっていると思います。
ただし、短期的にはもう一度、下値トライするリスクがあります。時間分散しながら割安な日本株を買っていくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。
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